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4308 Jストリーム

東証G
381円
前日比
+11
+2.97%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
43.2 0.91 4.20
時価総額 107億円
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Jストリーム Research Memo(4):動画配信のためのプラットフォームとインフラを提供


■Jストリーム<4308>の事業概要

2. 配信事業
配信事業では、各種のインターネット動画配信用ソフトウェアを用いて、インターネット上で映像や音声などコンテンツを配信するサービスを行っている。顧客はインターネットを使ってコンテンツを配信しようとする一般企業やメディア企業、コンテンツプロバイダーで、音楽・映画・イベント映像、企業説明会、教育映像、広告などコンテンツの種類や配信対象の端末を問わず配信が可能となっている。インターネットを使って多数の視聴者に映像や音声を配信するためには、大量のアクセスに耐える回線やサーバーの確保と安定した運用が必要で、一般企業にはこうした投資は難しい。このため同社のサービスは、そうした投資や運用にコストをかけることなく、必要なときに必要なだけ配信ができるという利便性がある。また、同社は同時に大量の視聴に対応できるCDNを自社で保有しており、イベントなど一度に数万人以上からのアクセスがあるような場合でも、安定してコンテンツを視聴者に届けることができる。さらに、コンテンツ配信を行う際の付随的なサービスとして、配信対象を限定する認証機能や、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権保護)、コンテンツ販売に必要な課金決済システム、海外からのアクセスを制限できる国内外判別配信といったサービスも提供している。

(1) 動画配信プラットフォーム
同社は、コンテンツ管理やセキュリティなどの配信設定、あらゆる端末で視聴可能になるマルチデバイス対応、アナリティクス機能など、動画配信に必要な機能とワークフローをワンストップで提供している。その中心となるのが、ライブ機能など企業の動画活用に必要なあらゆる機能を装備する動画配信プラットフォームで、同社主力商品の「J-Stream Equipmedia」である。同社が自社保有・自社運営するCDNによって常に安定した動画配信を実現するだけでなく、利用者のスキルに依存しない使いやすい管理画面、他社システムと連携できる柔軟性、月5万円からというリーズナブルな価格など、一般企業でも手軽に動画を活用できる仕様になっていること、さらに、アカウント営業と専任スタッフが両面からサポートする体制も取っていることから、国内最大規模の1,500アカウント(2018年2月時点)の導入実績を誇る。同社の動画配信プラットフォームには、「J-Stream Equipmedia」のほかに、プレミアム版で高度な拡張性やカスタマイズ性、マネタイズ機能を有する「J-Stream MediaLize」、「J-Stream Equipmedia」をベースにCRMソリューションサービスのSalesforce(セールスフォース・ドットコム<CRM>)向けに開発された「Equipmedia動画共有ライブラリfor Salesforce」などがラインナップされている。

(2) CDN
動画や音声などリッチコンテンツのファイルはサイズが大きく、インターネット上で配信を行うとネットワークに大きな負荷がかかる。特にデータが1ヶ所から集中して配信された場合、トラフィックが集中することでレスポンスの悪化や通信速度の低下、時には配信停止といった事態に陥ることもある。サーバーや回線を増強することで対応は可能だが、非常に大きなコストがかかり、また増強してもアクセスが少ないときには余剰な設備となってしまう。このため、同社は専用のCDNを構築して顧客に提供しているのである。CDNは、アクセス集中によるレスポンスの悪化や通信速度の低下といったトラブルを防止し、Webコンテンツを快適に閲覧・利用できるようにするためのネットワークシステムである。大容量のデジタルコンテンツを配信する際、多くのアクセスを複数のサーバーに振り分け、CDNが顧客の配信データを一時的に保存(キャッシュ)し、顧客のサーバーに代わってエンドユーザーに近いサーバーからデータ配信を行うことで、最短経路で効率的なコンテンツ配信が可能となる。数万人の視聴者を想定した場合でも安定した高速の配信を実現できるのである。

同社の「J-Stream CDNext」は、配信制御が可能な管理コンソールと顧客サポートがセットになったCDNサービスである。特徴は、国内ISPやIDC(Internet Data Center)に配信用サーバーを分散配置した同社独自のネットワークを利用できるほか、見やすい管理画面と詳細な設定による柔軟な運営、最新の高速プログラムや高性能サーバー、SSL※1処理の高速化と幅広く利用できるSSL機能??などである。「J-Stream CDNext」を導入することで、重くなりがちな動画やゲーム、インターネット通販、さらには一時的にピークを形成するキャンペーンなどのコンテンツを、より高速により安定してユーザーに届けることができる。

