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4094 日本化学産業

東証S
1,454円
前日比
+24
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PTS
1,430円
22:43 03/28
業績
単位
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時価総額 295億円
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【新年3大テーマ (2) 】 全固体電池、「741円高」発進東京市場で始まる大相場 <株探トップ特集>


―リチウム電池&全固体電池、そして今買うべき株―

 2018年の東京株式市場は記録的な急騰で幕を開けた。リスク選好の流れとはいえ、アルゴリズム売買による加速的なトレンドフォローの買いが作用して値を飛ばし過ぎた感は否めない。しかし、これは早くも今年の相場の流れを決定づけるようなインパクトがあった。

 振り返って17年の日本株市場は中盤までもみ合い圏をなかなか離脱できなかったが、秋口以降は目が覚めるような日経平均の上昇で溜飲が下がった市場関係者も多かったと思われる。ただし、年を通じてみれば主力株の底上げは、それほどスケールの大きいものではなかったといえる。その代わりに中小型株を中心としたテーマ物色の波がいつになく強かった。この流れは今年も継続する可能性が高い。

●欧州、中国、米国で一気にEVシフト進む

 新年相場の物色テーマで何が主柱になるかを考えた場合、電気自動車(EV)関連はその最右翼に位置しているといっても過言ではない。なぜなら、今年を境にEV市場はワールドワイドに、加速的な速度でその規模を拡大していく構図が読み取れるからだ。世界的な自動車の環境規制強化を背景に、欧州や中国ではEVシフトを一気に国策として推進する構えをみせている。世界経済の中軸である米国もまた然りだ。

 世界最大の自動車市場である中国では、その自動車の急速な普及が諸刃の剣となって大気汚染を深刻化させている。これを受けて中国政府は、新エネ車(NEV=EV、燃料電池車、プラグ・イン・ハイブリッド車の総称)を20年までに累積500万台生産することを目標とする中期計画を掲げている。欧州では英仏両国がいずれも40年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出しているほか、個別企業の動きをみても、スウェーデンのボルボは19年以降に発売する全車両をEVもしくはハイブリッド車(HV)にする方針を明示、独フォルクスワーゲンも昨年12月に約10億ユーロを投下してEV専用工場を建設する野心的な計画を発表して話題を呼んだ。ちなみに同社は18~22年の5年間で電動車などの次世代技術に約340億ユーロを投入する方針という。

 また米国では、今年を境にゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)規制が一段と強化される。昨年秋から、米国では実質的にHVはZEV認定を外れているが、今秋にはプラグ・イン・ハイブリッド車(PHV)もその範疇から外れる見通しだ。これを受け大手自動車メーカーの動きも風雲急を告げており、例えば米ゼネラルモーターズは23年までにEVや燃料電池車(FCV)20車種を販売する計画を打ち出している。

 欧州・中国・米国は示し合わせたかのごとく一斉に「脱ガソリン・ディーゼル車」という一つのフラッグに向かって突き進む姿勢をみせている。こうした、世界の動きを目の当たりにして、国内では自動車業界というよりは日本の製造業の盟主といってよいトヨタ自動車 <7203> が遂に動いた。

●全方位型のトヨタがEVに目覚めた日

 トヨタはこれまで、自動車の環境規制強化を背景としたエコカーへの取り組みに際しては、EV、PHV、FCV、HVなど電動車の需要すべてに対応した全方位型の布陣で臨んできた。しかし、今は明らかにEV重視にスタンスを変えてきているようにも見える。30年までにEVなどゼロ・エミッション・カーを100万台以上販売する計画のもと、それに使う車載電池の開発や生産におよそ1兆5000億円を投資する方針を打ち出し、その前段階として25年頃までにエンジン車のみの車種をゼロにすると発表した。昨年12月中旬のことだ。

 これに先立って異業種であるパナソニック <6752> との車載用電池分野での提携を発表していたこともあって、トヨタの“本気”は業界全般に強いメッセージとして伝わった。ここ最近になって株式市場でEV関連株が軒並み再動意しているのは、このトヨタの動きがあってこそともいえる。

●動力源のリチウム電池で突出する日本の技術力

 まず、基幹部品である2次電池としてリチウムイオン電池 の需給逼迫が観測されており、昨年来、ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> や古河電池 <6937> などの電池メーカーのほか、リチウムイオン電池の正極材や負極材、セパレーター(絶縁体)、電解液など電池を構成する部材を手掛ける銘柄群に買いが向かった。リチウム電池はEVの基幹部品というより動力源そのものといってもよく、その電池素材で高いシェアを占める日本メーカーの活躍余地は大きい。

