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イグニス Research Memo(3):第3四半期は大幅な増収増益で、営業利益は最高益更新


■決算動向

(1) 2016年9月期第3四半期累計期間の業績

イグニス<3689>の2016年9月期第3四半期累計期間の業績は、売上高が前年同期比260.3%増の4,035百万円、営業利益が1,202百万円(前年同期は313百万円の損失)、経常利益が1,197百万円(同395百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,000百万円(同443百万円の損失)と大幅な増収増益(黒字転換)となり、営業利益は同累計期間における最高益を更新した。

売上高は、「無料ネイティブアプリ」が注力する更新型アプリ(中・大規模アプリ)の本格的な収益貢献が開始していないことから減収となったものの、「ネイティブソーシャルゲーム」が「ぼくとドラゴン」の好調持続により大きく伸長した。

損益面では、「ぼくとドラゴン」にかかる広告宣伝費及びプラットフォーム手数料の増加により販管費が大きく拡大したが、増収により吸収したことで大幅な増益となり、売上高の落ち込みや先行費用により営業損失に陥った前年同期から大きく黒字転換した。また、第3四半期において広告宣伝費の重点投下を実施したものの、累計期間における営業利益率は約30%の高い水準を維持している。

なお、第3四半期の広告宣伝費には、本格的なテレビCMに向けたテストマーケティング費用(制作費及び放映費など約60百万円)が含まれている。ただ、その結果、期待していた効果がみられなかったことから、テレビCMの全国放映については当面見合わせることとなった。

また、第2四半期にて関係会社(M.T.Burn)株式の売却益(590百万円)を特別利益に計上した一方、第3四半期では、純投資先(ゲーム開発会社)に対する貸倒引当金(100百万円)を特別損失として計上している。

貸借対照表の状況については、売上高の拡大や関係会社(M.T.Burn)株式の売却による「現金及び預金」の増加や、U-NOTEの買収に伴う「のれん代」の計上、ネイティブソーシャルゲームなどの追加開発に伴う「ソフトウェア」の増加により総資産が3,837百万円(前期末比96.9%増)に大きく拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより2,345百万円(前期末比89.8%増)に拡大したが、自己資本比率は60.5%(前期末は62.8%)と僅かに低下した。

ジャンル別の業績及び活動実績は以下のとおりである。

a)「無料ネイティブアプリ」の売上高は前年同期比14.4%減の493百万円であった。前期から取り組んでいる収益構造改革を進めるなかで、注力する更新型アプリ(中・大規模アプリ)の本格的な収益貢献が開始されていないことから減収となったが、ほぼ想定どおり進捗のようだ。

根強い人気のあるツール系アプリが業績の下支えとなっている一方、2015年5月にリリースしたカジュアルゲーム「breaker」(中規模アプリ)が、アップデートや姉妹作となる「destroyer」のリリースなどにより収益貢献期間の長期化に成功し、1つの勝ちパターンの形を作り上げた。また、匿名SNS「ひまチャット」についても、「ひまポイント」※の導入など、ユーザー数の拡大とコミュニケーションの活性化に取り組んだことで着実な伸びをみせている。一方、足元で大きく伸びてきたのが、2015年10月に買収したキュレーションメディア「U?NOTE」である。同社の広告展開におけるノウハウを注入したことにより6月の売上高が1月の6倍に達している。

※他のユーザーから「ども」を受け取ったり、動画広告を視聴したりすることによっても獲得できるほか、アプリ内課金でも入手することができる。ポイントを貯めることで、送信できる写真の枚数や利用できる顔文字スタンプのジャンルが増えるほか、チャット履歴を無制限に表示することが可能となる。

2本目の収益の柱として期待される「with」※についても3月29日にiOS版、5月17日にAndroid版をリリースすると、緩やかなペースで立ち上がってきた。iOS国内SNSで、セールスランキングも順調に上昇している。今後もユーザー数の拡大に向けて、有効な施策を打ち出す準備を進めており、来期以降の業績拡大に結び付けていく構えである。

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なお、今期から「無料ネイティブアプリ」に含めることとなった「全巻無料型ハイブリッドアプリ」については、2015年12月に「ヒカルの碁」を全巻無料で読めるアプリをリリースした。また、8月9日には新たに「ROOKIES(ルーキーズ)」iOS版の配信を開始している。

b)「ネイティブソーシャルゲーム」の売上高は前年同期比552.3%増の3,541百万円と大きく伸びた。2015年5月にリリースした「ぼくとドラゴン」が期初から好調を維持している。第1四半期で認知を拡大(コラボイベントやキャンペーン等による新規ユーザーの獲得)し、第2四半期で足場を固め(収益の安定化)、第3四半期で更なる拡大を目指すという、段階を踏んだ戦略的な広告展開が奏功した。特に第3四半期では、追加機能や新規コンテンツの実装などによりコンスタントな伸びを実現したことに加えて、季節イベント(ゴールデンウィーク)の実施や広告宣伝費の重点投下により、ネイティブソーシャルゲームの売上高で前四半期比12.6%増と更なる拡大に成功した。累計ダウンロード数は300万を突破し、デイリー売上ランキングでも上位に収斂・定着する傾向が顕著※となっており、ロングセラーゲームとして長期的な収益貢献に向けた基盤が確立されてきた。

※Androidは40位以内に定着、iOSでは60位以内に収斂する傾向がみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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