加えて、「Imperva Incapsula」、「Kollective SD ECDN」、「Cedexis」など海外の優れたサービスも組み合わせて販売している。「Imperva Incapsula」は、DDoS※2防御/WAF※3統合型セキュリティソフトで、米Imperva(インパーバ<IMPV>)が提供する、高い検知精度と信頼性を持ったクラウド型WAFサービスである。「Kollective SD ECDN」は、米Kollective Technologyが提供する企業向けCDNサービスで、社内情報共有の際に外部インターネットに接続される回線を抑制する。「Cedexis」は、米Cedexisが提供するマルチCDNサービスで、コンテンツの配信状況が可視化でき、契約する複数のCDNから最適なCDNを自動選択して配信することができる。

※1 SSL(Secure Sockets Layer):インターネット上で個人情報やクレジットカード情報などの重要なデータを暗号化して送受信する仕組み。
※2 DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack):複数のマシンから1つのサービスに仕掛ける一斉攻撃。
※3 WAF(Web Application Firewall):Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォール。


(3) ライブ配信
撮影から運用、配信まで、同社はプロフェッショナルなライブ配信サービスを提供している。配信技術の進歩を背景に、株主総会・IRイベント、専門セミナー、スポーツ・コンサート、プロモーション、社内情報共有・研修など、インターネットを利用したライブ配信の活用範囲が急速に拡大している。また、モバイル端末の普及で視聴者がアクセス場所を気にしなくなったことも、ライブ配信の活用を後押ししている。しかし、「失敗できない生放送」であるライブ配信を成功させるには、現場での回線や機材の準備、ミスのないオペレーション、街頭ビジョンからスマートフォン、2DからVR(仮想現実)/360度映像までの多様な様式へ対応、そして安定した配信ネットワークが必要である。特に現場での対応力は、他社にない同社ならではの魅力と言える。

同社はカメラやエンコーダーなど機材、ライブ専門のディレクターやエンジニア、撮影クルー、ネットワーク技術者といったリソースを、ニーズに合わせ最適な構成にカスタマイズしてワンストップで提供、さらに企画演出やライブイベントの進行などのサポートも行っている。このほか、アンケートや掲示板などを利用したイベント中の視聴者コミュニケーション、視聴者の反応をリアルタイムに可視化する機能や追いかけ再生、スライド連携、セキュリティ、決済??など、顧客や視聴者にとって便利な機能が充実している。同社の豊富な実績に裏打ちされたノウハウや技術力、現場対応力といった総合力は非常に高い優位性があり、年間1,800件以上のライブ配信の実績を誇る。

(4) 広告関連サービス
広告関連サービスでは、広告の企画制作を始め、コンテンツマーケティングの支援、動画アドネットワーク「MovieAD」の提供などを行っている。広告の企画制作では、動画とWeb記事を組み合わせたネイティブアドなど、動画広告を中心に効果的な広告をトータルプロデュースしている。コンテンツマーケティング支援では、記事と動画をセットにした広告企画制作やメディア展開を通じて、Webだけでなく動画メールやデジタルサイネージ、シネアドなどリアルなメディアへの展開もサポートしている。

「MovieAD」は、インストリーム型※動画アドネットワーク、コンテンツシンジケーション、動画メールアドネットワーク、タイアップ動画記事広告といった4つのサービスで構成されている。なかでもコンテンツシンジケーションは特徴的で、広告挿入可能な動画コンテンツをコンテンツホルダーから調達し、「MovieAD」を経由してパートナーメディアに配信(シンジケーション)するというサービスである。メディア事業者のコンテンツ(広告在庫)不足と広告主のWeb広告への経験不足といったミスマッチを解消することができる。

※インストリーム型広告:動画サイトで配信される従来のバナー広告より大画面で音声がデフォルトでONの広告。


(5) コンテンツ保護・DRM
コンテンツ配信の付帯機能としてのサービスで、アクセス制限や不正コピー対策などによって重要なコンテンツを守りながら、適切にユーザーに配信することができる。「SecureCast Pro PT Edition」は、Adobe Primetimeベースの高度なDRMが可能で、主要なデバイスやブラウザに対応しており、有料コンテンツや社外秘など重要なコンテンツに最適である。「SecureCast Plus」は、スマートフォン向け音楽・動画コンテンツのDRMサービスで、アプリケーションの開発や手間の掛かる端末検証を、顧客側で行うことなく配信サービスを開始することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

 提供:フィスコ

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