信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3800 ユニリタ

東証S
1,914円
前日比
+12
+0.63%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.1 1.27 3.55
時価総額 153億円
比較される銘柄
オプティム, 
アイネット, 
テラスカイ
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

ユニリタ Research Memo(4):2018年3月期は微増収ながら減益(期初予想を下回る着地)


■決算動向等

1. 2018年3月期決算の概要
ユニリタ<3800>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比1.7%増の7,056百万円、営業利益が同7.5%減の1,347百万円、経常利益が同6.5%減の1,454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.6%減の965百万円と微増収ながら減益となった。また、期初予想は下回ったものの、減額修正予想(2017年11月7日)に対しては、おおむね計画どおりの着地となった。

売上高は、需要が拡大している「クラウド事業」が大きく伸びたほか、「プロダクト事業」も下期での巻き返しにより増収を確保したものの、「ソリューション事業」及び「メインフレーム事業」の縮小により微増収にとどまった。なお、期初予想を下回ったのは、「プロダクト事業」の上期未達分をカバーできなかったことと、それに伴う製品導入のための技術支援サービスの受注不足により「ソリューション事業」が落ち込んだことが理由である。特に、環境変化※1に対応するため、営業とセールスエンジニアが一体となったソリューション提案活動を展開したものの、具体的な成果(成約率の向上や案件の大型化等)に至るまでに時間を要したことが上期業績の未達要因となった。もっとも、下期には活動の成果が出てきたことやパートナー企業とのアライアンスなどが奏功し、業績は上向きで推移している※2。

※1 ITの役割が「守り」から「攻め」に変化(ビジネスの競争優位性の実現など)し、それに伴って主導権がこれまでのIT部門から事業部門へ交代してきたことや、製品のコモディティ化(差別化が難しい状況)が進むなかで、製品の単品販売という売り方から、より具体的なソリューション営業が求められるようになってきた。
※2 特に、2018年3月期第4四半期だけで見ると過去最高の売上高、営業利益を更新(四半期ベース)。


損益面では、特別なコスト要因はなかったものの、前期にあった大型案件の反動減や先行投資的な費用の増加などの影響により、営業利益率は19.1%(前期は21.0%)に低下した。

財務面では、総資産が「投資有価証券」の増加※1や「のれん」の計上※2等により前期末比13.9%増の15,517百万円に大きく拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しはあったものの同6.8%増の11,432百万円にとどまったことから、自己資本比率は73.7%(前期末は78.5%)に低下した。ただ、依然として高い水準を維持していると言える。また、資本効率を示すROEも減益となった影響等により8.7%(前期は10.2%)に若干低下した。

※1 アイネットとの資本業務提携に伴うもの(議決権比率の0.6%に相当する10万株を立会外取引にて取得)。
※2 無限の連結化に伴うもの(取得価額の合計632百万円のうち、「のれん」計上額は535百万円)


事業別の業績は以下のとおりである。

(1) クラウド事業
売上高は前期比22.1%増の513百万円、営業損失は83百万円(前期は168百万円の損失)と増収増益により損失幅が縮小した。「Be.Cloud」が伸びたほか、主力製品であるITSM製品「LMIS on cloud」がシステム運用コンサルティングとの連携により、顧客企業(事業部IT部門)のデジタルビジネスへの対応ニーズを取り込んだことで好調に推移した。また、SaaS型勤怠管理サービスも人材派遣業界のニーズを取り込み伸長した。一方、損益面では依然として営業損失を計上しているものの、増収に伴って損失幅は大きく縮小している。

(2) プロダクト事業
売上高は前期比2.8%増の2,562百万円、営業利益は同21.1%減の302百万円と増収ながら減益となった。上期に出遅れたものの、下期に向けて既存製品を核とした業務ソリューション化(帳票、BI製品販売)による案件の大型化やパートナー企業との協業モデルが奏功したほか、BPM製品及び子会社のBCP製品の販売が好調であったことが増収に寄与した。一方、減益となったのは、既存のETL製品が前期にあった大型案件の反動減により落ち込んだことや自動化製品でのソリューション化の遅れに加えて、移動体向けIoTビジネスの拡販に伴うIoT機器の仕入れ販売が増加したことなどが理由である。

