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3639 ボルテージ

東証S
254円
前日比
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100株
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時価総額 16.5億円
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決算発表予定日

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ボルテージ Research Memo(3):4つの戦略領域での施策を通じて売上規模を拡大させる計画


■恋愛ドラマアプリ

(1)日本語市場

恋愛ドラマアプリはボルテージ<3639>の中核事業であるが、その中でも日本国内をターゲットとする日本語市場は、最大の収益源となっている。2015年6月期は上期に「ルームシェア素顔のカレ Love Days」と「上司と秘密の2LDK」の2タイトルが、下期には「天下統一恋の乱 Love Ballad」(以下、「恋乱」)がそれぞれヒットし、業績をけん引した。これらの作品はいずれも、かつてキャリア公式サイト向けにリリースされた作品であり、それらをiPhone、Android端末向けにフルネイティブ化、あるいはガワネイティブ化してリリースしたものである。息の長いロングセラータイトルが、スマートフォン対応によってさらにユーザー層を拡げ、現在のヒットをもたらした。またさらに、下期に投入された「鏡の中のプリンセス Love Palace」のように、F2Pからの新規タイトルでヒット作を生み出せたことも2015年6月期の大きな成果となった。

2016年6月期については、4つの戦略領域での施策を通じて、新規ユーザー獲得と既存ユーザーのARPPU(Average Revenue Per Paid User)向上を実現し、売上規模を一回り拡大させる計画でスタートした。新規ユーザー獲得に向けては、名作IPタイトル(他社の知的財産を活用したタイトル)を導入することと、LINE GAMEへの配信が主たる施策である。今期導入の名作IPタイトル「花より男子~F4とファーストキス~」(以下、花男)は、7月に投入された。第1四半期を終えたところでは、初動は思惑通り非ゲームユーザー層の獲得が好調に進んだものの、その後のユーザー獲得とKPIが伸び悩んでおり、今後の巻き返しが待たれるという状況にある。しかし、「花男」によって得られた名作IPタイトルが持つ将来発展性への手ごたえは大きく、現在は本作の収益拡大に向けた注力と並行して、次回タイトルについても検討を始めている。また、初のLINE GAMEでの配信を開始した「悪魔と恋する10日間 Heaven's Kiss」(以下、「悪魔」)は事前登録数を順調に伸ばしていたものの、配信後の不具合の影響もあってDL数が失速した。思った以上の苦戦をしいられていることはランキング上位に食い込めていない現状からもわかる通りであるが、同社はシステム改修後に予定しているLINE側からの本格的な送客などによって、勢いを取り戻したいとしている。既存ユーザーのARPPU向上については、VIPアイテム、ポイント制の導入や、キャラ推し新シリーズ投入を計画している。

(2)英語市場

同社は恋愛ドラマアプリの英語市場への展開にも積極的に取り組んでいる。主たる市場としては北米を想定しているが、それ以外のイギリスやカナダなど英語圏かつ日本文化に興味を有する人口が多い国・地域も潜在的対象市場と言える。英語市場向けについては3つのプロダクト・タイプ(それぞれにF2PとP2Pがあるので細分化すれば6タイプ)を用意している。現在の最大の収益源は同社が「L10N(ライオン)」と呼ばれるカテゴリーだ。これは日本語版の恋愛ドラマアプリを英語に翻訳したものであり、制作が比較的簡単なため、新規リリースの本数も多い。翻訳版であっても対象顧客層がそもそも日本文化に興味を持っている層であるため、そのまま受け入れられているという状況だ。これがL10N好調の一因ともなっている。

そのような中、同社が今後の成長を期待するのは、「DRAGON」と「US REAL」という2方向だ。L10Nの引き続いての成長は言うまでもないが、この2つのカテゴリーによる収益上積みが英語版恋愛ドラマアプリビジネスの本格的な離陸のためには不可欠というのが同社の認識である。

DRAGONと US REALはともに、米国を中心とした英語圏向けに制作されたタイトルであるが、両者の最大の違いは絵柄にあり、DRAGONは北米向けアニメ絵、US REALはリアル絵となっている。DRAGONについては初投入となる新規タイトル「Labyrinths of Astoria」(以下、「Astoria」)をこの7月にリリースしKPIは好調なようだ。またUS REALについても、同じく初となるF2P新規タイトル「Kisses and Curses」(以下、「Curses」)を8月にテストリリースした。

さらに9月にはL10N F2P「Gossip Girl: PARTY Style Your Love」(以下、「Gossip Girl」)の配信も開始した。Gossip Girlは元来が米国のテレビドラマであるが、同社はそれをベースに日本において日本語版恋愛ドラマアプリとして配信。今回のリリースは、これを英訳していわば“逆輸出”するものである。これが成功すれば、従来の日本アニメファンを中心としたユーザー構成にGossip Girlファンも加わることで、ユーザー層自体をひと回り拡大できるだろう。こうした地道な成功を積み重ねることこそが、近い将来の海外事業(英語版恋愛ドラマアプリ事業)の収益性改善につながっていくものと期待される。

以上のように、2016年6月期は英語版恋愛ドラマアプリにとって、1つのビジネス的な転換点になると、大きな期待がかかる年だ。2016年6月期第1四半期を終えた段階では、プラス、マイナス双方の要素が出ている。プラス面では「Gossip Girl」と「Astoria」が期待通りの成果を収めている。一方、マイナス面ではL10NのF2Pで出足好調だった「Sleepless Cinderella:PARTY」のMAUとARPPUに伸び悩みまたは減少が見られているようだ。また、「Curses」はクオリティ向上のための対策が続いており、メインとなる北米市場でのローンチについて後ろ倒しを決定した。総括すると、英語版恋愛ドラマアプリの収益は順調に改善が進んでいるものの、英語版のこれからの動向は、業績巻き返しの点でも目が離せないポイントの1つとなると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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