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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4326 インテージH

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「情報銀行」時代が来る、個人情報ゴールドラッシュと関連株 <株探トップ特集>


―パーソナルデータ利活用本格化、“金脈”巡りビジネス化へ本腰―

 IoT(モノのインターネット)などの先端技術の進展によるデータ量増加に伴って拡大し続けるビッグデータ市場。膨大なデータは新たな製品やサービスを創出する可能性を秘めており、宝の山とも称される。なかでも“金脈”とされ、関心が高まっているのが個人データ(パーソナルデータ)だ。政府が6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」ではパーソナルデータ利活用の促進が掲げられ、その具体的な施策のひとつである「情報銀行」創設に向けた動きが本格化している。

●新製品・サービス開発のきっかけに

 「情報銀行」は個人からその人の個人情報を預かり、預かったデータを蓄積・管理・提供する事業者のことを指す。情報銀行は預かった個人情報を他の事業者に提供することで利益を獲得し、そこで獲得した利益は、情報を提供した個人に“利子”として還元される。情報銀行は個人情報の提供対象とする事業者を一定の基準に基づき取捨選択することで、個人情報を有益な目的に利用できる事業者を選定する。情報銀行から個人情報という“融資”を得た事業者は、それをもとに市場調査や商品開発などに利用することが可能になるというわけだ。

 これにより、パーソナルデータの利活用が活発化するとみられ、例えばヘルスケア関連企業が健康状態のデータをマーケティングに生かしたり、小売り企業が買い物をした人の情報を分析してニーズに合った商品を勧めたりといったことが可能になる。これまでもおのおのの企業が自社の顧客情報を独自に運用する例はあったが、「情報銀行」から既存の顧客以外のデータを入手できれば、更なる商品開発やプロモーションなどができるようになる。

●米大手IT企業からデータ奪還なるか

 「情報銀行」は総務省と経済産業省が17年11月からスキームを練り、18年6月に情報銀行に求められる情報信託機能に関して民間団体などによる任意の認定制度の在り方について指針を決定。18年末頃から始まる認定申請の受け付けに向け、10月19日に開かれた説明会には当初の募集人数100人を大幅に上回る400人以上が参加し、関心の高さをうかがわせた。

 世界では膨大な顧客データが競争力を左右するデジタル経済の色合いが一段と濃くなっている。政府が旗振り役となり制度づくりが進む「情報銀行」が、パーソナルデータをグーグルやフェイスブックといった米大手IT企業から奪還するきっかけとなるのかどうか。“金脈”を巡って銀行や広告代理店、電機などの大手企業が虎視眈々とビッグビジネスへの参入を狙っている。

●電通は11月中にもサービス開始へ

 電通 <4324> は11月中にも情報銀行に参入する予定だ。子会社の電通テックは9月、パーソナルデータを1つのIDで統合・管理し、個人および企業の双方にとって有益なマーケティング支援サービスを提供する新会社「マイデータ・インテリジェンス」を設立。具体的には、個人が購買履歴や位置情報などを預け、企業はデータを利用するごとに個人に報酬やサービスなどの対価を支払う仕組みとなっている。まず11月以降に、企業のキャンペーンやSNSプロモーション、サンプリングなどに活用できる各種サービスを取り揃え、来春には更に利便性の高いデータマネジメントサービスの構築を見据えた大規模な実証実験を計画している。

●大手銀行も参入を計画

 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 傘下の三菱UFJ信託銀行は7月、情報銀行の事業構想を発表した。新サービスの仮称は「DPRIME(ディープライム)」で、このサービスを支える技術について既に国内特許を出願済み。新サービスでは、個人が自らの意思でデータを蓄積・管理し、パーソナルデータ提供の対価を受け取ることができるとされ、同行では19年度中のサービス開始を目指している。

 また、三井住友フィナンシャルグループ <8316> も情報銀行の実現に向けた検討を進める意向。みずほフィナンシャルグループ <8411> とソフトバンクグループ <9984> が共同出資するJ.Score(ジェイスコア)は、10月から人工知能(AI)が判定した個人の信用ランク(格付け)を企業が利用できるサービスを始めた。

●日立など実証実験をスタート

 日立製作所 <6501> と日立コンサルティング(東京都千代田区)、インフォメティス(東京都港区)、東京海上ホールディングス <8766> 傘下の東京海上日動火災保険、博報堂DYホールディングス <2433> グループのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、日本郵政 <6178> 傘下の日本郵便の6社は共同で、9月から情報銀行の実証実験をスタートした。この実験では、個人データの収集・管理・提供の仕組みや個人データを活用したサービスの実現可能性を検証。個人データとしては、性別や世帯構成など一般的な情報のほか、各家庭の電力使用量や個人の活動量データなど、一段の普及拡大が予想されるIoTに着目し、センサーから生成されるデータも取り扱う。

●インテージHDやイオンFSなどにも注目

 このほか、富士通 <6702> とイオンフィナンシャルサービス <8570> は昨年、共同で情報銀行の実証実験を行ったほか、大日本印刷 <7912> はJTB(東京都品川区)と17年12月から18年2月にかけて総務省の「情報信託機能の社会実装に向けた調査研究」に参加した。

 また、ヤフー <4689> は10月、保有するビッグデータをもとに個人の信用情報を数値化する「信用スコア」サービスの実験を開始すると発表し、NTTドコモ <9437> は金融機関向けに「信用スコア」を提供するサービスを来春から始めることを公表。同月から情報銀行やデータ活用事業者を支援するサービスの開発をスタートさせたインテージホールディングス <4326> にも今後、関心が高まる場面がありそうだ。

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