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“人材革命”の大相場が開幕、外国人労働者関連「最強選抜5銘柄」 <株探トップ特集>


―改正出入国管理法の施行で変わる業界地図、株価変貌期待の人材サービス関連株をずばりセレクト―

 22日の東京株式市場は全般様子見気分が広がり、全体売買代金が2兆円を下回る低調ななかで日経平均株価は今週(2月18~22日)に入って初めて下落に転じた。しかし、日経平均の下げ幅は限定的であり、足もと2万1000円大台固めの動きとみるのが妥当。全体相場はリスクオン環境を継続する形で来週に期待を残した。

 米中貿易協議の進展具合がカギを握るとはいえ、両国は歩み寄る気配をみせており、現状はむしろ売り方にとって不都合な地合いといえる。主力株の上値は重くとも全体相場が“順の流れ”となれば、アクティブな個人投資家資金を交えテーマ買いの流れが活発化する。5G関連などは途中休憩をはさみながらも、長い目でみて上値を指向する動きに変化はない。しかし、春の息吹を感じるこのタイミングでは、4月の新法施行に絡む政策関連銘柄として人材サービス関連に新たに照準を合わせてみたい。

●改正出入国管理法施行で変わる人材業界

 構造的な人手不足問題を背景に安倍政権では外国人労働者の受け入れを拡大する方向で政策的なフォローを進めている。そうしたなか、4月から働き方改革関連法と合わせて「改正出入国管理法」が施行される。新在留資格「特定技能」新設による外国人労働者 の受け入れが開始されることで、これに絡むビジネスを展開する人材サービス会社などに商機が巡るとの思惑が株式市場でもにわかに高まってきた。多くの外国人労働者が新たな法整備のもとで受け入れられることになり、人材ビジネスの世界も新たな革命期へと突入していく。

 日本国内の外国人就労者数は17年秋の統計で130万人前後だったが、既にその時点で前年同期比2割近い伸びを示しており、それ以降は更に伸びが加速している状況が想定される。また、移民政策を行っていない日本では外国人の単純労働は原則禁止されている。しかし実際は多くの飲食業や流通・小売業などで、留学生や技能実習生など、本来労働を目的に入国しているわけではない人材を労働力として活用している現実がある。単純労働者受け入れの労働法制を整備することによって、こうした現状の是正を図るというのが、改正出入国管理法が新たに目指すところでもある。

●5年間で34万人の外国人労働者受け入れへ

 外国人労働者の在留資格として新設される特定技能は学歴要件や実務経験要件も不要とされ、在留資格は最長5年間が条件となる「特定技能1号」と、要件を満たせば家族の帯同も可能で永住の道にもつながる「特定技能2号」がある。特定技能1号については建設や造船・船舶、自動車整備、宿泊業、介護、農業など全14業種を対象に、今後5年間で最大約34万5000人の外国人労働者が受け入れられることになり、これは人材活用におけるグローバル化の波が日本にも本格的に押し寄せてくることを意味する。

 単純労働者受け入れの制度化に伴い、当然ながら人材サービス業界も風雲急の気配が漂う。外国人労働者の紹介や生活支援などの関連ビジネス市場の拡大が関連企業にとっては業績飛躍のチャンスにつながっていく。人材の受入対象国は当面はベトナム、フィリピンをはじめとするアジア諸国となる見通しで、それに対応した戦略を各社進めていく段階にある。株式市場においても、外国人労働者の拡大は投資テーマとして株価面での強力な刺激材料となることは必至。「働き方改革 と外国人人材の活用」、この2つのキーワードをもとに、人材サービス業界は新たな成長ステージに向けたシナリオが書き換えられる段階にあり、株価の居どころを大きく変える銘柄の宝庫と化す可能性がある。

●ビジネスチャンス拡大に向かう銘柄群

 関連銘柄としては総合人材サービスの大御所的存在であるリクルートホールディングス <6098> を筆頭に、人材派遣大手のパーソルホールディングス <2181> やパソナグループ <2168> 、全国に拠点展開し海外での展開力でも強みを発揮するアウトソーシング <2427> 、組織・人事コンサルのプロ集団で外国人サポートビジネスも展開するリンクアンドモチベーション <2170> 、建設業界向けで高実績を有する夢真ホールディングス <2362> [JQ]、技術者派遣のほか教育研修プログラムでも強みを持つテクノプロ・ホールディングス <6028> 、アルバイト人材紹介のほか外国人に特化した紹介ビジネスも展開するフルキャストホールディングス <4848> 、量販店での販促支援を手掛け、外国人派遣でも実績を持つヒト・コミュニケーションズ <3654> などがある。

