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3656 KLab

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KLab Research Memo(4):2018年12月期上期は大幅な増収増益。「キャプテン翼」グローバル版が急拡大


 

■決算動向

1. 2018年12月期上期の業績
KLab <3656>の2018年12月期上期の業績は、売上高が前年同期比46.3%増の15,986百万円、営業利益が同31.7%増の2,593百万円、経常利益が同18.7%増の2,593百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同17.8%増の1,713百万円と大幅な増収増益となった。

売上高は、前期にリリースした「キャプテン翼」※1及び「シャニライ」※2による上乗せ分が増収に寄与した。特に、「キャプテン翼」が国内版及びグローバル版ともに大きく拡大。FIFAワールドカップロシア大会の開催が追い風となるなかで、多言語化※3や積極的なプロモーション展開に加え、効果的な運営施策(各国代表の最新公式ユニフォームを着用した選手たちを配信)などが奏功した。また、海外売上高が5,470百万円(前年同期比165.1%増)と大きく拡大し、海外売上比率が34.2%(前年同期は18.9%)に高まったのも、「キャプテン翼」グローバル版によるところが大きい。

※1 国内版は2017年6月配信開始、グローバル版は2017年12月配信開始。
※2 国内版は2017年8月配信開始、グローバル版は2018年1月配信開始。
※3 配信開始時の6言語対応(英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、繁体字中国語)に加えて、2018年6月からはアラビア語、ポルトガル語を追加。


損益面では、売上高に連動して、労務費やプラットフォーム使用料(及び支払手数料)が増加したほか、外注費及び業務委託費※1の拡大等により売上原価率が66.5%(前年同期は64.3%)に上昇。販管費も人件費※2や広告宣伝費の増加※3等により拡大したものの、増収により営業増益を確保した。一方、営業利益率は16.2%(前年同期は18.0%)に低下したが、積極的なプロモーションやイベント出展による広告宣伝費の増加、外部リソースの活用に伴う外注費及び業務委託費の拡大は計画どおりであり、利益率の低下も想定の範囲内と言える。また、経常利益以下の伸び率が比較的緩やかなのは、円高進行により外貨建債権にかかる為替差損61百万円(前年同期は為替差益175百万円を計上)が発生したことが主因である。

※1 特に、リリース前のゲーム開発(プロト開発)にかかる費用が売上原価率の上昇につながったようだ。
※2 国内社員数は516名(2017年6月末は451名)に増加。2017年12月期第3四半期より人員増強フェーズに移行した成果と言える。
※3 「キャプテン翼」のプロモーション費用のほか、「Anime Expo2018」(アメリカ ロサンゼルスで開催)及び「Japan Expo2018」(フランス パリで開催)への出展など。


財務面では、アクセルマーク<3624>との資本業務提携※や自己株式の取得等により「現金及び預金」が減少した一方、固定資産が拡大したことにより、総資産では前期末比1.7%増の18,933百万円とわずかに増加した。なお、固定資産の拡大は、ゲーム開発の進行による「ソフトウェア仮勘定」の計上のほか、アクセルマーク株式の取得などに伴うものである。一方、自己資本は、内部留保の積み増しにより同9.6%増の13,760百万円に拡大したことから、自己資本比率は72.7%(前期末は67.4%)に上昇した。

※2018年3月28日に、スマートフォン向けゲームの企画・開発などを手掛けているアクセルマークと資本業務提携を締結。アクセルマークのゲーム開発リソースを活用し、同社のゲーム開発ラインの増強を図ることが目的である。本件に伴い、アクセルマークの普通株式204,900株を第三者割当の方法により取得し、この結果、同社はアクセルマークの第2位株主(保有比率4.46%)となった。


2. 四半期業績の推移
四半期業績の推移を見ても、2018年12月期第2四半期の業績は、売上高が8,059百万円(前年同期比42.0%増、前四半期比1.7%増)、営業利益が1,247百万円(前年同期比20.8%増、前四半期比7.2%減)と高い業績水準を維持していると評価できる。特に、売上高は、過去最高を更新した2017年12月期第4四半期に次いで2番目の水準となっている。

海外売上高の四半期推移を見ると、「キャプテン翼」グローバル版が想定以上に急拡大したことにより、2018年12月期第2四半期は2,996百万円と前年同期比で約3倍に伸長し、過去最高(四半期ベース)の売上高を更新。同社の業績の伸びを力強くけん引していると言える。

なお、前四半期比で増収となったのは、「キャプテン翼」が日本版及びグローバル版ともに好調であったことが理由であるが、「スクフェス」※1及び「ブレソル」※2については、キャンペーンの反動等により前四半期比で減収となっている。したがって、「キャプテン翼」が他タイトルの減収分をカバーする格好で増収を確保したと言える。

※1 「スクフェス5周年記念セット」の販売が好調も、以降はその反動で減少。
※2 人気キャラクターガチャの再販や劇場版キャラクターガチャが好評であったものの、「千年血戦篇」のキャラクター配信や全世界3,000万ダウンロードキャンペーンを実施した前四半期には及ばなかった。


一方、費用面では、「労務費及び人件費」や「外注費及び業務委託費」、広告宣伝費が増加傾向にあるが、営業利益率は15%~18%水準で推移している。前四半期比で営業減益となったのは、社員数の増加(新卒採用を含む)に伴う人件費や積極的なプロモーション展開による広告宣伝費の増加など、今後の売上拡大に向けた先行費用によるものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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