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イグニス Research Memo(3):積極的な事業投資の継続や「ぼくドラ」の一時的な落ち込みが利益に影響


■決算動向

1. 2017年9月期第3四半期決算の概要
イグニス<3689>の2017年9月期第3四半期累計期間の業績は、売上高が前年同期比1.8%増の4,109百万円、営業利益が同89.7%減の123百万円、経常利益が同90.6%減の112百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同98.9%減の10百万円と微増収ながら大幅な減益となった。積極的な事業投資の継続などが利益を圧迫したものの、概ね想定の範囲内での進捗とみられる。ただ、第3四半期だけの業績でみると、売上高が前年同期比10.1%減の1,280百万円、営業損失が71百万円(前年同期は358百万円の利益)、経常損失が72百万円(同357百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が81百万円(同105百万円の利益)と、大規模な事業投資や「ぼくドラ」の落ち込みにより営業損失を計上した。

売上高(累計)は、オンラインの婚活サービス「with(コミュニティ)の大幅な伸びが増収に寄与した。ただ、前述のとおり、「ぼくドラ」(ネイティブゲーム)が第3四半期で一時的に落ち込んだことにより、売上高全体では微増収にとどまった。また、その他(メディア等)が小規模ながら伸びているのは、ビジネス情報メディア「U-NOTE」等によるものである。

一方、利益面(累計)では、積極的な事業投資の継続に加えて、第3四半期における「ぼくドラ」の落ち込みが影響し大幅な営業減益を招いた。特に、新プロダクト開発や新規事業の開発伴う研究開発費(前年同期比282百万円増)のほか、「with」を中心とした広告宣伝費の増加(同417百万円増)、体制強化に伴うオフィス増床関連費用の発生等が利益を圧迫している。もっとも、今期は新規投資に合計15億円(目安)を予定しており、想定内の動きとみてよいだろう。研究開発費は、ネイティブゲーム(新タイトル)やVR関連などが中心となっているようだ。

財政状態については、総資産が「現金及び預金」や「営業貸付金」、「投資その他」の増加により6,030 百万円(前期末比39.2%増)に増加したが、自己資本も新株予約権が行使された(約18億円の資金調達)ことにより4,090百万円(前期末比68.2%増)に拡大したことから、自己資本比率は67.8%(前期末は56.1%)に大きく改善している。したがって、資本増強を図りながら、成長に向けた事業投資及び手元資金を確保したと評価できる。なお、「営業貸付金」の増加(前期末比608 百万円増)についても、事業投資としての側面が強いもののようだ。

2. 事業別の業績及び活動実績
コミュニティの売上高(累計)は、前年同期比826.0%増の557百万円を大きく拡大した。2016年9月期の第4四半期から本格的に立ち上がってきたオンラインの婚活サービス「with」が、心理学及び統計学的アプローチによる差別化や積極的なプロモーション展開※1、ユーザー獲得に向けた機能強化※2等により2017年9月期第3四半期(単体)においても220百万円(前四半期比10.2%増)と着実に伸びてきた。また、国内SNSランキング(for iphone)でも10位台に定着している。累計ダウンロード数は50万に近づきつつあり、マッチング数も20万を超えてきたようだ。

※1 SNS内や街頭ビジョンなど、幅広くプロモーション活動を展開。
※2 2017年1月より、心理学を活用した最適なマッチングを実現する新機能「超性格分析」を実装。


ネイティブゲームの売上高(累計)は、前年同期比12.2%減の3,247百万円と縮小した。各種コラボキャンペーンを積極的に展開し、340万ダウンロードを突破したものの、消費税にかかる特殊要因※に加えて、第3四半期における落ち込みが減収を招いた。第3四半期の落ち込みは、他社が新作ゲームを数多くリリースし競争激化したことや、一部キャンペーン施策が想定よりも下回ったことに起因するもののようだ。また、2017年4月にリリースしたカジュアルゲーム「LINE大富豪」についても100万ダウンロードを突破するなど好調に推移しており、数千万円規模の売上貢献となっているようだ。一方、新タイトル「GK(コードネーム)」についてはリリースに向けて最終段階を迎えている。

※今期よりネイティブゲームを手掛ける子会社が消費税の課税事業者となったことが減収要因となっている(弊社推定では170百万円程度の減収要因)。


その他(メディア等)の売上高(累計)は、前年同期比10.3%増の304百万円と小規模ながら伸長した。ビジネス情報メディア「U-NOTE」及び2017年1月から開始した転職メディア「U-NOTE.CAREER」が本格稼働に向けて準備を進めている様子。

以上から、第3四半期(会計期間)の業績を総括すると、1)積極的な事業投資を継続する中で、2)「ぼくとドラゴン」が落ち込んだことにより営業損失となったものの、1)については計画どおりのものであり、2)についても「with」が大幅な伸びを見せていることから、同社業績の変調を示すものではないとみている。ただ、第4四半期以降の業績の推移を注意深く見守る必要はあろう。

3.四半期業績推移
四半期業績推移を見ると、中・大規模アプリへの転換期となった2015年9月期第1 四半期から第2四半期にかけて売上高は大きく落ち込んだが、第3四半期からは「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が同社の業績の伸びをけん引する形でV字回復を実現し、2016年9月期の第4四半期には過去最高の売上高(四半期ベース)を更新した。2017年9月期に入っても、消費税にかかる特殊要因の影響を除くと、「ぼくとドラゴン」の安定運営や「with」(コミュニティ)の伸びにより好調に推移している。

利益面では、2015年9月期の第3四半期以降、「ぼくとドラゴン」にかかる広告宣伝費及びプラットフォーム手数料が大きく増加している。これらは売上拡大に連動した費用として捉えるのが妥当である。なお、2016年9月期の第3四半期以降、本格的なテレビCMは当面見送りとしたものの、「ぼくとドラゴン」を中心とした既存事業のステップアップの時期と位置づけ、ネットを中心とした重点的な広告展開を実施。さらには、2017年9月期に入ってからも、積極的な事業投資を行う方針のもと、「with」の広告宣伝費や新規事業にかかる研究開発費の増加などにより、先行費用は高い水準で推移しており、利益の引き下げ要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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