 また、日本語学校の市場が急拡大しており、最有力は日本最大規模の京進ランゲージアカデミーを運営する京進 <4735> [東証2]や東京・赤坂で日本語学校を開校している市進ホールディングス <4645> [JQ]なども外せない銘柄だ。

●株価変貌への第一歩を踏み出した5銘柄

 そして、今回はこれら以外に、ここから株価を大きく変貌させる余地を内包する有望銘柄を選出した。材料株人気の中で新たな主役に躍り出そうな以下の5銘柄に注目したい。

【アルトナー】

●中計で外国人採用に積極的、依然評価不足は歴然

 アルトナー <2163> は1月29日を境に大きく株価水準を切り上げたが、900円台は同社株の実力からすればまだかなり評価不足といえるだろう。18年4月につけた実質上場来高値1367円奪回は決して高いハードルとはいえない。

 同社は機械設計や電子デバイス、システム開発などの技術者人材を派遣する業務を手掛け、自動車業界やIT業界向けで旺盛な需要を取り込むことに成功している。派遣単価も上昇傾向にあるなかで売上高、利益ともに急成長路線を走る。デジタル革命の潮流は紛れもなく産業界におけるIT系人材に対するニーズを喚起しているが、この波にうまく乗っている人材サービス会社が株式市場においても評価が高い。同社はその代表格の1社だ。

 外国人を対象とした人材活用についても積極的な布石を打つ。会社側では「当社は19年1月期から21年1月期まで3ヵ年の中期経営計画で外国人の高度な人材を採用していく方針を決めている。今年4月には初めて新卒で外国人採用も行う」としており、図らずも安倍政権の打ち出す国策に乗る格好となっている。新卒採用についても「中期計画は昨年3月にリリースしたもので、外国人採用は今回の入管法改正を意識したものとは違うが、外国人を積極的に確保していくことは(人材サービス業界の)流れとして必然であると捉えている」(会社側)とし、同社の成長戦略の一環として重視していることがうかがえる。

 19年1月期は営業利益段階で前期比12.8%増の7億6800万円を計画するが上振れる公算は小さくない。更に20年1月期も増収増益基調はキープされそうだ。

【UTグループ】

●労務管理の実績抜群、2日間で800円高の人気素地

 UTグループ <2146> [JQ]は今月初旬に急動意し、2日間で800円近い急騰劇を演じてマーケット関係者の耳目を驚かせた。その後は利益確定売りに調整を入れたものの2500円近辺で売り物をこなし踊り場を形成、次の跳躍を待つ局面にある。時価総額1000億円は今回取り上げた5銘柄の中では最大となるが、業績面の成長キャパシティーは小型株に全く引けを取らず、株式市場でも天性の人気素地がある。

 同社は半導体業界を中心に製造業向け人材派遣を展開、ここにきて自動車業界向けにも力を入れている。自動車関連は期間工からの切り替えが進むなか、需要掘り起こしが続いているが、自動車業界への注力が反映される形で単価が上昇傾向にあり、大ロット(大人数)案件へのシフトも進展、利益上方修正の背景となった。19年3月期営業利益は従来予想の70億円から80億円(前期比54%増)に大幅増額、株価急騰の引き金となっている。

 外国人のサポートビジネスとしては、外国人実習生の労務管理業務を手掛けており、「今年3月末時点で1000人は超えそう」(会社側)という。「当社では全体で2万人以上の労務管理を行っており、外国人実習生についても多少のカスタマイズが必要とはいえ、これまでに築いたノウハウを活用できる」(同)としており、20年3月期以降の業績に反映されることになる。業績は11年3月期以降、今期まで9期連続の大幅増収増益路線をひた走る。今期の営業利益は前述したように80億円を予想するが、これはリーマン・ショックの影響があった10年3月期と比較して実に27倍以上となっている。

【nmsHD】

●業績大変貌の3ヵ年計画、大相場初動で天与の買い場

 nms ホールディングス <2162> [JQ]は戻り足が鮮明、しかも単なるリターン・リバーサル狙いの買いではなく、“大相場初動”の匂いを漂わせている。株式分割前の17年12月に分割後修正値で1115円の上場来高値をつけているが、今後の潜在的な成長力を考慮すればそう遠くない時期に、この高峰を視野に入れる局面が訪れる可能性が高い。いうまでもなく400円近辺の株価は極めて魅力的といえる。

