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3656 KLab

東証P
262円
前日比
-5
-1.87%
PTS
261.7円
13:18 04/16
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.93 6.13
時価総額 108億円
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決算発表予定日

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KLab Research Memo(1):2019年12月期は減収減益も2020年12月期は増収見込む


■要約

1. 会社概要
KLab<3656> は、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発を手掛けている。同社は主要タイトルである「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」(以下、スクフェス)、「BLEACH Brave Souls」(以下、ブレソル)のほか、「キャプテン翼~たたかえドリームチーム~」(以下、キャプテン翼)及び「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」(以下、うたプリ)の4 タイトルで売上高の大部分をバランスよく構成しており、特定のヒットタイトルへの依存度が高い業界において、非常に安定的な収益構造となっている。日本の人気漫画やアニメーションをゲーム化し、運用するところに強みがあり、海外への展開にも積極的。海外売上比率は約35%に上る。

特に、ここ数年は、海外展開を含めて、運営力及びマーケティング力の進化により既存タイトルが好調に推移していることや、固定費の圧縮及び変動費化が進んできたことから、新たなフェーズに入ってきたと言える。さらに、2020年12月期からは、カジュアルゲームへの参入や日本IP※の海外向けゲーム開発支援モデルのさらなる推進など、収益モデルの多様化にも取り組んでいく。

※IP(intellectual property)は知的財産の意味。ただし、本レポートでは「IP」= 知的財産権を有するコンテンツとする。


2. 2019年12月期の業績
2019年12月期の業績は、売上高が前期比4.8%減の31,109百万円、営業利益が同66.5%減の1,673百万円と減収減益となった。期初予想(レンジ形式)に対しては、売上高が下限を若干下回ったものの、営業(及び経常)利益はレンジ内での着地となっている。売上高は、2018年のワールドカップ効果が一段落した「キャプテン翼」などの既存タイトルが、期間経過に伴う減少(自然減)などにより減収となったが、その点はおおむね想定内。したがって、売上高が期初予想の下限を若干下回ったのは、前期リリースした「マジバト」、4月23日リリースの新作タイトル「禍つヴァールハイト」(以下、禍つ)の伸び悩みなどが理由である。一方、9月26日リリースの「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS 」(以下、スクスタ)については順調に立ち上がってきたようだ(第4四半期の業績に貢献)。損益面では、利益貢献の大きい既存タイトルの売上減による影響に加え、新作タイトルのリリースに伴う「減価償却費」の増加などにより売上原価率が大きく悪化し、営業利益率も5.4%(前期は15.3%)に低下した。


3. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の通期業績予想(レンジ形式)について同社は、売上高を35,000百万円(前期比12.5%増)~40,000百万円(同28.6%増)、営業利益を1,000百万円(前期比40.3%減)~3,000百万円(同79.3%増)と見込んでいる。売上高は、「スクスタ」の通年寄与に加え、新作タイトル2本と既存タイトルの多言語版のリリースを予定しており、増収の見通しである。レンジ設定の想定は、既存タイトルの売上ライフサイクル(自然減)のほか、新作タイトル及び既存タイトル多言語版のヒット度合いを反映したものである。一方、費用面では、新作タイトルリリースに伴う運営費用の増加、人員増加による労務費及び採用費関連費の増加を見込んでいるが、レンジ上限では増益となっている。また、カジュアルゲームへの参入においては、売上は業績予想には織り込んでいないものの、開発等にかかる費用は予想に組み込まれている。同社では今後、コスト構造の見直しにも取り組む方針である。

4. 成長戦略
同社は、ゲーム事業を中心に成長路線を継続するとともに、グローバルで高い価値提供を行い、「KLab ブランド」を確立するという中期目標のもと、「ゲームの長期安定運営」と「ヒット率の向上による収益の拡大」という2 つの事業方針を掲げている。特に、これまで進めてきた「3 PILLARS」(一部変更※)、すなわち、1)Universal IPs(海外を含めた有力IP の獲得)、2)Global Growth(グローバル展開の強化)、3)Original Creations(自社IP の創出)の3 つの柱をさらに深化させていく考えである。

※3つの柱の一つであった「Japanese IPs」を「Universal IPs」に変更している(詳細は後述)。


弊社では、国内におけるスマートフォンゲーム市場の先行きに不透明感があるなかで、海外への展開や残存者利益の享受(外部リソースの活用を含む)などにより、持続的成長が期待できる同社には大きなアドバンテージがあると評価している。また、IP(コンテンツ)の価値を高め、メディアミックス展開を狙う施策などにより1 タイトル当たりの収益最大化を目指す方向性を始め、カジュアルゲームへの参入や開発支援モデルのさらなる推進により収益モデルの多様化を図る取り組みは、開発リスクを抑えつつ、手堅い成功が期待できる合理的な戦略であると注目している。今後も、有力IP をゲーム化し世界中へ展開していくノウハウや独自のマーケティング力を生かして、いかに同社ならではの新たな価値を創出していけるかが成功のカギを握るだろう。

■Key Points
・2019年12月期の業績は減収減益ながら、期首予想に対しては、営業(及び経常)利益はレンジ内での着地
・新作タイトル「禍つ」が伸び悩む一方、「スクスタ」は順調な立ち上がり(第4四半期の業績に貢献)
・2020年12月期の業績予想については、「スクスタ」の通年寄与などによりレンジ上限では大幅な増収増益を見込む一方、レンジ下限では費用の増加により減益となる可能性も想定。
・今後も、海外を含む有力IPの獲得、グローバル展開の強化、自社IPの創出などに取り組む方針。2020年12月期より参入するカジュアルゲームの動向にも注目。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《EY》

 提供:フィスコ

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