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3762 テクマトリックス

東証P
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PTS
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14:59 04/25
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20.6 3.21 1.52 50.83
時価総額 733億円
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テクマトリックス Research Memo(3):堅調なセキュリティ関連と連結子会社貢献で17/3期2Q累計は過去最高


■2017年3月期第2四半期決算

テクマトリックス<3762>の2017年3月期第2四半期の連結決算は、売上高が前年同期比2.6%増の10,397百万円、営業利益が同15.3%増の595百万円、経常利益が同17.3%増の608百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.3%増の389百万円となった。売上高・営業利益・経常利益は第2四半期累計期間として過去最高を更新した。堅調なセキュリティ関連ビジネスと連結子会社業績の貢献により、増収増益を達成した。

(1)セグメント別状況

2017年3月期第2四半期の実績をセグメント別に見ると、情報基盤事業は売上高が前年同期比1.6%増の7,069百万円、営業利益が同27.0%増の589百万円、アプリケーション・サービス事業は売上高が同4.7%増の3,328百万円、営業利益が同89.2%減の5百万円であった。また、全社の受注高については前年同期比6.4%減の11,491百万円、受注残高は前年同期末比13.4%増の12,231百万円であった。

セグメント別に見て、売上高と利益の前年同期比の伸長のバランスが偏って見えるかもしれないが、以下の理由によるものである。情報基盤事業は負荷分散装置や官公庁の直販入札が想定を下回ったことから売上高は微増にとどまったが、利益面では2016年3月期に利幅の小さい大型案件を手掛けたのに対し、2017年3月期は同様の大型案件がなかったものの、中小型の採算性のよい案件を獲得したことが、採算性を向上させることにつながった。また、セキュリティ関連製品が円高メリットにより仕入れコストが減少したことなども利益拡大に貢献した。一方、アプリケーション・サービス事業は、概ね各分野とも売上高は前年同期比で大きく拡大したが、円高基調により製造業の予算執行が慎重となったことでソフトウェア品質保証分野の売上が伸び悩んだこと、医療クラウドの第1四半期での受注遅れで課金のタイミングがずれたことなどが影響して、利益面では前年同期比で減少した。

なお、受注高が前年同期比で減少しているが、2016年3月期の大型案件受注の剥落と第1四半期での医療分野での受注遅れが要因である。受注残高は、情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業のいずれも前年同期末比で拡大しており、事業拡大は順調に進んでいることがわかる。

1)情報基盤事業
標的型攻撃に代表されるサイバー攻撃の脅威がますます高まっていることで、次世代ファイアウォールの販売が官需・民需とも順調に推移した。一方で、負荷分散装置の販売がやや頭打ちであった。2016年3月期の受注実績に貢献したマイナンバーカードなどの大型案件がなかった反動減と、その他官公庁の直接入札案件が振るわなかったのが受注高減の要因であるが、セキュリティ関連など中規模案件の需要は旺盛である。また、官公庁や民間企業における在宅勤務の拡がりに伴い、個人認証システムの販売が好調に推移した。官公庁、地方自治体、民間の各セクターにおいて、セキュリティの需要は拡大している。ストレージ製品の売上は前年同期比で増加した。セキュリティに関連する運用・監視サービスの売上も増加した。

2017年3月期に販売開始したネットワーク端末脅威対策プラットフォーム製品「Tanium Endpoint Platform」については、大型案件を受注した。他にも、新しい分野のセキュリティ対策製品が徐々に立ち上がり始め、関連製品・サービスのラインアップ拡充が進んでいる。例えば、未知のサイバー攻撃への対応を強化するサンドボックス製品※1、セキュリティイベント管理製品※2、外部からの侵入防御だけでなくネットワークの末端に接続されているパソコンやサーバの監視をするエンドポイントセキュリティ対策製品などである。

※1 Webページで自動実行されるプログラム等、インターネット経由で入手されるプログラムを一旦安全な場所で動作せることで、未知のウィルスを検知することができる製品
※2組織内の各システムで発生している様々な事象の組み合わせを総合的に分析することで、単一製品では発見できないセキュリティ事象を可視化する製品

