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3800 ユニリタ

東証S
1,931円
前日比
+13
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.3 1.28 3.52
時価総額 154億円
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決算発表予定日

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ユニリタ Research Memo(4):2019年3月期上期は増収減益。先行費用の拡大等が利益を圧迫(1)


■決算動向等

1. 2019年3月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2019年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比35.8%増の4,497百万円、営業利益が同33.4%減の374百万円、経常利益が同27.0%減の469百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同33.1%減の291百万円と増収ながら減益となった。期初予想に対しても、売上高が若干上回ったものの、利益面では大きく下回る進捗となっている。

売上高は、2018年2月に買収した無限の連結効果(約9億円の増収要因)に加えて、「メインフレーム事業」を除く、すべての事業が伸長した。特に、注力する「クラウド事業」が順調に伸びたほか、「ソリューション事業」もコンサルと製品の組み合わせ提案などが奏功して好調に推移した。

一方、利益面で大きく落ち込んだのは、「プロダクト事業」の一部製品の販売未達や「メインフレーム事業」の下振れが利益を押し下げたほか、技術開発力の強化に向けた人材配置(期初計画を上回る技術者の投入)により一時的に開発原価が増加したこと、「クラウド事業」及び移動体向けIoTビジネスに対する研究開発費の拡大などが理由である。

財務面では、総資産が前期末比0.7%減の15,331百万円とほぼ横ばいで推移した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同2.2%増の11,686百万円と増加したことから、自己資本比率は76.2%(前期末は74.1%)に上昇した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) クラウド事業
売上高は前年同期比39.1%増の342百万円、営業損失が66百万円(前年同期は39百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。売上高は、注力する「LMIS on cloud」(ITマネジメントサービス)のほか、「Web×Security」(Webセキュリティサービス)や「DigiSeet」(SaaS型勤怠管理サービス)がそれぞれ伸長するとともに、無限の経費業務管理ソリューション「らくらくBOSS」シリーズも増収に貢献した。特に、「LMIS on cloud」は、システム運用コンサルティングとの連携強化や製品機能の強化が奏功し、業務効率化に伴うヘルプデスク業務のBPO化ニーズ※1を捉えることができた。また、「Web×Security」はワークスタイルの多様化に伴うセキュリティニーズ※2に対応した。「DigiSeet」についても、働き方改革が進むなかで新たな派遣業種※3でのニーズを発掘し、2018年9月末のユーザーID数は60,000ユーザ(前期末は50,000ユーザ)に拡大した。一方、利益面では、「Web×Security 」や「らくらくBOSS」などサービス開発のための体制増強にかかる先行費用が想定よりも増加し、減益幅が拡大した。

※1 企業がヘルプデスク業務のBPO化(外部委託)を進めるに当たり、そのサービスの質を可視化してモニタリングするなど、継続的な改善を管理するための仕組みが必要となる。子会社のビーエスピーソリューションズは、その仕組みに則ったコンサルサービスの草分けであり、コンサルと製品の組み合わせ提供できる体制が優位性となり、案件の大型化につながっている。導入ユーザも100社を突破した。
※2 本製品の持つ、シングルサインオン(一度のユーザ認証処理によって複数のソフトウェア等が利用可能になる仕組み)やID管理機能により業務効率化とセキュリティ強化に貢献。
※3 これまでの事務系だけでなく、建設系への派遣企業でニーズが拡大している。


(2) プロダクト事業
売上高は前年同期比12.8%増の1,339百万円、営業利益は同43.1%減の82百万円と増収ながら減益となり、特に利益面で計画を下回った。売上高は、自社製品を核とした業務ソリューション化がETLや帳票製品販売に貢献。また、デジタル変革を進める際の業務プロセスの可視化や再構築ニーズを捉えたBPM製品の販売が伸長した。ただ、システム運用における自動化製品については、前年同期にあった大型案件の反動減や構造的な変化の影響(市場の成熟化やクラウドへのシフトなど)により伸び悩んだほか、移動体向けIoTビジネスの製品販売案件の受注遅れにより計画を下回る進捗となった。利益面でも、利益率の高い自動化製品の販売未達や移動体向けIoTビジネスへの研究開発費の増加により減益となった。

(3) ソリューション事業
売上高は前年同期比15.3%増の862百万円、営業損失が1百万円(前年同期は17百万円の利益)と増収ながら減益(営業損失)となったが、おおむね計画内とみられる。売上高は、「クラウド事業」及び「プロダクト事業」との連携が業績の伸びをけん引。すなわち、両事業を伸長させるための前行程となるコンサルティング、そして後工程となる技術支援サービスがそれぞれ好調に推移した。特に、業務ソリューション化施策によるETL製品販売の伸びにより技術支援サービスが伸長したほか、同社グループの強みであるシステム運用及びデータ活用コンサルティング機能を活かした複合提案が奏功した。ただ、利益面では、クラウドサービスが拡大するなかで、オンプレミス型企業向け情報ポータル製品の縮小や一部システム構築案件の収益性の悪化などにより営業損失となった。

(4) メインフレーム事業
売上高は前年同期比7.1%減の1,050百万円、営業利益が同6.6%減の559百万円と減収減益となり、利益面が計画を下回った。売上高は、前年同期に貢献したホストコンピュータ増強や機器更改案件などの大型案件の受注がなかったことにより反動減となった。利益面では、利益率の高いライセンス販売の下振れが減益要因となった。

(5) システムインテグレーション事業
無限の連結化により追加されたシステムインテグレーション事業は、売上高が903百万円、営業利益が20百万円となった。好調な受注環境のもと、システム開発案件の受注が伸長した。一方、利益面では、収益性の高い一括請負型開発案件の受注計画の未達や技術者不足による外注コストの増加、のれん償却費などが影響した。

以上から、上期業績を総括すると、利益面では計画を下回る減益となったものの、需要が拡大している「クラウド事業」が順調に伸びていることや、コンサルと製品の組み合わせ提案が奏功したところは評価できるポイントと言える。また、減益となった要因についても、一部製品の販売未達やメインフレーム事業の縮小によるものと、新たな成長分野に対する先行費用の大きく2つに分けて捉える必要がある。すなわち、後者については、急速な市場の変化(特に、加速するクラウド化への潮流)に対応するためのものであり、今後の成長につながるものとして評価することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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