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4318 クイック

東証P
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時価総額 459億円
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決算発表予定日

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クイック Research Memo(3):すべての事業において業績が順調


■決算情報

(1)好調な2017年3月期第2四半期決算と保守的な通期業績予想

クイック<4318>の2017年3月期の第2四半期連結業績は、売上高が前年同期比18.7%増の7,445百万円、営業利益が同20.8%増の1,540百万円、経常利益が同21.4%増の1,582百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同25.1%増の1,074百万円だった。上期の計画値は、売上高が6,915百万円、営業利益が1,306百万円で、それぞれ7.7%、18.0%予想を上回って着地した。

(2)リクルーティング事業及び人材サービス事業も好調

前年同期との比較では、すべての事業において業績が順調に推移し、リクルーティング事業及び人材サービス事業では、少子高齢化による労働人口の減少を背景に業績が拡大した。リクルーティング事業では、派遣スタッフやアルバイト・パート求人広告の取扱いが好調で、新卒採用分野も順調に伸び、リクルーティング事業における売上高は前年同期比13.7%増の1,494百万円、営業利益は同7.0%増の329百万円となった。人材サービス事業でも、看護師・介護士などの医療・福祉分野の旺盛なニーズに加えて、建築・土木・製造分野においても採用意欲は高く、業績は順調に拡大、売上高は同22.9%増の4,611百万円となった。人材サービス事業では、競争激化が進んだため登録者獲得を目的にプロモーション費用を計上したものの、営業利益は同17.9%増の1,415百万円と2ケタの増益を達成できた。情報出版事業では、タウン広告の取扱いが好調で売上高は同9.3%増の861百万円、営業利益は同985.0%増の5百万円となった。その他に含まれるネット関連事業及び海外事業も順調で、売上高が同13.7%増の479百万円、営業利益が同112.0%増の67百万円となった。ネット関連事業では、子会社の運営サイト「日本の人事部」の広告収入が順調に拡大し、海外事業ではロサンゼルス、ニューヨーク、上海における事業が改善した。

営業利益については、会社計画比でも人材サービス事業は予想を265百万円超過し、好調が際立った。未達になったのは、リクルーティング事業と情報出版事業であったが、それぞれ計画比30百万円の未達、同13百万円の未達であった。その他は同24百万円で超過達成となった。

(3)極めて高い進捗率

同社が公表している2017年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.8%増の13,600百万円、営業利益が同4.9%増の1,770百万円、経常利益が同4.8%増の1,820百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.8%増の1,238百万円であり、第2四半期決算時点での通期業績予想に対する進捗率は、売上高で54.7%にとどまったものの、営業利益及び経常利益段階では87.0%に到達、親会社株主に帰属する四半期純利益段階でも86.8%と極めて高い。通期予想の増額修正をしなかった理由として、第3四半期における広告宣伝費の大規模投入を計画しており、その額をまだ決定していないためと同社の説明会において言及があった。転職志望者が転職するまで3~6ヶ月程度の時差があるため、転職時期となる来春向けの登録者については、今第3四半期で広告投入することで転職志望者における認知度を上げ、登録者数を獲得することが必要となっているようだ。しかしながら、説明会における質疑応答で示唆された広告宣伝費の増額幅は150~200百万円程度であり、同社の規模でその程度でとどまり他の費用の急拡大がないならば、同社の通期業績予想はまだ保守的と判断せざるを得ない。好材料を効果的に株価に織り込むためにも、増額修正が必要となる場合はなるべく早期の公表を期待したい。

(4) 3ヶ年の中期経営計画で提示されている業績予想も控え目

同社は、2017年3月期の業績予想のほか、2019年3月期までの計画数値も公表している。2017年3月期は既述の業績予想のとおりだが、2018年3月期の計画では、売上高が15,000百万円、営業利益が2,000百万円、経常利益は2,050百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,394百万円、2019年3月期は売上高が16,700百万円、営業利益が2,320百万円、経常利益が2,370百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,611百万円となっている。2017年3月期見通しと同様に、同社はこの中期経営計画についても多少狂いが生じる可能性があるとの見方が説明会において示された。質疑応答で確認できたのは、これらの数字が現在の事業の自然な増加分のみを加味しており、同社は人材紹介において新たな専門職の横展開を目指しているようだが、現時点では織り込まれていないことだ。特に、これらの中期経営計画数値には、経常利益率の計画数値も公表されており、2016年3月期実績の13.9%に対し、2017年3月期に13.4%、2018年3月期に13.7%、2019年3月期に14.2%と、2019年3月期に2016年3月期の水準を超えるという想定。同社によると特段顕在化しやすいダウンサイド・リスク要因を見込んでいる訳ではなく、弊社では極めて保守的とみる。また、同社について市場で十分に理解が進んでいるとは言えない状況で、公表値のみが理解されていると考えられ、株価は適正水準より低く見積もられている可能性がある。直近4ヶ年の業績推移に比べて今期以降3ヶ年の中期経営計画はその増収増益の上昇角度が緩やかになっており、成長の鈍化と疑ってしまうが、マクロ環境や同社の事業環境が急激に悪化しない限り、増額修正される可能性があるとみられる。

同社は、ローリング方式で毎期、中期経営計画数値を見直している。増額修正があれば、これらの数値が控えめであることが認知され株価上昇へのカタリストとなることを期待したい。

■M&Aによる事業拡大は今後の増収要因になるか

同社はM&Aについて積極的な姿勢を示している。内容にもよるが、良い案件であれば同社の成長性を将来加速させる材料になると思われる。今後の展開に期待したい。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)

《HK》

 提供:フィスコ

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