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「16年度後半、スマホゲームの展望は?」 Social Game Info編集長に聞きました! <直撃Q&A>


 7月にリリースされた「ポケモンGO」の大ヒットで活気づくスマートフォン(スマホ)ゲーム業界だが、18日まで開催された「東京ゲームショウ」をきっかけに年度後半に向けても話題を呼びそうな新タイトルの続出が予想されている。ヒット作の出現が企業業績を左右する業界だけに、株式市場からの注目度も高い。そこで、スマホゲーム業界の現在の状況や、年度後半に向けて注目されるジャンルなどを、スマホゲームを中心にソーシャルゲーム業界ニュースの紹介や新しいプロダクトのレビューなどを提供するサイト「Social Game Info」の木村英彦編集長にインタビューした。

●木村英彦氏(Social Game Info編集部 編集長)

Q1 16年度前半のスマートフォンゲーム市場で特徴的な動きは?

 スマートフォンゲームのマーケットは、今年に入り良い意味で変わってきたと思います。2015年の市場というのは、アプリが供給過多な状況が続き、しっかりと作り込まれたゲームアプリでも「埋もれる」状況になりがちでした。大規模な広告宣伝費を投入してもユーザーが集まりづらい状況で、各社とも苦しい時期だったと思います。そのため、アニメやマンガなどのIP(キャラクターなどの知的財産権)タイトルや、家庭用ゲームソフト大手でないと難しいとされてきました。

 それが今年に入ると、面白いゲーム、しっかりと作り込まれたゲームが評価され、アプリストアのランキングでも上位に入るような状況になりました。これはおそらく、開発費やマーケティング費用の高騰などから、各社が本数を多く出す方針から、一本一本しっかりと作り込む流れが強くなったことが背景にあります。厳しい競争環境でアプリや開発会社の淘汰が進み、供給過多が改善されたことで市場環境が良くなったとみています。開発会社の決算説明会などに行くと感じるのですが、昨年前半までは「今年は○本リリースします」という言葉をよく聞きましたが、今年は「開発中のものが○本あって、リリース時期は未定です。開発中のタイトルを全てリリースするわけではありません」という言葉を耳にするようになりました。

 その一方で、アプリの運営の難しさがより前面に出てきた側面もあります。開発費が高騰していることは先ほども申しましたが、それに比例して、リリースした後のキャラクターの追加やクエスト(RPG=ロールプレイングゲームなどにおける課題)の追加などゲーム要素の追加を行うアップデートや、イベント運営の難易度が高くなってきました。また、ミクシィ <2121> [東証M]やコロプラ <3668> の決算発表会で会社側が説明していたように、主力タイトルのイベントの成否で業績が大きく変わるようになってきました。大きなタイトルでも、適切な運営を行うことができずにユーザー離れを招いてしまったケースや、顧客単価の低下を招いてしまったケースもあるように思います。その逆に、適切なイベント運営でランキングを上げた例などもありますので、運営面の重要度が増しているように思います。

Q2 「 ポケモンGO」がスタートしましたが、滑り出しをどう評価されますか?

 予想以上だったと評価しています。リリース前は、いわゆる「ポケモン世代」と呼ばれる30代以下のユーザーに限られると思っていたのですが、私より上の世代の人が遊んでいるのを見かけます。普段ゲームアプリで遊ばない人や、ゲームアプリで遊ぶのをやめてしまった人が再び遊ぶきっかけになったのだと思います。ヒットの要因は、いろいろなところで言われていますが、やはりキャラクターを収集する楽しさが大きいのだと思います。

 「ポケモンGO」自体のヒットもですが、これが位置情報ゲーム が広がるきっかけになるのではないかと考えています。先日もモバイルファクトリー <3912> [東証M]の説明会で、IPと位置情報ゲームを組み合わせたゲームをIPホルダーと検討しているというような話が出ていたので、「ポケモンGO」のヒットによりさまざまな方面でビジネスチャンスが広がるとみています。

