貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

4318 クイック

東証P
2,404円
前日比
-11
-0.46%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.4 2.83 3.74 1.62
時価総額 459億円
比較される銘柄
セイファート, 
ディップ, 
ピーエイ
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

クイック Research Memo(4):2019年3月期も好調継続の見通し


■業績動向

2. 2019年3月期の業績見通し
2019年3月期業績に関してクイック<4318>は、売上高18,500百万円(前期比10.3%増)、営業利益2,300百万円(同4.6%増)、経常利益2,530百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,753百万円(同7.8%増)と引き続き増収増益を見込んでいる。2019年3月期の雇用情勢としては、IT活用など「働き方改革」による生産性向上や女性・シニアの活用など労働力確保の取り組みは進められるものの、企業の人手不足感の解消は改善されないと想定される。このため、同社にとって追い風となる見込みだが、引き続き成長に向けた人材投資を継続しており、営業利益率はやや悪化する予想となっている。

2019年3月期の基本方針は、2030年に同社が1,000億円企業になることを目標に策定されている。そのためまず、10年後を目指して、既存事業の成長と新規事業の育成に向け積極的投資を継続する一方、M&Aの実施やAI技術による新たなビジネスモデルの開発を進める。次に、国内の少子高齢化と労働人口の減少により国境を越えた人材サービスが増加する見通しのため、グローバルな人材流動化に向けた転職支援事業を開発するなど、グローバルHRビジネスを先行的に進める。社内的には、組織強化や働き方改革に向けた人事制度改革を進め、事業横断的視点でのキャリアアップ支援と人材育成制度を構築する。

事業別では、人材サービス事業で売上高11,258百万円(前期比13.5%増)、営業利益1,866百万円(同7.6%増)を見込んでいる。人材紹介では、各種領域における運営サイトのコンテンツ拡充やリニューアル、プロモーションの強化などによって登録者数の拡大を目指すほか、社内的にも新卒・中途を問わず優秀な人材を積極的に採用、研修を充実させることで組織強化も推進する考えである。これにより、専門職紹介において既存領域の強化とその横展開による新領域の開拓を積極的に進め、特定・得意な分野でNo.1を目指す。人材派遣では、専用サイト「派遣 de パート」を活用した登録者の獲得強化と営業強化に取り組む一方、医療・福祉分野の取り込みや、保育士派遣専用サイト「ほいとも大阪」のコンテンツ拡充など、独自性の強い分野の強化を進める方針である。

リクルーティング事業では、売上高3,702百万円(前期比0.2%増)、営業利益832百万円(同5.6%減)を見込む。高い顧客支持率をベースにコンサルティング営業を強化し、商品やサービスを紹介する自社サイト及び各種セミナーの開催を通じた顧客開拓を強化する方針である。また、同社の付加価値である、採用の企画提案から入社後のフォローまでのワンストップサービスを強化することで、求人広告だけでは実現できない採用成功を増やす計画である。アルバイトの関連では、リクルートパートナーにおいて圧倒的売上No.1を目指す。

情報出版事業では、売上高1,808百万円(前期比2.6%増)、営業利益55百万円(同16倍)を見込む。ポスティングなどリアルサービスを拡充する一方、地域No.1のメディアと地域活性化ビジネスの展開を目指す。インフラ型メディア(生活情報誌、家づくりナビ、結婚賛歌)で圧倒的な情報量の確保とデジタルメディア化を推進、地域に密着した人材サービスでは「ココカラ。転職」を強化、ポスティング事業では新たに開設した高岡営業所での配布組織の早期安定化により、サービス網拡大など継続的強化を進める方針である。

その他の事業は、売上高1,731百万円(前期比23.3%増)、営業利益167百万円(同15.5%減)を見込む。ネット関連事業では、主力の「日本の人事部」サイトにおける新たなビジネスモデルの構築などにより、会員数やアクセス数の拡大を目指すとともに、No.1のブランド力を活用してHRサイトにおける圧倒的シェアの獲得を目指す。海外事業では、人材紹介や人材派遣・人事労務コンサルティングを引き続き強化する一方、国内の少子高齢化や労働人口減少への対応に向けたグローバルな転職支援事業の開発を目指す。また、2019年3月期よりクイックベトナムと(株)クイック・グローバルを連結する予定である。また、英国子会社を拠点に欧州での人事サービスの展開も検討する。この結果、ネット関連事業と海外事業の売上構成比は、海外事業の拡大によりネット関連事業37.1%、海外事業62.9%と前期の半々からバランスが変わる見込みである。


2021年3月期売上高23,850百万円、営業利益3,430百万円を目指す
3.中期計画
中期的な事業環境について同社は、人材市場は引き続き堅調だが、少子高齢化を背景に求人企業間の人材獲得競争が激化し、それに伴って人材サービス企業間の競争も一層激化すると見ている。その中で、「2030年に1,000億円企業を目指す」を基本方針に掲げ、中期計画を毎期ローリングしている。具体的な取り組みとしては、既存事業の強化に加えAIなど新技術やM&Aを活用した新たなビジネスによって10年後を目指した事業戦略を展開し、国内の少子高齢化や労働人口減少に対応して国境を越えた人材流動化に向けた転職支援事業を開発することでグローバルなHRビジネスを推進し、組織強化と働き方改革に向けて人事制度を改革し事業横断的視点でのキャリアアップ支援と人材育成制度を構築していく考えである。これにより、2021年3月期売上高23,850百万円、営業利益3,430百万円を目指す。

事業別では、主力の人材サービス事業について、同社は今後も現状に近い売上高構成比で推移すると考えているようだ。しかし、自動車メーカー向け専門職紹介や保育士の派遣といった新規事業が既に足もとで始まっている。2~3年後の収益化を見込んで、今期も専門職紹介を新たに立ち上げるべく準備を進めている。したがって、今後も専門職紹介を横展開する「ブティック戦略」により、人材サービス事業が同社の成長をけん引していくと予想される。第2の柱であるリクルーティング事業は、メディアへの掲載提案だけでなく採用に関わるコンサルティング機能も求められており、それに対応することができれば中長期的に底堅い成長が見込まれる。情報出版事業については、現況を考えると、中期計画はやや奮起が必要と思われるが、地域活性化ビジネスに加え、カバー率で折り込みチラシを圧倒的に上回るポスティング事業を強化する方針である。海外事業では、各拠点の内部体制充実と拠点数の増加を目指すことになると思われる。したがって、今後の成長投資は、人材サービス事業での増員や新規事業、グローバルなエリア展開に振り向けられると予想する。なお、同社は、消費増税や東京オリンピックの後は景気後退感が強まると見ているが、不況に強い専門職の求人は底堅く推移すると予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《NB》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均