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3625 テックファム

東証G
695円
前日比
-14
-1.97%
PTS
680円
23:57 04/24
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
44.8 2.33 0.72
時価総額 52.2億円
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テックファム Research Memo(5):2019年6月期は成長に向けた先行投資期間と位置付け


■今後の見通し

1. 2019年6月期の業績見通し
テックファームホールディングス<3625>の2019年6月期の連結業績は、売上高が前期比3.1%増の6,000百万円、営業利益が同18.6%減の450百万円、経常利益が同20.3%減の440百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.1%減の200百万円となる見通し。当期は今後の成長に向けた基盤を構築するため、自動車アフターマーケット事業や新事業領域でのプラットフォームサービス開発を中心に1億円強の戦略的投資を実施することが減益要因となる。具体的には、自動車アフターマーケット事業の主力商品の整備システムのクラウド化へ向けた開発を進めていく。また、アグリテック分野でも協業先とプラットフォームの共同開発を進めており、今下期以降の売上げ貢献が見込まれる。なお、足下のSI事業の受注状況は依然旺盛で、売上高については上振れする可能性が高いと弊社では見ている。


SI事業は引き続きIoT・AI関連が伸張、自動車アフターマーケット事業は増収増益に
2. 事業セグメント別の見通し
(1) SI事業
SI事業の売上計画は前期比微増収の見込み。NTTドコモ向けが大型開発案件の一巡により減収となるものの、IoT・AI関連の開発需要が依然旺盛で、その他顧客向けの増収でカバーする。ただ、利益面では新規事業や新サービスの開発費用に投資することで減益を見込んでいる。なお、IoT・AI関連の売上高は前期の約15億円から約20億円に拡大し、同事業セグメントの売上構成比で45%程度まで上昇する見通しとなっているほか、FinTech分野の開発案件も増加するものと予想される。新規事業としてはアグリテックや動画関連のプラットフォームサービスの開発を進めていく計画となっている。それぞれの取り組み方針は以下のとおり。

a)IoT
IoT分野では前期から自社プラットフォームの「MoL(Monitoring of Location)」を活用したソリューションサービスを展開しており、空港における特殊車両の所在管理やメンテナンスを目的に導入されたほか、ドローンを使った様々なソリューション展開を今後計画している。既に、農業用に作物の生育状況の把握と農薬の適切な散布時期の把握を目的に、ドローンを活用した実証実験を実施している。今後は林業や漁業、セキュリティ分野でドローンとスマートフォンを組み合わせたソリューションを提案、受注獲得につなげていく考えだ。1案件当たりの受注規模は数千万円程度を見込む。

また、ee-TaB*事業に関しては、「客室オーダー機能」(ホテルレストランでのオーダー受付やタクシーの呼び出し機能など)や遺失物管理機能、決済機能の拡充等、顧客満足度の向上につながる機能拡充を進めていることもあって、導入ホテル数が増加基調にある。2018年9月には(株)相鉄ホテルマネジメントが運営する「相鉄フレッサイン 日本橋茅場町」(全196室)にも導入されたが、同ホテル向けでは新たに周辺の飲食店と連携して、客室から飲食店へデリバリー注文ができる機能も追加した。「相鉄フレッサイン」は首都圏を中心に20施設以上展開しており、導入効果が確認できれば他のホテルへ導入が進むことも期待される。

全国のホテルの客室数は約84万室で、旅館も含めると150万室を超える。今後、増加が見込まれる外国人向けの民泊施設なども含めれば潜在需要は大きく、導入室数は今後も右肩上がりに拡大していくことが予想される。現在の売上規模はまだ小さいものの、ストックビジネスとなるため損益分岐点を超えれば安定した収益源として同社の業績に安定的に貢献するものと期待される。当面は損益分岐点となる7,000室の早期達成を目指していく。

b)AI(アグリテック)
AI分野では新規参入するアグリテック事業が注目される。2018年4月にプレミアムフルーツの輸出を主に展開する(株)ジャパン・アグリゲート(以下、JAG)と業務提携を締結し、共同で海外向け販路拡大を支援するAI技術を活用したプラットフォームシステムの開発を進めている。カメラによる画像認識技術を使って撰果作業の自動化を進めるシステムを農林水産省の補助金を活用して開発しているほか、海外向け受発注システムの開発や仕入販売データ等を活用して適正な販売価格、需要量などを生産者に提供するデータサービスの開発も進めている。

