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3800 ユニリタ

東証S
1,931円
前日比
+13
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.3 1.28 3.52
時価総額 154億円
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決算発表予定日

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ユニリタ Research Memo(6):今後の成長に向けたIT技術の入れ替えは順調に進展


■成長戦略とその進捗

ユニリタ<3800>は、前期(2016年3月期)から3ヶ年の「第2次中期経営計画」を推進している。企業のIT部門に求められる役割が企業価値向上のために直接貢献するところへシフトしていくなかで、「パッケージソフトウェアメーカーとしての製品開発力並びにサービス力の強化」「お客様の経営課題解決に必要とされるITスキルの強化」「新・企業文化創り」の3つを基本方針を掲げ、事業変革実現に向けて取り組んでいる。前述したとおり、2017年3月期の売上高計画は減額修正したものの、最終年度である2018年3月期の計画は据え置いており、売上高10,000百万円(3年間の平均成長率12.8%)、経常利益2,400百万円(経常利益率24.0%)、ROE14.0%を目指す内容となっている。

「メインフレーム事業」が縮小傾向をたどるなかで、オープン系の製品販売が同社の成長をけん引する想定である。また、新規・成長事業分野の売上高構成比を48%にまで拡大する計画となっている。

基本方針における進捗状況は以下のとおりである。

(1)パッケージソフトウェアメーカーとしての製品開発力並びにサービス力の強化

クラウド利用の普及やデータ活用ニーズに対応するため、複数のクラウドサービス間でのデータ受け渡しを高速化する「Waha! Transformer(ワッハートランスフォーマー)最新バージョン」や社内外のクラウドやサーバに散在するデータを一括検索できる「MyQuery(マイクエリ)」など、新製品及び新サービスをリリースし、顧客からの高い評価を得ることができた。また、メーカー型営業体制を目指し、インサイドセールス(メールなどの非対面方式によるアプローチ)との機動的連携等を進めてきたが、こちらは計画どおりの成果を出すには至らなかった。

(2)顧客の経営課題解決のために必要とされるITスキルの強化

技術の入れ替えのための先行投資として、市場拡大が期待される「モバイル」、「ビッグデータアナリティクス」、「クラウド」、「セキュリティ」の新規・成長事業分野に既存事業から20%相当の60名を重点配置した。また、新規投資分野を統括する新ビジネス本部を設置するとともに、マイナンバー関連、IoT、セキュリティ等のテーマに関するソリューションにも着手した。しかしながら、新規・成長事業分野の潜在需要は大きいものの、一部のソリューション提案において、導入決定までのリードタイムが想定以上に長くかかっていることから計画した業績貢献には至らなかった。一方、新技術の対応人材は目標20%に対して15%まで増えており、今後の成長に向けたIT技術の入れ替えは順調に進展していると言える。

一方、小さな組織によるマーケット適応と成長の追求を目指す子会社戦略については、グループ3社の完全子会社化を行い、グループとしてのサービス提供体制の強化を図った。また、本体とグループ会社間での人材資源の相互活用やクロスセルの実施など、グループシナジーの創出にも取り組み、具体的な成果(業績の伸び)に結び付けた。

(3)新・企業文化創り

ユリニタ文化創造プロジェクトを立ち上げ、社員の意識改革(「平時の危機感」の醸成など)や、合併組織のネックとなりがちな社員間及び組織間のコミュニケーション問題の改善を図るとともに、「ミドルアップ・ミドルダウン型」の行動様式(新しいことにチャレンジしやすい環境)への変革に取り組んだ。

弊社では、新規・成長事業分野の立ち上がりに遅れがみられるものの、パッケージソフトウェアメーカーとして付加価値の高い製品やサービスが好調であることや、IT技術の入れ替えもほぼ計画どおりに進んでいること、新たなバス関連事業を含む子会社戦略も軌道に乗ってきたことなどを勘案すると、同社の成長戦略はおおむね順調に進捗しているものと評価している。

また、依然として「メインフレーム事業」に依存した収益構造が続いているものの、将来(3年~5年先)を見据えた事業構造変革を進めていく方針には妥当性があると捉えている。さらに言えば、現在の収益源が機能しているうちに、次の収益モデルを構築するスピードが必要となるだろう。もっとも、「メインフレーム事業」も市場が縮小しており、残存者利益の享受によりしばらくは収益源となり続ける可能性もあるが、そこは想定から外しておいたほうが安全と言える。

今後の課題は、いかに市場平均を上回る成長率を実現していくかにある。そのためには、新規・成長事業分野の育成のほか、新たな営業体制を早期に確立することが不可欠となるだろう。また、潤沢な手元流動性を含め、強固な財務基盤を活かした投資戦略にも注目している。ビーコンITとの経営統合にめどが立ち、子会社戦略が軌道に乗ってきたことから、M&Aを成功に導くマネジメント体制も整ってきたとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《YF》

 提供:フィスコ

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