連結子会社も業績向上に貢献した。クロス・ヘッドでは、保守・運用・監視サービスの引き合いは堅調である。セキュリティ関連製品や通話録音装置の販売が好調に推移した。沖縄クロス・ヘッドでは、県内のネットワーク・インテグレーション関連事業は停滞したものの、セキュリティ関連製品や独自の付加価値サービスの販売が好調であった。2014年3月期で両社を完全子会社化し、保守・運用・監視サービスや受託開発など一部外注していた部分をグループ内製化した結果が功を奏したものとみられる。また、第3四半期のリリースではあるが、沖縄クロス・ヘッドが日本ヒューレット・パッカード(株)と次世代IoTセンターサービスを開始し、クラウドサービス基盤事例として発表されている。

2017年3月期第2四半期の情報基盤事業の売上高(単体)をストックビジネスと非ストックビジネス(フロービジネス)に分けると、ストックが1,955百万円、非ストックが2,976百万円で、ストックの割合は39.6%と前期通期実績の37.7%から1.9ポイント増となり、ストックが若干伸びた。理由は、2016年3月期は大型案件獲得により、製品販売が増加しストック比率が一時的に低下したが、その大型案件の保守契約分が2017年3月期はストックとして計上されているためである。そのため、情報基盤事業の第2四半期のストック比率は同社が考える適正値の40%台に近づいている。

2)アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業においては、ソフトウェア品質保証分野を除き各分野で売上高が増加した。

インターネットサービス分野では、ネットショップ商品データの一括管理サービス「楽楽アイテムマネージャー」や、「楽楽バックオフィス」と(株)ネットプロテクションズの未回収リスク保証型の後払い決済サービス対応の自動連係機能を提供開始し、またBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Yellowfin(イエローフィン)」を販売開始するなどサービスメニューの拡充を進めた。既存顧客を中心に受託開発案件の受注・売上高は順調であったが、採算面がやや悪化した。連結子会社のカサレアルでは、既存顧客からの継続的な受託開発の受注は堅調であった。さらに、教育事業においても新卒者向けや定期開催の技術研修等の受注が順調に推移し、売上高、営業利益ともに計画値を上回り、連結業績の向上に貢献した。

ソフトウェア品質保証分野では、組込みソフトウェアの品質向上、機能安全の必要性は浸透したが、円高基調の影響により主に製造業で投資意欲に陰りがみられる。このため、受注・売上高がやや頭打ち傾向になっている。ただ、米国Parasoft Corporationの最新版テストツールの販売を開始したり、第3四半期に入って円安傾向に反転したこと、セキュリティ需要が拡大していることから、今後の拡販に期待できる。

医療分野では、医療情報クラウドサービス「NOBORI(のぼり)」の好調な引き合いは継続している。当該サービスの売上はサービス期間に応じて按分計上しているが、契約施設数の増加に伴い売上高が逓増傾向にある。第2四半期において受注を追い上げたものの、前半での受注の遅れが影響し、課金開始時期の遅れから採算面は計画値を若干下回った。なお、同社では、中期経営計画の進捗状況で後述するように、契約施設数が目標通り拡大すれば医療クラウドの今期中の黒字化が達成できるとしている。連結子会社の医知悟は、遠隔読影の需要の高まりにより、従来の病院サービス提供に加えて、健診施設等の顧客の取り込みや病理分野への事業拡大が進んだため、契約施設数、読影依頼件数、従量課金金額は順調に推移し、連結業績向上に貢献した。

CRM分野では、日本ユニシス<8056>とのコンタクトセンターCRM製品「Fastシリーズ」の販売代理店契約を締結し、CRM市場でのクラウド需要の拡大によって、堅調な受注環境が続いている。また、第1四半期には長崎県佐世保市向け広聴システム「FastHelp5」・FAQシステム「FastAnswer」を導入した。同社のCRMクラウドはリリースから既に数年を経過し黒字化しており、知名度の向上と実績の拡大に伴い、大型案件の受注も複数積み上がり、計画値を上回った。

2017年3月期第2四半期のアプリケーション・サービス事業の売上高(単体)をストックと非ストックに分けると、ストックが1,436百万円、非ストックが1,639百万円で、ストックの割合は46.7%となった。中期経営計画で掲げられた、全体の売上高に占めるストックビジネスの割合を2018 年3月期には50%にするという目標を達成するには、同社はアプリケーション・サービス事業のストック比率をおよそ60%にする必要があるとしている。2015年3月期のストック比率の対前期比の伸び率は3.0ポイント、2016年3月期は2.1ポイントだったことから、 数値的には決してハードルは低くはないものの、大型案件のストック化や、医療分野の契約件数増により達成可能な目標と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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