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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3679 じげん

東証P
600円
前日比
-23
-3.69%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.1 3.39 1.08 36.23
時価総額 670億円

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じげん Research Memo(5):創業来増収・増益を継続


■業績動向

(1)過去業績(創業から2015年3月期まで)

じげん<3679>がライフメディアプラットフォーム事業へリソースを集中して以降、毎期新たなサービスの提供を開始し、ユーザーの利便性を向上するとともに、クライアント企業へ効果的なマーケティング手法の提案を行うことで、DB数、UU数を拡大し、業績を継続的に拡大させてきた。さらに、上場後は、2014年によじげん証券(3月)、ブレイン・ラボ(7月)、リジョブ(9月)、2015年2月にはエアロノーツを買収、これらの買収先企業の寄与とPMI※による業績拡大により、業績の拡大ペースが加速する傾向にあり、2015年3月期まで創業来8期連続の増収、増益を達成した。

※Post Merger Integrationの略。M&A(企業の合併・買収)成立後の統合プロセスのことを指す。

財務状態について見ると、財務の安定性・健全性を表す自己資本比率は50%を超える高い水準を維持してきたが、2015年3月期はブレイン・ラボ、リジョブ、エアロノーツを買収したために32.7%へ低下した。これは買収資金を借入金で賄ったため、有利子負債が4,583百万円になったことによるものであるが、既存事業の拡大や買収企業のPMIに成功していることなどにより営業キャッシュ・フローが拡大していることを考慮すると、問題ではない。一方、収益性を表す指標であるROEは上場に伴う資金調達や内部留保の積み上げによる自己資本の増大で28.6%へ低下したほか、営業利益率も買収による売上ミックスの変化により38.9%へそれぞれ低下したものの、25%を超える高い水準を維持している。

(2) 2016年3月期連結業績

a) 2016年3月期連結業績の概要
2016年3月期連結業績は、売上高が前期比61.5%増の5,031百万円、営業利益は1,609百万円(同32.9%増)、経常利益は1,603百万円(同29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は899百万円(同31.1%増)となり、創業以来9期連続の増収・増益を達成した。

売上高は、買収したリジョブとブレイン・ラボの業績が寄与し、大幅増収を確保した。売上総利益は売上高の拡大により4,470百万円(同54.8%増)へ増加したものの、ベトナムの子会社VeNturaに対して発注を強化したことに伴い業務委託費が増加したなどにより、売上総利益率は前期に比べ3.9ポイント低下し88.8%となった。また、販管費はM&Aによる子会社の増加に加えて、広告手法の多様化や新たな販売促進手法により前期に比べ1,184百万円増加した(販管費比率は3.1ポイント上昇し56.9%となった)。この結果、営業利益率は6.9ポイント低下したものの32.0%と高い水準を確保している。

なお、会社計画(売上高4,450百万円、営業利益1,560百万円)対比では売上高、営業利益ともに会社計画を上回った。これは、求人、不動産領域ともに、閑散期にCVR※、単価を向上させ、繁忙期にUUを増加させるという事業の季節性に合わせた改善施策が奏功したことが主要因。ちなみに、繁忙期である2016年3月期第4四半期(1月?3月)業績は、前年同期にリジョブとブレイン・ラボの一過性の売上高があったハンデキャップがあったにもかかわらず、広告費重点投入により売上高(前年同期比40.3%増の1,580百万円)を大きく伸ばすことに成功し、営業増益(同11.3%増の442百万円)を達成した。

※ConVersion Rate(コンバージョンレート)の略。一般には、Webサイトへのアクセス数のうち、コンバージョン(成約)に至った比率であるが、同社の場合はUU数のうち会員登録、採用等に至った比率を指す。

b)領域別の動向
◯求人領域
求人領域の売上高は前期比56.0%増の3,679百万円と順調に拡大。構造的な人手不足に伴って求人広告市場規模が拡大するなど、外部環境が良好であったことに加えて、1)アルバイトEXのスマートフォンアプリ強化や媒体価値向上に伴う単価見直し等に注力したこと、2)リジョブが、前期に引き続きPMIに経営資源を重点投入し、リアーキテクトの実施や効率的な営業体制の構築、オペレーション改善等により、既存事業の大幅な業績の拡大を達成した、??ことが業績拡大の原動力として働いた。加えて、ブレイン・ラボで、顧客数の拡大や採算性の改善、組織体制の強化を推進したこともプラス寄与した。

