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4245 ダイキアクシス

東証S
733円
前日比
+7
+0.96%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
24.4 1.03 3.27 41.38
時価総額 100億円
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決算発表予定日

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ダイキアクシス Research Memo(3):水と環境を中心とした開発型企業


■事業概要

ダイキアクシス<4245>は環境機器関連事業と住宅機器関連事業を二本柱とし、その他の事業を成長事業としている。卸売が大半を占める住宅機器関連事業に対し、同社の独自性が発揮できる環境機器関連事業に注力することで、売上高営業利益率は上昇傾向にある。2016年12月期の事業別売上高営業利益率では、環境機器関連事業が7.5%と住宅機器関連事業の3.1%の倍以上の水準となった。また、新規事業のその他の事業は収益性が長らく水面下にあったが、昨年度に黒字転換を果たした。

1. 環境機器関連事業

環境機器関連事業は合成樹脂製浄化槽の製造・販売からコンクリート製の大型排水処理施設の設計・施工・維持管理を手掛ける。個人住宅のし尿・生活排水から産業排水、地域集落排水の処理をカバーし、多岐にわたる用途に対応している。排水処理関連機器だけでなく、地下水の飲料化の上水事業、使用した上水を再利用する中水事業にも関わっている。子会社と協業して、メンテナンスサービス体制を構築している。2016年12月期の同事業の連結売上高は15,913百万円で、内訳は浄化槽・排水処理システムが96.6%、上水事業が3.4%であった。

(1) 家庭用浄化槽?パイオニア的存在
同社は1964年から浄化槽の開発を始めており、1976年に業界で初めてFRP(繊維強化プラスチック)製浄化槽のJIS認定工場になるなどパイオニア的な存在である。2006年6月にはISO90001の認定を取得し、品質管理体制も強化。2014年1月に同社の「XE型浄化槽」は浄化槽業界で初のエコマークを取得した。同製品は大手ハウスメーカーが採用し、輸出もされ、収益性の改善に寄与した。重点施策とするディスポーザ(生ごみ破砕機)対応浄化槽及びディスポーザ排水処理システムの設置戸数で、業界No.1を目指している。マンションでディスポーザの利便性・快適性を体験した人に、戸建て住宅でのニーズが高まっている。地方自治体は、ディスポーザの使用による問題を防ぐため専用の排水処理システムとセットで導入することを求めている。同社製品は公益社団法人日本下水道協会が定めた基準の適合評価を得ており、ディスポーザと排水処理システムをセットで認可を取っていることが強みとなる。

(2) 排水処理システム?メンテナンスを含む一貫体制が強み
家庭用合併処理浄化槽が環境機器関連事業の売上構成比で16.0%であるのに対し、マンション、地域集落、食品加工工場、病院、電機、メッキ加工工場の排水処理を行う排水処理システムは54.6%を占める。


同社の強みは、排水処理施設に関する設計、製造、施工、販売、メンテナンスの一貫体制を取っていることにある。メンテナンス業務により顧客との継続的なコンタクトが可能になり、改修・増設工事の受注にも結び付く。また、現場で収集したユーザーニーズを研究開発にフィードバックしている。メンテナンスは、専属部門が24時間監視やスポット対応など顧客ニーズに合わせたサービスを提供できるよう体制を整えている。自社グループが設計・施工したものはもとより、他社の手掛けた設備・施設でも対応する。2016年12月期のメンテナンス収入は、前期比6.4%増の4,016百万円、環境機器関連事業売上高の25.2%を占めた。

(3) 物流-業務提携により効率化を図る
環境機器関連事業の営業網は、北は北海道から南は鹿児島までの全国主要都市をカバーしている。生産は愛媛県の松山工場や津島工場、信州工場(長野県)、福島工場(福島県)の4ヶ所で行われ、納品先に近い工場から出荷される。加えて、2008年に業務提携した大栄産業(株)のネットワークを活用し、運用の効率化を図っている。大栄産業は生産拠点を愛知県(2ヶ所)、北海道、大分県、鹿児島県の5ヶ所に持つ。両社は相手先ブランドで製造し、製品を相互供給することで、お互いの販売先に近い生産拠点から出荷する仕組みを構築し、物流コストを削減している。生産体制としては、見込生産、受注生産及び受注組立の生産形態となっている。

(4) 上水事業
環境機器関連事業に属し、新規事業に位置付けられている上水事業は主に病院、大型商業施設、福祉施設、スポーツジムなどに安全で安価な飲料水を安定的に提供するエスコサービスになる。供給する上水は地下水を飲料化したもので、従来の上水料金よりも10~30%のコスト削減になる。利用方法は水道とまったく変わらず、使用量に応じて課金される。エスコの上水設備は同社が所有する。顧客先の設備の稼働状況は、ITセンサーを駆使することで同社の本社から24時間、365日モニタリングする遠隔自動監視システムを導入している。

2016年12月期末のエスコサービスの累計契約は70件に達している。業態別ユーザーの内訳はライフライン確保を重視する病院が18件、次いで大型商業施設が12件、福祉施設が12件、スポーツジムが10件、食品加工工場が10件などとなる。全国でチェーン展開している大型商業施設やスポーツジムなどでの横展開を図る。地下水の飲料化は工場排水の処理システムを手掛けている同社にとって技術的な困難さはないが、リスクを嫌う食品加工業への浸透が遅れていた。しかしながら同分野でも新規開拓に成功したことから、同社エスコサービスの水質安全性に対する信用度が高まった。

国内では、累計100件、業界トップを目指しており、海外での事業化も検討する。エスコ事業は荏原製作所<6361>や栗田工業<6370>などの大手水処理機器メーカーが参入するには市場規模が小さい。一方、中小企業では資本力を含め企業体力に欠ける。現在のところ競争激化のおそれはないだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《SF》

 提供:フィスコ

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