特に注目されるのは受発注システムだ。従来は輸出に関する受発注業務は国ごとに仕様が異なるため、業務が煩雑なことが輸出事業者の経営課題であったが、こうした業務の効率化を実現するプラットフォームを開発できれば需要は大きいと見られるためだ。まずは共同開発先のJAGで導入し、その後他の輸出事業者にも展開していく計画となっている。月額システム利用料は抑え目にして、流通額に応じた手数料をJAGとレベニューシェアするビジネスモデルを想定している。2019年春以降に運用を開始し、2020年に流通額ベースで200億円を目標としている。なお、同社はJAGに対して15%超を出資しており、将来的には、役員を派遣し持分法適用関連会社化も視野に入れている。

農林水産省の統計によれば、果実及びその調整品(果実缶・びん詰類等)の2017年の輸出額は前年比1.3%減の265億円と伸び悩む格好となった。需要は旺盛なものの、撰果作業の人手不足や受発注業務の煩雑さなどで処理量が限界になっていることが一因と見られる。ただ、直近5年間で輸出額は3倍以上に拡大しており、日本産フルーツの需要の裾野が広がっていることは間違いない。同社が開発する自動撰果システムや受発注システムなどの利用が広がれば生産性が格段に向上し、輸出量も再び拡大していくものと予想される。特に、高品質なプレミアムフルーツの需要はアジアや中東などでも高い評価を受けており、価格水準も国内より高値で販売されることが一般的となっており、生産者への収益寄与度も大きいだけに潜在的な需要は大きいと見られる。

c)AI(FinTech)
また、FinTech分野においてもAI技術を活用したシステムの開発を進めている。具体例としては、NTTデータ<9613>、京都銀行と共同で2018年5月より3週間の期間限定で、中小企業や個人事業主に対する新たな事業性評価基盤を開発することを目的とした実証実験を実施した。事業会社で開催した工場見学やワークショップ等に参加した人から収集したフィードバックデータを基に、事業価値やポテンシャルを抽出し、可視化していくというもの。従来の財務数値だけではわからない企業価値を評価し、融資の判断材料として活用していく可能性を探る実験となる。NTTデータでは地域金融機関の活性化につなげるための金融サービス創出に向けたオープンイノベーションの場として「BeSTA FinTech Lab」を開設しており、同社はその開発パートナーとして、複数案件の研究開発プロジェクトに携わっている。今後、これら開発プロジェクトが本サービスとして実用化することが決まれば、開発パートナーとして同社の収益にも貢献することが見込まれる。

d)動画関連プラットフォーム
新規事業として動画関連プラットフォームの開発を進めている。企業や一般個人が手軽に動画を制作・編集できるプラットフォームとしてサービス提供していく計画となっている。想定している利用シーンは、BtoBでは自社商品の販売プロモーションやリクルート向けの動画となり、BtoCでは結婚式など各イベントでの動画制作などが挙げられ、低コストで手軽に編集・制作できることを訴求ポイントとして開発を進めている。2019年早々にもβ版をリリースする予定で、2020年以降に本格的なサービス展開を進めていく計画となっている。インターネット動画に関してはここ数年で企業や個人の間で急速に普及が進んでおり、利便性の高いプラットフォームを提供することで、これらニーズに取り組んでいく考えだ。既に、金融・アパレル企業からも受注しており今後の展開が注目される。

(2) 自動車アフターマーケット事業
自動車アフターマーケット事業の売上高は前期比3%増の1,600百万円、セグメント利益も増益を見込んでいる。引き続き整備システムやガラス商・部品商向けシステム、車検工程管理システムが堅調に推移する。増収率が鈍化するのは、営業リソースがボトルネックとなっているためだ。また、ガラス商・部品商向けシステムについては見込み顧客のなかで、経営トップが同社システムを高く評価していても、競合他社品を20年以上も長く使い続けている現場オペレータからシステム入れ替えに対する抵抗も少なからず出ているケースもあるようで、現場オペレータへの啓蒙活動をいかに効果的に進めていくことができるかが今後の課題となっている。今期は人材投資やこうした営業課題を解決しながら、関東、九州エリアから徐々にシェアを拡大していく戦略となっている。

なお、整備システムやガラス商・部品商向けシステムの対象顧客数について見ると、整備事業者数が6~7万社あるのに対して、ガラス商は500社、部品商は1,500社程度となっている。数は少ないものの、1社当たりの売上規模は整備支援システムの数倍以上となるため、10社開拓できれば売上高は数億円規模となる。これら製品は6年リースのため、リース切れのタイミングを見計らってリプレース需要を取り込んでいくほか、業務支援システムをまだ導入していない企業にも売り込みも進めながら事業規模を拡大して行く戦略となっている。また、現在はパッケージシステムの売り切り型(リース販売)だが、今後は初期導入費用を抑えられるサブスクリプション型(月額課金収入)への移行を視野に入れた開発を進めていく予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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