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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4204 積水化学工業

東証P
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23:00 03/28
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2019年の“転機と商機”、太陽光発電「自家消費関連株」の可能性は <株探トップ特集>


―FIT終了で一般家庭どう動く、蓄電池関連企業が熱視線―

 家庭の 太陽光発電が2019年に転機を迎える。これは2009年11月に開始された余剰電力買い取り制度の適用を受けて導入された住宅用太陽光発電設備が19年11月以降、10年間の買い取り期間を順次終えることになるためで、大量の電力が買い手を失う恐れがある。対象者はこの「太陽光発電の2019年問題」とされる課題に対応せざるを得ず、今後は自家消費に移行する動きなどが出てきそうだ。

●原発7基分の電力が宙に浮く恐れも

 太陽光発電は再生可能エネルギーを普及させる柱として、政府が積極的に導入を支援してきた経緯がある。これを後押ししたのが09年11月にスタートした余剰電力買い取り制度で、家庭の太陽光パネルで作られた電気のうち、余剰電力(自家消費分を差し引いた余りの電気)を法令で定める条件により、電力会社が10年間にわたって固定価格で買い取る仕組み。買い取り価格は開始当時、1キロワット時当たり48円という破格の値段が設定された。その後、東日本大震災を経て拡張された制度は固定価格買い取り制度(FIT)に名称を変更するとともに、価格が段階的に引き下げられ、18年度は26~28円、19年度は24~26円になることが決まっている。

 FIT終了後も引き続き電気を売る方法があるのか、また仮に売れたとしても価格がいくらになるのかが依然として不透明なことが、「太陽光発電の2019年問題」として提起されている。中部電力 <9502> などがFIT期間終了後も積極的な買い取りを継続することを公表しているが、経済産業省・資源エネルギー庁が12日に開いた審議会では早期に11円まで引き下げる目標を掲げており、対象者の売電収入は大きく減る可能性がある。

 こうした問題に直面するのは、09年かそれ以前に住宅用太陽光発電を設置して、固定価格で買い取ってもらう制度を利用している家庭だ。資源エネルギー庁によると、FITを“卒業”する住宅用太陽光発電は19年11-12月だけで53万世帯に上り、23年までの累計では165万世帯が対象になるとしている。対象者は今後の余剰電力の行き先について考えなければならず、場合によっては23年までの累計で約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分相当の電力が宙に浮く恐れがある。

●パナソニック、ニチコンなどにビジネスチャンス

 19年11月以降の住宅用太陽光発電について、FIT終了後に採れる選択肢としては主に3通りが考えられる。ひとつは大手電力会社や新電力と安い価格で売電契約を結び直すこと、2つ目は発電した電力を昼間に使用する電気として自家消費し、余った電力は無償で電力会社に提供する方法。そして、3つ目が蓄電池を設置して余剰電力を蓄え、夜間などに利用する方法が挙げられる。蓄電池の設置にはコストがかかる一方、自家発電した電力を余すことなく使うことができるというメリットがあり、売電価格の下落を軽減できる有効策として関心を集めることになりそうだ。

 家庭用蓄電池は、NEC <6701> 、パナソニック <6752> 、シャープ <6753> 、エヌエフ回路設計ブロック <6864> [JQ]、デンソー <6902> 、京セラ <6971> などが手掛けており、ニチコン <6996> は家庭用蓄電池と電気自動車(EV)を組み合わせた新しい蓄電システム「トライブリッド蓄電システム」を展開している。

 また、太陽電池などで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換するパワーコンディショナーは、山洋電気 <6516> 、田淵電機 <6624> 、日新電機 <6641> 、ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> 、新電元工業 <6844> 、三社電機製作所 <6882> [東証2]などが販売。

 このほか、積水化学工業 <4204> は4月に、約40億円を投じて住宅向けのフィルム型リチウムイオン電池の生産能力を増強すると発表。設備稼働は19年度下期(19年10月~20年3月)を予定し、生産能力は約1万棟分になるとしている。

●エナリスなどVPP関連企業にも注目

 蓄電池の市場拡大に伴って、注目を集めそうなのが、仮想発電所と呼ばれるバーチャルパワープラント(VPP)だ。VPPは、家庭や工場などに点在する太陽光などの再生可能エネルギー発電、蓄電池などをネットワークでつなぎ、あたかも1つの発電所のように機能させるもので、電力の需給バランス調整に活用することができる。

 関連銘柄としては、オムロン <6645> やニチコンなどがVPP対応の蓄電システムを販売しているほか、豊田通商 <8015> と中部電力は共同で5月末からEVの蓄電池を活用したVPPによる電力系統安定化の実証事業を開始。

 エナリス <6079> [東証M]とKDDI <9433> は5月末に、経済産業省が実施する「需要家側エネルギーリソースを活用したVPP構築実証事業」に参画することを発表。昭和シェル石油 <5002> と西部石油(東京都千代田区)、横河電機 <6841> グループの横河ソリューションサービスは9月6日に、製油所のエネルギーリソースを活用したVPP構築実証事業を共同で実施することを明らかにしている。

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