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ベルトラ Research Memo(6):ウィズコロナ時代の旅にテクノロジーで挑戦する(1)


■事業戦略・トピックス

1. 事業投資の選択と集中
2020年12月期第1四半期の時点で、コロナ禍がベルトラ<7048>の事業に与える影響を検討し、現事業の集中と選択を実行している。

(1) 一部事業の閉鎖
訪日旅行者向けの「VELTRA」サービスである「グローバル事業(英語サイト)」「中華圏事業(中国語サイト)」を閉鎖した。これは、中期黒字化の計画が大幅に遅れることが想定され、より大規模な投資を行わない限り、計画通りの成長実現は困難であると判断したためである。

(2) 継続する投資事業
一方で、子会社のリンクティビティが提供する日本の公共交通機関と世界各国の旅行会社を結ぶ予約プラットフォームシステム事業は継続している。これは、契約先が引き続き増加しているため。なお、非接触型の電子チケット化を推進する動きが高まるなか、訪日旅行者向けだけでなく日本人向けの電子化もサポートするため、スピード感を持って事業を推進する方針である。

(3) 新常態への取り組み
同社は新常態(ニューノーマル)時代に向けた旅行サービスの実施を検討している。これは、今後デジタル関連サービスが一層強化されると予測しているためである。国内市場の旅行回復を皮切りに、海外でも新常態時代に必要な新たな旅行体験が登場すると見ており、新常態における旅前ビジネスと新規顧客層を開拓し、新たな「体験」価値を創造する。同社は2004年のサービス開始以来、世界5,000社以上の現地アクティビティ催行会社との強固なパートナーシップのもとサービスを拡大してきたが、世界中の人々が旅行を控えている現状、旅行予約サービス以外で顧客と現地パートナー企業に対して貢献できることは何かないか、という課題に立ち向かう。新常態への取り組みに対しては、本業の人員をほぼすべて新サービスに投入することで、コロナ禍の影響を著しく受ける旅行業界をリードする存在として、既存のビジネスモデルにとらわれず、新たな観光体験の提供を目指す。

2. 事業環境
コロナ禍により、2020年4月には世界184の国と地域で日本からの渡航者に対して入国制限措置がとられ、旅行産業に大きな影響を及ぼしている。政府は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の全面解除を受け、社会経済活動を段階的に拡大する指針をまとめ、新型コロナウイルス感染防止策と社会経済活動を両立させる方針を打ち出している。消費喚起策「Go Toキャンペーン」のほか、8月には茂木敏光外務大臣がほぼ半年ぶりとなる閣僚の外国訪問を活発化させており、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた支援策のほか、入国制限の緩和をめぐって各国の外相との協議に臨んでいる。

しかし、今後、渡航制限が解除された後も、旅行や長距離移動への不安は続くと予想される。コロナ禍の収束時期は未だ不透明なうえ長期化が予想されるなか、感染予防策のコストが事業者の負担増にもなる。また、新常態への対応が困難なサービスは淘汰されることになるだろう。一方で、同社にとってこの事業環境がプラスとなる面もある。具体的には、コロナ禍収束後の旅行意向は約7割が変わらず前向きであること、外出自粛によりオンラインサービスが加速されること、本業の人員をほぼすべて新サービスに投入できることなどが挙げられる。

3. 新CTOに坂水氏が就任
2020年5月に、新CTO(最高技術責任者)として坂水健一郎(さかみずけんいちろう)氏が就任した。坂水氏はこれまで、Microsoft Corporation <MSFT>でのソフトウェア開発シニアマネジャーを経て、LINE <3938>、楽天の技術部門長と執行役員を歴任。2017年からはウォルト・ディズニー・ジャパン(株)のExecutive Directorとして定額制動画配信サービスの立ち上げやアプリの開発などを統括し、日本マーケットにおける同社のデジタル化を推進してきた。

2020年5月の就任後すぐ、ウィズコロナ(新型コロナウイルス感染症流行下)時代に世界のリアルな「今」を届ける旅情報メディア「VELTRA Kite」の立ち上げを指揮。発案から約2週間でサービスをローンチさせる凄腕ぶりを発揮している。坂水氏のCTO就任により、同社ではこれまで以上に、開発のスピードアップと旅行予約テクノロジーのオンライン化を推し進めるとしている。

4. ウィズコロナ時代の旅メディア 「VELTRA Kite」
世界各地のアクティビティ催行会社やガイドと提携し、現地のリアルな「今」を届ける情報発信サービスとして、2020年5月29日に公開した。ニュース等では各国の新型コロナウイルス感染者数などの情報が多く報道され、地域ごとの実態をキュレーション(特定の視点で収集、選別、編集)した情報がない。「現地の正しい“今”を配信し、コロナと共存した新しい旅のスタンダードを世の中に広める」というミッションのもと、地域ごとの生の情報をリアルタイムで伝える。ウィズコロナ、アフターコロナ(感染症収束後)の時代においても、世界中にネットワークを持つ同社だからこそ可能な細やかな情報サービスを提供する。なお、現地情報を発信できるプラットフォームとしてサービスを開始し、順次機能を拡充していく予定である。

「VELTRA Kite」はヨーロッパ、アジア、オセアニア、ハワイやアメリカなど合計10ヶ国の現地パートナーからスタートしており、6月には50ヶ国、150名体制に拡大し、7月には100ヶ国、350名の現地パートナーを確保している。将来的には広告モデルによる収益化を図り、情報の提供元となる現地パートナー企業に広告収益を還元することで、旅行者の減少によって打撃を受けた世界各地のアクティビティ催行会社の支援につなげるビジネスモデルを目指す。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《YM》

 提供:フィスコ

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