◯不動産領域
不動産領域の売上高は同83.8%増の高い伸びを記録し963百万円となった。これは、「プレミアムスモッカ」をリリースしたことに加えて、賃貸スモッカのリアーキテクト(同社が定義する情報要素の再構築によるサイト設計)や販売策強化より、CVRが大幅に上昇したことなどが要因。

◯生活領域
生活領域の売上高も同66.5%増の388百万円へ拡大した。昨年2月に買収したエアロノーツ(にじげんへ吸収合併)がプラス寄与したことが要因。

(3)財務状態

2016年3月期末における総資産は8,847百万円と前期末比459百万円増加した。内訳を見ると、流動資産は、現金及び預金が150百万円増加したことに加えて、売掛金が156百万円増加したことなどにより、前期末比318百万円増加し4,978百万円となった。また、固定資産も同141百万円増の3,869百万円へ増加した。これは、投資その他の資産が17百万円減少したものの、有形固定資産が19百万円増加、無形固定資産が139百万円増加したためだ。

負債は前期末に比べ439百万円減少し5,204百万円となった。これは、未払金が127百万円増加したものの、有利子負債が670百万円減少(内訳は、長期借入金は1,409百万円増加したものの、短期借入金が2,080百万円減少)したことが主要因。一方、純資産は、利益剰余金が898百万円増加したことから3,643百万円へ増加した。

2016年3月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ150百万円増加し、3,987百万円となった。内訳を見ると、営業キャッシュ・フローは1,199百万円の収入となった。法人税等の支払額694百万円が資金減少要因として働いたものの、売上高の伸張による税金等調整前当期純利益の計上1,603百万円が増加要因として働いたことによる。投資キャッシュ・フローは、376百万円支出となった。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出258百万円と、無形固定資産の取得による支出106百万円があったためだ。財務キャッシュ・フローも借入金返済により670百万円の支出となった。

経営指標について見ると、健全性を表す流動比率、自己資本比率は、短期借入金の返済と業績拡大による自己資本の拡大でともに改善。一方、収益性を表す指標については、営業利益率は32.0%へ低下したものの、依然として30%以上という高い水準を維持しているほか、ROEについても28.1%と前期並みの高い水準を維持した。

(4) 2017年3月期の会社計画と経営方針

2017年3月期については、売上高が前期比31.2%増の6,600百万円、営業利益が同27.4%増の2,050百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.9%増の1,150百万円を見込む会社計画。分野別では、前期と同様に、主力の求人と不動産の2領域における事業拡大に注力することで、創業以来10期連続の増収・増益の達成を目指している。

領域別では、求人領域の売上高は同25.0%増の4,600百万円、不動産領域は同66.1%増の1,600百万円、生活領域は同3.1%増の400百万円を予想。前期と同様に求人領域と不動産領域が事業拡大のけん引役になる計画。

具体的に見ると、求人領域ではコンテンツ増強によりUU数の増加を図ることに加えて、リジョブを中心とした領域特化型メディアの貢献により単価の上昇を図る。一方、不動産領域では、1) ABMの子会社化が単純にかさ上げ要因として働く、2) DB数の拡張によるUU数の増加を図ると同時に、リアーキテクトなど改善施策を継続しCVRの上昇を図る、3) ABMの商材活用により、賃貸スモッカ、マイスミとのクロスセルで顧客当たりの単価上昇を図る??などにより、前期と同様に高い伸びを計画している。これらの2領域とは対照的に、生活領域に関しては、利益確保を中心とするオペレーションで既存サービスの運用を行うことで売上の大きな伸びは見込まないものの、中古車EX・にじげんなどの既存サービスの拡大を図ると同時に、新規事業の開発を進める計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

《HN》

 提供:フィスコ

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