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4114 日本触媒

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成長エンジン始動、量産化加速の「全固体電池」関連株を追え <株探トップ特集>


―世界中で激化する開発競争、技術で先駆する日本がグローバルスタンダードになる日―

 次世代電池の有力候補として注目されている全固体電池 であるが、いよいよ量産化の動きを見せ始めてきている。全固体電池はリチウムイオン2次電池が電解液を使用するのに対して、電解液ではなく固体でできていることが特徴である。

 リチウムイオン電池には可燃性液体が使われているため、衝撃などによる影響から発火や爆発を起こす可能性があり、過去には中国製モバイルバッテリーにおける発火事故などがたびたび発生したこともあった。もっとも、リチウムイオン2次電池の出現がスマートフォンやノートパソコンといった携帯電子機器の普及および進化をもたらせたことは言うまでもない。しかし、電気自動車(EV)の駆動用に搭載される電池としては、安全性と大容量・大出力化を兼ね備えた全固体電池の実用化が待ち望まれている。

●全固体電池の特許出願は日本が断トツ

 全固体電池はリチウムイオン電池と比べて、(1)より小さな電池でより大きな電力を蓄えることを示すエネルギー密度が高い(2)高温・低温に強く冷却システムやスペースなどがなくても作動する(3)固体のため液漏れやそれに伴う発火リスクがない、といった点がメリットだといわれる。更に、EVの航続距離が大きく伸びるほか、充電時間においても相当短縮できるといった利点もある。航続距離においてはフル充電で600キロメートル程度、充電時間も10分程度とされている。そのため、ガソリンスタンドで給油している時間とそれほど変わらなくなるため、ノンストレスでEVを利用することができるようになるとされる。

 また、地球温暖化防止のためには電源と輸送部門の両方の低炭素化が必要とされており、電気エネルギーを蓄え、必要に応じて繰り返し使う蓄電池は、これからの低炭素社会に必須の技術とされ、世界はもちろん日本でも重要視されている。実際、全固体電池に関連する特許出願件数は日本が断トツとされている。世界中で開発競争が激化するなか、「日本式」を世界標準に持っていくことができれば、関連企業にとっても将来の成長エンジンになることは間違いない。

●最高水準の容量を持つ全固体は村田製が開発

 全固体電池に関して最近話題となったのが村田製作所 <6981> だ。同社が2020年度下期に量産を始める全固体電池について、補聴器などに採用される見通しを公表した。これに関する報道によると、ロボット向けなどの位置制御機器や、工場などで環境データを収集するIoT機器などにも採用されるようだ。なお、同社は昨年6月に業界最高水準の容量を持つ全固体電池を開発したと発表し注目を集めた。従来のリチウムイオン2次電池と比べ、優れた安全性・耐久性を実現し、特に高い安全性が要求され、長時間の利用が前提とされるワイヤレスイヤホンなどのヒアラブル機器や広がりをみせるIoT社会の多様なニーズに対応し、滋賀県の工場で2020年度内に、月10万個の量産を始める予定を公表していた。今後は量産化によって実績を積みつつ、高容量化も進めることになるだろう。

●トヨタ・パナソニック連合はじめ有力企業目白押し

 トヨタ自動車 <7203> とパナソニック <6752> は4月に合弁会社「プライム プラネット エナジー&ソリューションズ」の操業を開始している。新会社では、車載用高容量/高出力角形リチウムイオン電池をはじめ、車載用全固体電池、新原理によるものを含む車載用次世代電池などの開発・製造・販売を行う。

 日本電気硝子 <5214> は、正極材料に結晶化ガラス、電解質に酸化アルミニウム素材を用い、開発中の全固体ナトリウムイオン電池の電気抵抗を大幅に減らすことで、実用可能な水準の性能を確かめたと発表しており、車載用や定置型用途として2025年の量産化を目指している。

 出光興産 <5019> は2月に全固体リチウムイオン電池の実用化に向け固体電解質の小型量産設備を新設すると発表しており、2021年度第1四半期に稼働開始の予定である。同社は固体電解質などに関する特許出願は電池材料メーカーとして最多の件数を有しており、原料から一貫生産できる安定した供給体制を構築することを目指している。

 マクセルホールディングス <6810> は硫化物系固体電解質を用いたコイン形のLiイオン2次電池を開発し、昨年9月にサンプル出荷を開始。固体電解質は三井金属鉱業 <5706> などとの共同開発であり、10年以上の貯蔵・充放電サイクルを可能とする長寿命特性100度以上の高温耐性を実現している。

 ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> は金属シリコン電極開発によるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化技術の改良に成功しており、この金属シリコン電極は全固体電池へも適用可能な技術で、2025年頃の電動化車両への適用を目指している。

 日本ガイシ <5333> は、セラミック製の積層電池部材に少量の電解液を浸み込ませた半固体電池を手掛けており、リチウムイオン2次電池と同等以上の電池性能を有するうえ、全固体電池と比較しても最高レベルの耐熱性能を持つことが実証されている。

 旭化成 <3407> は、2021年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画においてEVなど次世代自動車に対応した事業強化を主軸に捉えており、全固体電池と燃料電池の部材など将来の収益源となる事業にも注力する。また、日本触媒 <4114> は全固体リチウムポリマー電池用電解質膜の高性能化に成功。

 富士フイルムホールディングス <4901> は塗布型全固体電池を手掛けており、環境発電用やウェアラブル、宇宙空間用、薄型電子機器用での活用を見込む。FDK <6955> [東証2]はSMD対応小型全固体電池を年内に量産開始。太陽誘電 <6976> は積層セラミックコンデンサー(MLCC)で培った材料技術やプロセス技術を応用し、全固体電池を開発し2020年度中にもサンプル出荷を始め、2021年度中に量産を開始する予定。三櫻工業 <6584> は2018年に全固体電池の研究開発・製造を行うSolid Power社に出資し、全固体電池ならびにマグネシウム電池の研究・開発を進めている。

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