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イグニス Research Memo(4):VRを活用した大型プロジェクトが本格始動


 

■イグニス<3689>の決算動向

3. 新規事業の状況
(1) VR事業
a) 自社大型プロジェクトの開発
子会社パルスが展開するVR事業において、VR空間上でライブを開催したり、ライブに参加することができるVirtual Live Platform「INSPIX」の自社開発を加速し、本格的な事業展開に向けてスタートを切った。今までにない新しい音楽体験として、世界中どこからでも瞬時にライブに参加でき、Virtual LiveでしかできないInteractiveな体験を創造するプロジェクトとして、有力IP誘致(人気アイドルやアーティスト等)や新規IP制作(独自のVRアイドル等)、海外展開(中国、北米等)などに取り組む方針である。特に、首都圏においては劇場・イベント会場の改修工事等のために閉鎖が相次ぐ「2016年問題」が表面化するなど、会場不足に拍車がかかっている状況を鑑みれば、物理的制限を開放する本プロジェクトの意義は大きい。また、Virtual Liveならではの新しい価値創造や市場創出という面でもポテンシャルは大きいものと考えられる。プラットフォームを通じた様々な価値提供により、販売手数料(チケットやグッズ販売等)を稼ぐ収益モデルとみられる。今期(2018年9月期)業績への影響は軽微であるが、2021年までに総額50億円の支出※を見込んでおり、中長期的な業績向上を目指していく方針である。大きな期待が持てるプロジェクトとして、今後も注目すべきである。

※国内・海外における人材採用等にかかる人件費、海外拠点立ち上げ・専用スタジオ建設当のコンテンツ拡充の投資、ユーザー集客のための広告宣伝費等。


b) その他プロジェクト
順天堂大学教授とのプロジェクト(「認知症予防」及び「痛み軽減効果」の共同研究)では、「痛み軽減効果(疼痛管理)」の臨床試験が開始された。また、岩本町芸能社との業務提携(VRアイドル市場への本格参入)についても、技術面及び資金面での支援を通じて、各種プロジェクトを推進中である。特に、前述した「INSPIX」への新規IP展開などが期待される。

(2) ライフハック
a) IoT関連
持分法適用会社ロビットが展開するスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」は着実に販売実績を上げており、累計販売個数は33,000個を突破した。「2017年度グッドデザイン賞」(公益残団法人日本デザイン振興会主催)を受賞した。なお、2018年2月には機能拡充させた新型「めざましカーテン mornin’ plus」を発売、同時に乃木坂46等とコラボした限定モデルの予約販売も開始した。現状、業績への寄与には至っていないものの、技術や販売ノウハウの蓄積を含め、今後の事業展開に向けて様々な可能性を探っている段階と言える。

b) フード関連
また、連結子会社mellowが展開する「TLUNCH」(フードトラック・プラットフォーム)についても、利便性の高さや需要の大きさ等を背景として足元で急激に拡大しており、首都圏において50スペース(出店台数)を突破。当第1四半期においても前期売上高を超えるペースで伸びているようだ。

(3) 新規事業
AI及びIoTを活用した新規分野として、AI技術を活用した自動外観検査装置(検査工程の自動化)にも取り組んでいる。これは、工場で長く抱えていた課題として、従業員が目視による不良品検知作業を行っており時間がかかるという点を、AI技術を用いて効率化するというもの。作業の効率化による人手不足の解消のほか、品質・生産性・競争力の向上などといった効果が期待できる。持分法適用会社ロビットが豊田市内の自動車部品メーカー2社との業務提携により推進しているが、既に多数の製造業者から高い評価を得ているようだ。収益事業化までには長期目線が必要であるが、ポテンシャルの大きさには期待が持てる。

4. 新規事業投資を目的としたファイナンス計画を発表
同社は、ポテンシャルの大きなVR事業(Virtual Live Platform「INSPIX」)の開発・運営などへの事業投資や市場が拡大しているオンライン恋愛・婚活サービス「with」のユーザー獲得を目的として、新株予約権の発行(第三者割当)による資金調達を公表した。権利行使価額を3つの水準(3,050円、5,000円、7,000円)※1に分け、それぞれ発行(第14回~第16回)しており、そのうち2つ(第15回と第16回)はターゲット・イシュー・プログラム※2となっているところがポイントである。発行新株予約件数は合計17,000個(潜在株式数1,700,000株)、仮にすべて権利行使された場合の資金調達額は総額(概算)で72.5億円※3(行使期間は3年間)になる。

※1 ただし、第14回及び第16回については行使価額の修正条件あり。
※2 同社が新株式の発行に際して希望する目標株価(ターゲット価格)を定め、これを行使価額として設定した新株予約権である。これは、将来の株価上昇を見越し、異なる行使価額によって、段階的に新株式を発行(ターゲット・イシュー)できることを期待して設定したものと言える。また行使停止条項により、同社の株価動向等を勘案して、同社が割当予定先による本新株予約権の行使を希望しない場合には、停止指定期間を指定することもできる。したがって、今後3年間における株価が目標水準を超えた場合にのみ権利行使され、かつ市場の状況等によっては権利行使を停止することができることから、極力、株式市場への影響を配慮した資金調達方法と言って良いだろう。
※3 各新株予約権が権利行使された場合の資金調達額(概算)は、第14回が3,050円×1,000,000株=30.5億円、第15回が5,000円×350,000株=17.5億円、第16回が7,000円×350,000株=24.5億円であり、すべてが権利行使されれば総額で72.5億円の資金調達が実現する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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