Q3 年度後半に向けて注目されているタイトルや企業があれば教えてください。

 あくまで私個人の見方ですが、年度後半に向けては、有力ゲーム会社の注力タイトルのリリースが予定されるため、会社としてのブランド力や、IPタイトルが注目されると見ています。例年、「東京ゲームショウ」に合わせて新作を発表するケースが多いのですが、今年は「ポケモンGO」の発売でリリースをずらしたケースもあるので、年末にかけて有力タイトルが予定されているようです。

 また、日本ではRPGが強いのですが、まだ有力タイトルの出ていないジャンルを狙う動きも出てくるのではないかと思っています。例えば、サッカーゲームでランキング上位に入っているものがあるかといわれると、まだありません。コンシューマーゲームではヒット作があるにもかかわらず、スマホゲームでは有力なヒット作がないジャンルはいくつかあって、こうしたジャンルに新たなタイトルを送り込んでくるという動きがあるのではないかと思っています。

 具体的なところでは、サイバーエージェント <4751> 子会社Cygamesの「LOST ORDER」「プリンセスコネクト Re:Dive」「セブンズストーリー」、任天堂 <7974> とディー・エヌ・エー <2432> の「SUPER MARIO RUN」「ファイアーエムブレム」「どうぶつの森」、エイチーム <3662> の「放課後ガールズトライブ」、ブロッコリー <2706> [JQ]とKLab <3656> の「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live」、コナミホールディングス <9766> の「実況パワフルサッカー」、ドリコム <3793> [東証M]の「ダービースタリオンマスターズ」、そして上場企業ではありませんが、レベルファイブ(福岡市中央区)の「オトメ勇者」「レディレイトン 富豪王アリアドネの陰謀」「妖怪ウォッチforスマートフォン」「妖怪大辞典」などに注目しています。

 そのなかでも、開発と運営力という点で、Cygamesが注目されます。コンテンツの徹底した作り込みと高い運営力は、スマホゲーム大手でも群を抜いています。また、妖怪ウォッチやレイトン教授などで有名なレベルファイブ、スポーツゲームに強いコナミも強力なタイトルを準備しています。そして、最大の注目点はなんといっても圧倒的な企画・開発力を持つ任天堂と、運営力に定評のあるDeNAの提供する3タイトルで、いずれもマーケットにおいて大きなプレゼンスを示すのではないでしょうか。

 もう一つの大きな流れとして、女性向けのゲームコンテンツでも有力作品が多く出てきそうです。そして、大規模タイトルをしっかりと運営できるという「運営力」もこれまで以上に問われるでしょう。

Q4 「プレイステーションVR」が10月に発売予定ですが、これに関して注目しているタイトルはありますか。

 VR(バーチャルリアリティー=仮想現実)ゲームについては、いわゆるローンチタイトルが多いため、IPものやゲームのブランドがより重視されるとみています。既に販売されている他のデバイス用のゲームをみていると、玉石混交といった状況で、ユーザーとしてはどれを買ったらいいのか迷うのではないかと思われます。スマホゲームと異なり、有料のものがほとんどですので、実績があり、開発力で長けている大手ゲーム会社の作品が注目されそうです。

 「プレイステーションVR」では、20タイトル程度が同時にリリースされる予定ですが、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> 傘下であるスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXV」や、セガサミーホールディングス <6460> 傘下のセガゲームスの「初音ミク -Project DIVA- X HD」、バンダイナムコホールディングス <7832> 傘下のバンダイナムコエンターテインメントの「アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション」、カプコン <9697> の「BIOHAZARD 7 resident evil」あたりが注目されるのではないでしょうか。

(聞き手・浅野尚仁)

<プロフィール>(きむら・ひでひこ)
証券専門紙記者や投資情報サイトのプロデューサーを務めた後、ゲームデベロッパーで上場準備や広報を担当。2010年8月より「ソーシャルゲーム情報」(前身)を開設。現在に至る。

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