 同社は電機や精密機械などの製造受託サービス(EMS事業)や製造業への人材派遣ビジネスを展開している。2月8日に19年3月期業績予想の下方修正を発表、営業利益は従来予想の13億円から5億2000万円に大幅に減額した。ところが、株価はその後、翼を得たように上値指向を強める展開となった。

 今回の下方修正は、業績が急成長に向かう入り口を意識させるものだったからだ。「下方修正の理由は外国人実習生関連の先行投資及び新規子会社設立や立ち上げに伴う先行投資によるもので、今回下方修正した分については20年3月期に取り戻せる」(会社側)としている。そして、ここからが真骨頂といってよく、同社は新中期3ヵ年経営計画として22年3月期に売上高1000億円、営業利益40億円を掲げている。営業利益は今期予想比で実に7.7倍の大変貌となる。

 会社側では「外国人技能実習生の管理受託業務など人材関連ビジネスの拡大に加え、EMS事業では既にソニーの米法人のメキシコ事業などを譲受したことを開示しているが、これらも寄与しながら車載関連分野が新たな牽引役となる」としており、決して誇張された数字ではないことを株式市場も感じ取っている。時価はようやく中長期トレンドの分水嶺である75日移動平均線を上回った矢先で、壮大な株価上昇ストーリーの序章に過ぎない。

【ウィルグループ】

●ベトナムで教育プログラム始動、大勢2段上げ鮮明

 ウィルグループ <6089> は2月8日に4ケタ大台回復後、1100円近辺での売り物をこなし大勢2段上げへの移行を鮮明としている。

 同社は家電量販店や携帯ショップなどに人材を派遣しスマートフォン販売支援を主力としている。また、外国人留学生を対象とするアルバイト求人サイトも運営し、飲食店などを中心に高水準の広告需要を確保している。改正出入国管理法の施行に先立って外国人就労拡大にターゲットを絞った経営戦略を進めており、これが開花しそうだ。

 具体的にはベトナムの有名大学であるヴィン工業大学との協業により、日本で働く際に求められるスキルを学生向けの教育プログラムを現地でスタートさせている。「当社の正社員が現地に赴いてベトナム人の生徒に日本語を教えるなどして、日本で働く人材を育てる。その後の流れとしては、(日本で就労経験を得たベトナム人が)現地に戻りベトナムの日系企業でマネジメントができるような人材育成も念頭に置いている」(会社側)としている。このほか、「介護分野でも、外国人の人材を活用できるようなサポートビジネスを視野に入れている」(同)ことで今後の業容拡大への期待は大きなものがある。

 同社は中期計画で20年3月期に営業利益40億円(今期予想比54%増)を公表しているが、会社側によると「売上高1000億円については今期(19年3月期)に前倒しで達成できそうだが、営業利益についても、来期はこれまでの先行投資の回収期に突入することから実現は十分に可能」と自信をみせている。

【ジェイテック】

●テクノロジスト派遣で高単価実現、切り返し秒読み

 ジェイテック <2479> [JQG]はここ調整色をみせていたが26週移動平均線を足場に切り返しのタイミングが接近している。昨年12月には454円の高値まで買われた経緯があり、時価300円割れの水準は絶好の買い場とみておきたい。

 設計・開発部門へのテクノロジスト派遣で自動車業界やIT系企業のニーズを捉え収益の伸びに結び付けている。人材の高付加価値業務への配属を推進したことなどが奏功し派遣単価の上昇が寄与、19年3月期第3四半期累計(18年4-12月)の営業利益は前年同期比3.4倍の1億7400万円、最終利益は同2.6倍の1億1800万円と目を見張る伸びを示している。通期営業利益は1億9100万円(前期比2.5倍)を会社側では計画しているが、第3四半期時点で進捗率は91%に達している。20年3月期は利益の伸び率こそ鈍化しそうだが、増収効果を利益成長に反映できそうだ。

 外国人労働者に絡むビジネス展開について会社側では「現時点ではまだリリース(公表)できる段階には至っていないが、入管法改正を契機とした外国人人材の活用やそれをサポートするビジネスの重要性は強く認識しており、鋭意検討を進めている段階にある」としている。他の人材サービス会社と比べると若干後手を引いているようにも見えるが、テクノロジストの高付加価値化推進で培ったノウハウは、外国人人材へのアプローチでも早晩生かされる公算が大きい。

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