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明日の株式相場戦略=菅新政権で見えてきた相場の要諦

 週明け14日の東京株式市場は、幅広く買い優勢の地合いとなり日経平均は3営業日続伸した。約7カ月ぶりにフシ目の2万3500円ラインを上に抜けてきたことで、次は中長期波動の因縁場である2万4000円の大台をいつ、どういうタイミングで捉え、そして抜き去るかということになる。

 企業収益の厳しさについて言及するのは今さらだが、国内大手証券の直近試算によれば主要企業の20年度(今期)の経常利益予想は前年度比22.6%減益予想で、19年度の24.1%減益に続き2割強の減益が続く見通し。しかし、このコロナ禍にあって、2割強の減益で済むというのは、意外に強いと感じる投資家も多いのではないか。いわゆる「コロナショック」ではなく、「コロナ特需」を得た2極化の勝ち組側の銘柄が緩衝材の役割を担う。更に、来期の業績、つまり21年度の経常利益については47.2%の大幅増益を予想している。前期と今期の減益幅を足し算すると約47%であり暗示的ではあるが、だからといって母体となる数字が違うため、1期で2期分の落ち込みを解消するほどのV字回復にはあたらない。それでもビフォーコロナの18年度比で85%の水準を回復すると考えれば、未曽有の大不況に突入するのではないかという恐怖感で、投資家マインドが負のスパイラルに陥ることもなくなる。

 米国株市場ではひと頃の波乱相場は落ち着いたものの、ハイテク株への売り物は依然として五月雨的に出てくる状況で、それを映したナスダック総合指数などは相対的にも足もとがおぼつかない。これは海外投資家のリスク許容度低下に伴う持ち高調整つながり、東京市場でも半導体関連トップの東京エレクトロン<8035>や、あれだけ強かったレーザーテック<6920>などの上値の重さなどに反映されている。

 しかし、東京市場では首相の交代という“変化”が少なくとも相場にポジティブな潮の流れをつくっている。きょう午後に都内のホテルで開かれた両院議員総会で菅官房長官が新総裁に選出された。これについては、ほぼ100%株式市場は織り込んでいたが、それでも一連のスガノミクス関連株が祝砲を轟かせるように相次いで値を飛ばした。デジタル行政の加速という点では、これまでも物色の中心軸にあったデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の出遅れ株に資金が流れ込み、地銀株も福島銀行<8562>が東証1部の値上がり率トップに買われるなど、象徴的な物色の動きがみられた。明暗の“暗”の方では、KDDI<9433>やNTTドコモ<9437>、ソフトバンク<9434>など通信メガキャリアの下げが止まらない。いずれにせよ、アベノミクスを継承するはずのスガノミクスは、株式市場にこれまでと明らかに違ったコントラストを生じさせている。

 個別材料株では、医療ICT関連の一角として何度か注目してきた銘柄で足の軽いソフトマックス<3671>がストップ高に買われる人気となった。CEホールディングス<4320>、日本システム技術<4323>なども値を飛ばしたが、これらはみな超高齢化社会の医療という重いテーマを持つ空間で、現在のDX相場のダイナミズムが伝播している。この流れを背景に、電子カルテに強く、院内感染監視システム「Medlas-SHIPL」を展開するキーウェアソリューションズ<3799>なども再び日の目を見る可能性がありそうだ。また、業績面は厳しくその点では割り切りが必要となるが、医療画像を手掛けるイメージ ワン<2667>なども株価的にはいい位置にいる。更に穴株的な素地を持つ銘柄としては、心電図などの記録紙や点滴用などの医療向けラベルを手掛ける国際チャート<3956>などもマークしておきたい。

 このほか、売り込まれた外食イベント関連、いわゆる“GoTo関連株”の出直りでは、レイ<4317>、三精テクノロジーズ<6357>、ベルトラ<7048>などに着目したい。

 日程面では、あすは海外で8月の中国工業生産高・小売売上高、1~8月の中国固定資産投資・不動産開発投資などが発表される。また、米国では16日までの日程でFOMCが開催されるほか、8月の米鉱工業生産・設備稼働率、8月の米輸入物価指数、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数などが注目されている。このほか、豪中銀の政策金利発表や9月のZEW独景気予測指数の発表も予定される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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