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イグニス Research Memo(1):17年9月期第3四半期も積極的な事業投資を継続。「with」が順調に拡大


■要約

イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を手掛けている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。また、新規事業としてVRやIoTなどにも挑戦している。過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど、数多くの小規模アプリの量産により成長を実現してきた。2015年9月期からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造の改革に取り組み、その成果が具体的に現われ始めてきた。ロングセラーゲームとして安定運営を持続している「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)に加えて、足元ではオンラインの婚活サービス「with」(コミュニティ)なども伸びてきており、新たな成長ステージを迎えている。

同社は、今期より2020年9月期までの中期経営計画をスタートした。新たな成長軸が立ち上がってきたことから、既存事業を「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つの事業に枠組みを整理し、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに3事業(ライフハック、VR、もう1つは未定)を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。2020年9月期の目標として、売上高150 億円、営業利益60億円を掲げており、新規事業で営業利益の30%を稼ぎ出す構えである。なお、この新規事業のうち、VR事業については事業成功のために、長期的な視点でのマネタイズ化を検討している。

2017年9月期第3四半期(累計)の業績は、売上高が前年同期比1.8%増の4,109百万円、営業利益が同89.7%減の123百万円と増収ながら大幅な減益となった。積極的な事業投資の継続などが利益を圧迫したものの、概ね想定の範囲内での進捗とみられる。売上高(累計)は、オンラインの婚活サービス「with」(コミュニティ)の大幅な伸びが増収に寄与した。ただ、「ぼくドラ」(ネイティブゲーム)が第3四半期で一時的に落ち込んだことにより、売上高全体では微増収にとどまった。一方、利益面(累計)では、新プロダクト開発や新規事業の立ち上げに伴う研究開発費のほか、「with」を中心とした広告宣伝費の増加、体制強化に伴うオフィス増床関連費用の発生等が大幅な減益を招いた。もっとも、期初に発表した同社の決算説明資料でも事業投資のことが触れられており、想定どおりの展開とみられる。

2017年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比7.4%増の6,000百万円と見込んでいるが、利益予想については現時点で開示はない。2017年9月期を「事業ポートフォリオの創造元年」と位置付け、積極的に投資を行う方針を打ち出しており、既存事業におけるプロモーションコストや先行投資の規模、そのタイミングなどについて現時点で合理的な見積りが困難であることが利益予想を開示していない理由である。ただ、新規事業等への投資については目安として15億円規模を予定していることから、利益水準は一旦低下する可能性が高い。また、増収率が比較的緩やかな水準となっているのは、前期の業績の伸びをけん引した「ぼくとドラゴン」が安定運営フェーズに移行していることや、それ以外のサービスによる業績寄与についても慎重な見方をしていることが理由と考えられる。また、開発中であるネイティブゲームの新規タイトルやVR 事業についても織り込んでいない。

弊社では、売上高予想の達成に向けたハードルは決して簡単ではないものの、成長余地の大きな「with」が順調に拡大していることから、どこまで目標水準に近づけられるかがポイントになるとみている。一方、利益面の着地については、政策的判断によるところが大きいが、大規模な広告宣伝費などの特別な費用が発生しなければ、通期での営業利益は確保できるものと想定している。「with」の成長加速に向けた広告宣伝費のほか、新規事業にかかる研究開発費など、中長期的な目線から新規事業等への投資15億円の使い道や収益化に向けた道筋に注目したい。

■Key Points
・17年9月期第3四半期累計期間は微増収ながら大幅な減益
・積極的な事業投資の継続や「ぼくとドラゴン」の落ち込みが利益に影響するも想定の範囲内
・新たな成長軸であるオンラインの婚活サービス「with」は順調に拡大
・VRやIoTなど新規事業の立ち上げにより事業ポートフォリオの拡充を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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