(3) ソリューション事業
売上高は前期比1.1%減の1,748百万円、営業利益は同5.8%減の219百万円と減収減益となった。デジタル領域への好調な投資ニーズを受け、事業部IT部門向けのシステム運用コンサルティングが好調であったほか、アウトソーシングや技術支援サービスでは、「Be.Cloud」、BI、ITSM等も伸長した。一方、減益となったのは、BPM及びデータマネジメントコンサルティングにおいて前期にあった大型案件の反動減が理由である。

(4) メインフレーム事業
売上高は前期比1.3%減の2,231百万円、営業利益は同2.2%減の1,178百万円と減収減益となった。市場が縮小傾向にあるなかで、ホストコンピュータ更改を見据えた提案や、データセンターの統合や移転などのリスク管理を同社のノウハウをもとにソリューション化した協働提案活動が奏功し、想定内の縮小幅に抑えることができた。


組織的な販売体制の確立や、ソリューション提供力の強化には一定の成果
2. 活動実績
同社は、前期の活動方針として、(1)お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化、(2)アライアンスによるソリューション提供力の強化、(3)新たな価値を創造する製品・サービスの開発と強化、(4)グループシナジーの発揮、の4つに取り組み、以下のような活動実績を残すことができた。

(1) お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化
既存の営業機能と技術部門のカスタマーサービス機能を統合したフロント組織の編成のほか、既存顧客の多様化するニーズに対応し、課題解決力を強化するための組織的営業活動(営業とセールスエンジニアが一体となったソリューション提案活動)の体制づくりを推進してきた。具体的な成果に至るまでに時間を要したことから、上期業績の下振れ要因となったものの、下期にかけては成約率の向上や案件の大型化につながる具体的な成果が出始めている。また、西日本地域の販売体制強化のため、ユニリタプラスを設立(旧西日本事業部)した。

(2) アライアンスによるソリューション提供力の強化
課題解決型ソリューション提供力の強化のため、特定業務に強いパートナー企業との協業モデル作りにも積極的に取り組んだ。その結果、パートナー企業数は96社(前期末比8社増)に拡大し、協業モデル数も37件に増やすことができた。特に、2017年5月にはクラウド型データセンター事業を展開するアイネットとの資本業務提携を実施すると、アイネットのクラウドサービスプラットフォーム上で同社セキュリティソリューションの提供を開始。また、情報技術開発(株)※1や(株)東計電算<4746>※2とのパートナー提携も開始している。

※1 マイグレーション(システムの引っ越し)のノウハウと実績が豊富な情報技術開発と同社が協業することで、より短期間・高品質のマイグレーションソリューションを提供することが可能となる。
※2 東計電算が提供する食品系企業向け業務パッケージと同社ソフトウェアとの連携を図ることが目的である。


(3) 新たな価値を創造する製品・サービスの開発と強化
1,200社を超える導入実績をもとに、既存製品を機能視点ではなく、業務課題解決の視点からラインナップ(17ソリューション化)して提供を開始し、新しい顧客層からの受注につなげることができた。また、SaaSサービス充実のため業界初となるコミュニケーション特化型のアプリケーション開発プラットフォーム上にAI機能を追加。IoT技術を活用したバス事業者向けソリューションを提供する子会社ユニ・トランドでは、バス位置情報リアルタイム検索や目的地検索等の既存サービスの拡販に加え、乗降センサーによりバス乗降客属性分析の実証試験やAI技術開発企業への出資も行った。これまでなかった新しいサービスであるため、まずはスピード感をもって面を取る(先行者利益を獲得する)戦略を描いている。データ活用による収益化には中長期の目線が必要であるが、設立2年目にして、全国40のバス会社へ導入するなど順調に拡大している。

(4) グループシナジーの発揮
顧客の事業課題を解決するためにIT上流工程からコンサルティングサービスで参画し、「子会社コンサルティング×ユニリタ製品」による連携ソリューションの提案活動を推進し、大型案件の受注につながった。特に、事業部IT部門向けのシステム運用ノウハウとクラウド型の同社製品を組み合わせたコンサルティング活動が奏功している。また、グループエコシステム整備のため、システムインテグレーション(設計・開発フェーズ)をカバーする無限※のM&Aを実施し、連結子会社とした。

※システムインテグレーション事業のほか、働き方改革、生産性向上に貢献するバックオフィス向けパッケージソフトも提供している。無限のシステム開発力を生かし、顧客の導入ニーズに対してより広範に、かつ迅速に応えること、及び両社の技術力、業務ノウハウへの知見を合わせることにより、業務支援部門の変革ニーズにも応える新たなサービスソリューションを開発することを目的としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《NB》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均