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サイバーコム Research Memo(5):リーマンショック後は業績拡大、2017年12月期は過去最高水準


■業績動向

1. 過去業績(2017年12月期まで)
サイバーコム<3852>の過去の業績について見ると、リーマンショック前の2008年3月期に、それまでの最高値の売上高と営業利益を記録した後、2011年3月期には2008年3月期比で売上高が約30%減少している。一般的に、30%ほども売上高が減少すると営業損失に転落する企業が多いなかで、同社は営業利益を確保しているので、比較的不況期に強い企業体質であることが推測できる。

その後は、売上高・営業利益とも順調に拡大している。2016年3月期にはリーマンショック前の最高売上高を更新した。2017年12月期(2017年4月-12月)は決算時期変更のため9ヶ月決算となった。9ヶ月の変則決算のため過年度比較が難しいが、売上高は過去最高値を記録した2017年3月期を実質的にさらに上回る勢いである。また、営業利益については、この1~2年は横浜本社ビルの取得や技術者人材の確保などによる費用負担もあり、通期での過去最高値の更新までには至っていないが、2019年までの中期経営計画の期間内では達成が期待される。

自己資本比率とROEの推移を見てみると、同社が上場を行った2008年3月期以降で自己資本比率が急激に上昇し、2011年3月期以降はおおむね60%前後で安定していることがわかる。ROEについては、上場による自己資本の拡大期である2008年3月期からリーマンショック後の不況期である2012年3月期までは低下傾向にあったが、その後の業績回復に伴い、8~10%程度に上昇している。2017年12月期がやや低下して見えるのは、9ヶ月決算によりほかの12ヶ月決算期対比で低下しているためであり、実質的には向上している。


2018年12月期は主力のソフトウェア開発事業が順調に拡大し増収増益
2. 2018年12月期決算概要
2018年12月期(2018年1月-12月)の業績は以下のとおりである。なお、2017年12月期が決算期変更で9ヶ月決算だったため、前年同一期間については、2017年1月-2017年12月の実績との比較で表示している。

売上高については前年同一期間比11.9%増の12,072百万円、営業利益は同22.1%増の608百万円、経常利益は同20.3%増の616百万円、当期純利益は同14.4%増の418百万円であった。年間の計画値比でも、売上高・各利益指標値とも超過達成している。売上高については主力のソフトウェア開発事業が引き続き好調に推移し順調に拡大した。営業利益については増収に加え、前年同一期間に発生した本社移転費用の減少等により増益となった。当期純利益は、助成金収入の減少により営業外収益が減少したが、本社移転費用等の特別損失が発生せず、増収効果により増益となった。

IT業界においては、情報システムやネットワークのセキュリティ対策及び信頼性の確保に対する取り組み、車載、交通分野並びにエネルギー分野などの社会インフラや医療分野における需要拡大に加え、AI、IoT(Internet of Things)、自動運転、第5世代移動通信(5G)、RPA(Robotic Process Automation)、FinTechといった新たな技術を活用したビジネスへの期待が高まっている。一方で、IT技術者不足が常態化しており、人材の確保及び育成がより大きな課題となっている。

同社においては、既存顧客のリピートオーダー確保や新たなニーズの掘り起こしに加え、新規顧客の獲得や需要拡大が見込まれる成長分野への積極的な営業展開に注力し、主力のソフトウェア開発事業に加えサービス事業も堅調に推移し、売上高は順調に拡大している。また、動員力強化施策として、内定者との懇談会や職場見学会の実施など新卒及び中途採用活動を積極的に展開するとともに、パートナーとのリレーションシップ強化施策を推進している。さらに、高度スキル転換技術者教育や技術力、管理力の向上にむけた階層別研修を実施し、人材育成に取り組んでいる。

3. セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
主力事業であるソフトウェア開発事業においては、売上高9,859百万円(前年同一期間比14.4%増)、営業利益1,313百万円(同19.5%増)となった。通信ソフトウェア開発は大手通信キャリア向けシステム案件が減少し、他の好調分野への要員シフト等の影響もあり、減収減益となった。制御ソフトウェア開発においてはECU(Electronic/Engine Control Unit)などの車載システムや半導体製造装置システムの開発案件が好調に推移し増収増益であった。また、業務ソフトウェア開発においては、企業向け業務システム、生保システム、エネルギー関連システム、医療向けシステム、ECサイト構築、電子マネー・クレジット決済システム等の開発案件が好調に推移し大幅増収増益であった。

売上高推移で見ると、通信ソフトウェア開発がこの3~4年は減少傾向にあるが、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発が拡大し、ソフトウェア開発事業全体では順調に成長している。

(2) サービス事業
サービス事業においては、売上高2,151百万円(前年同一期間比1.6%増)、営業利益300百万円(同4.6%減)となった。SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)においては、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件、サイバーセキュリティ対策案件や、通信キャリア向けの第5世代移動通信(5G)・ネットワーク構築関連の基地局検証案件が堅調に推移した。また、自社プロダクトにおいては、「Cyber Smart」シリーズ製品においてクラウドサービス及び年間保守の増加等により堅調な推移となった。

過去の売上高推移を見ても、おおむね安定的かつ順調に伸長していることがわかる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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