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3665 エニグモ

東証P
337円
前日比
0
0.00%
PTS
338.3円
19:00 04/24
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.28 107
時価総額 144億円
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エニグモ Research Memo(1):新たなマーケティング施策により巻き返しを目指す


■要約

1. 事業概要
エニグモ<3665>は、CtoC型※1のソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」の運営を主力としている。「BUYMA」は、海外在住の個人がパーソナルショッパー(出品者)となって、ファッション関連を中心とする世界中の話題のアイテムを幅広く紹介し、国内の会員向けに出品、販売できるプラットフォームである。世界137ヶ国に在住するパーソナルショッパーは約10万人、登録会員数は445万人に上る(2017年7月末)。個々人のセンスで発掘した幅広い品ぞろえや中間業者を介さないことによる価格の適正性など、これまでの流通システムとは異なる新しい価値を創出することで高い成長性を実現してきた。最近では、ユーザー層の幅も広がっており、これまでのF1層※2中心からメインストリームのサービスへと次のステージに移ってきた。同社は、ターゲットユーザーを1,000万人から4,000万人に再定義するとともに、独自のブランドイメージを保持しながら、幅広いユーザーの満足度を高めるための施策に取り組んでいる。

※1 一般消費者間で行われる取引(Consumer to Consumer)。
※2 20?30歳代女性。


2. 2018 年1 月期上期決算
2018年1月期上期の業績は、総取扱高が前年同期比12.4%増の16,673百万円と拡大し、売上高も同7.8%増の2,058百万円と伸長したものの、営業利益は同16.9%減の682百万円と先行費用等により減益となった。また、計画に対しても全般的に想定を下回る進捗となったようだ。主力の「BUYMA」において、会員数及びアクティブ会員数の伸びが増収に寄与した。総取扱高や売上高の伸びが計画を下回ったのは、新規会員獲得が想定を下回ったことと、アクティブ率の低下によるものである。2016年1月期に実施した大規模なマスキャンペーン効果の一巡に加えて、2017年1月期に好調であったスニーカーのような間口の広い普段使い商品の取扱いがなかったことがライトユーザーをつかまえきれず、結果的に新規会員獲得やアクティブ率に影響を及ぼしたものと考えられる。もっとも、ファッション感度の高いヘビーユーザーについては総取扱高が伸びており、「BUYMA」自体の価値(トレンドを捉えた品ぞろえなど)に変調を来たしているわけではない。また、損益面で営業減益となったのは、インフラ・決済基盤の強化など、今後の事業拡大に向けた先行投資によるものであり、その点は想定内である。

3. 2018年1月期の通期業績予想
2018年1月期の業績予想について同社は、上期実績や足元の状況等を勘案して減額修正を行った。修正後の売上高は前期比6.5%増の4,418百万円(修正幅-558百万円)、営業利益は同19.5%減の1,423百万円(修正幅-542百万円)と見込んでいる。もともと期初予想の時点から、会員数の伸びを保守的に想定するとともに、先行投資による費用増も織り込んでいたが、今回の減額修正により、さらに全体的な水準を引き下げる格好となった。


同社は、2016年1月期のマスキャンペーン効果が一巡してきたことから、再度マスキャンペーンを起点とした一連のマーケティング施策を実施する計画である。ただし、今回予定しているのは、マスキャンペーンの規模を前回の20?30%に抑えるとともに、その後の内部施策をショートスパンで実施し、広告投資の早期回収を図るものである。また、四半期から半期の間隔で継続的に実施することにより、業績へのインパクトを平準化するとともに、持続的な成長に結び付ける戦略である。弊社では、そもそも下期偏重型(年末商戦による業績寄与等)の傾向があることや、下期に予定しているマスキャンペーンの効果等を勘案すると、業績予想の達成は十分に可能であるとみている。したがって、マスキャンペーンによってどのくらいの上乗せができるかが注目点となるだろう。また、今回初めて試みるショートスパンのマーケティング施策がどのくらいの効果を生み出すのか、その成果や手応えが、今後の成長性(及び成長スピード)を判断するうえで、重要なレファレンス(判断材料)になるものと捉えている。

4. 成長戦略
同社の中期戦略の方向性は、「ファッションアイテムと出会い、購入し、そして、使わなくなったアイテムをリセールできる出会いから処分までを一気通貫で提供する」という「BUYMA経済圏」の確立を目指すものである。すなわち、「BUYMA」の成長を軸として、メディア事業(アイテムとの出会い)やリセール事業(使わなくなったアイテムの販売)との連携を強化するともに、更なる関連事業を生み出すことで事業拡大を図る戦略と言える。中期目標として、増収増益を基調としながら営業利益50億円の早期実現を目指す。また、海外展開にも積極的に取り組む方針である。

弊社では、「BUYMA」の今後の成長性について、認知度の更なる拡大や魅力的な品ぞろえによる訴求はもちろん、ターゲットユーザーの拡大や外部環境(eコマースの拡大やCtoC取引の普及等)の後押しもあることから、国内においても十分に拡大余地があるものとみており、少なくとも同社が当面の到達点としているアクティブ会員数300万人、総取扱高1,000億円の達成は可能であると評価している。今後も同社の将来を大きく左右する、1)「BUYMA」自体の成長、2)「BUYMA」を軸とした事業領域の拡大(「BUYMA経済圏」の確立)、3)「GLOBAL BUYMA(英語版BUYMA)」の進展等をフォローしていきたい。

■Key Points
・2018年1月期上期決算は増収減益となり、計画を下回る進捗
・事業拡大に向けた先行投資は想定どおりであるものの、新規会員獲得やアクティブ率が想定を下回る
・2018年1月期の通期業績予想を減額修正
・マスキャンペーンを起点としたショートスパンのマーケティング施策により巻き返しを図る方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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