 電池の心臓部を担い性能を大きく左右する正極材メーカーでは、株価の値動きの大きさから田中化学研究所 <4080> [JQ]や戸田工業 <4100> などへの注目度が高い。このほか、住友金属鉱山 <5713> や日本化学産業 <4094> [東証2]、三菱ケミカルホールディングス <4188> 、新日本電工 <5563> 、住友大阪セメント <5232> 、デンカ <4061> 、カネカ <4118> などが有力関連株に挙げられる。住友鉱は正極材のニッケル酸リチウムを、パナソニックを経由して米テスラ社に供給していることでも知られる。

 また、リチウムイオン電池の負極材では、昨年の株式市場で昭和電工 <4004> や日本カーボン <5302> が中軸銘柄として物色された。このほか東海カーボン <5301> や日立化成 <4217> 、宇部興産 <4208> も同分野で実力を発揮する銘柄だ。特に日立化成 <4217> はカーボン負極材で世界トップシェアを誇っている。

 さらに、正極と負極のショートを防止するためにセパレーターが重要な役割を担う。同関連銘柄では、常にマーケットの熱い視線を集めるダブル・スコープ <6619> やニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]のほか、住友化学 <4005> 、旭化成 <3407> などが代表格だ。電解液メーカーではステラ ケミファ <4109> や関東電化工業 <4047> がシンボルストック的な位置を占めるが、これ以外にセントラル硝子 <4044> 、日油 <4403> なども挙げられる。

 リチウムイオン電池を構成する部材メーカーのほかにも、プリント配線板メーカーでトヨタグループのデンソー <6902> を主要販売先とするシライ電子工業 <6658> [JQ]やEV向けワイヤレス給電用共振コンデンサーを手掛ける岡谷電機産業 <6926> 、電池の評価試験装置を展開するエー・アンド・デイ <7745> や振動試験装置および受託試験も行うIMV <7760> [JQ]なども関連株として人気化した経緯がある。

●全固体電池がネクストステージの主役候補に

 一方、リチウムイオン電池関連株人気の延長線上でにわかにスポットライトが当たったのが、次世代2次電池である全固体電池 だ。これは、現行のリチウムイオン電池では液体である電解質(電解液)を固体材料に変え、正極と負極を含めすべての部材を固体で構成する電池のこと。固体化することで、可燃性の電解液で問題となっていた液漏れなどに伴う発火の危険性をなくし、航続距離の大幅な延長に加え、数分で済むというフル充電時間の画期的な短縮を実現する。

 最近ではトヨタの副社長が昨年の東京モーターショーで、20年代前半の全固体電池実用化を目指す方針を明らかにしたことで、業界がにわかに色めき立った。現時点では東京工業大学と共同で学術研究を進めている段階だが、試作品は既に完成されている。もちろんトヨタだけではなく、ホンダ <7267> や日産自動車 <7201> も全固体電池の開発に取り組んでおり、トヨタは業界内のライバルとの提携も視野に同分野を深耕していく構えにある。

 全固体電池関連株として昨年大人気化したのが、光学ガラスメーカーのトップメーカーであるオハラ <5218> 。同社は全固体電池の研究開発を先駆して進めているが、車載用については現時点では商用化が難しい状況にある。しかし、全固体電池実用化の前段階として、現行の電解液を使うリチウムイオン電池の性能向上に効果が見込めるガラスセラミック素材を利用した添加剤を独自開発するなど、その技術力は高い。また、固体電解質分野の研究開発に注力するカーリットホールディングス <4275> も株価を倍化させた。このほかでは、電解質と電極を粉体の原料のまま成型する技術を確立している日立造船 <7004> もここにきて動意含みだ。富士通グループの電池分野担当といってもよいFDK <6955> [東証2]は富士通研究所と共同で高電圧・大容量の全固体電池の開発を進捗させている。

●軽量化もEV隠れテーマで大化け株潜在

 EVの普及に際しては航続距離を伸ばすことが重要課題となっているが、それをクリアするために電池だけでなく、車体の軽量化についても取り組みが本格化している。

 プラスチック成形機の周辺機器を手掛けるカワタ <6292> [東証2]はその一角。EV大国を目指す中国メーカー向けに受注実績が豊富で足もとも増勢にあり、この現地メーカーとのパイプが今後EVの普及加速局面で生きる可能性が高い。自動車プレス部品の大手メーカーでハイテン材やハイテン材の加工を手掛ける東プレ <5975> も注目される。自動車向けダイカストを主力とするアーレスティ <5852> も軽量化でビジネスチャンスが広がることは必至であり、ここからの上値余地は大きそうだ。EV向けに炭素繊維のニーズも高まることが予想され、サカイオーベックス <3408> や津田駒工業 <6217> 、負極材で前出の日本カーボンなども別の切り口から改めて脚光を浴びる可能性がある。


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