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3565 アセンテック

東証S
517円
前日比
-20
-3.72%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.8 2.20 1.93 68.71
時価総額 70.0億円
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アセンテック Research Memo(8):仮想デスクトップは社会的な3つの問題を解決できる先進テクノロジー


■アセンテック<3565>の事業環境

昨今、重要視されているIT分野における社会的な課題は、1)情報漏洩、盗難事故などといった「情報セキュリティ問題」、2)災害発生時におけるデータ消失などの「事業継続問題」、3)在宅勤務や人材雇用を促進する「働き方改革」の3つが挙げられる。

「情報セキュリティ問題」については、2018年9月に地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインが改定されたことなどから、とりわけ地方自治体で情報システムのクラウド化・セキュリティ対策をはじめとするインターネット環境の整備が急務となっている。総務省が公表した平成30年版『情報通信白書』
によると、実際に地方公共団体では現在、自治体クラウドの積極的な展開を推進しているという。具体的には、地方自治体がシステムのハードウェア、ソフトウェア、データ等をそれぞれで管理・運用することに代えて、外部のデータセンターにおいて管理・運用し、ネットワーク経由で利用するという取り組みで、複数の地方公共団体の情報システムの集約と共同利用を行っている。この取り組みは、システムの運用経費の削減や業務の効率化・標準化の観点から重要であるとともに、地方公共団体の庁舎が損壊し、行政情報が流失する被害が生じた東日本大震災の経験も踏まえ、堅牢なデータセンターを活用することで、行政情報を保全し、災害・事故等発生時の業務継続を確保する観点からも重要としている。

また、情報セキュリティ対策の強化において、総務省では、地方公共団体の情報セキュリティ対策の抜本的強化を図るため、1)マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図り、住民情報流出を徹底して防止すること、2)マイナンバーによる情報連携に活用されるLGWAN(総合行政ネットワーク)環境のセキュリティ確保に資するため、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割すること、3)都道府県と市区町村が協力して自治体情報セキュリティクラウドを構築し、高度な情報セキュリティ対策を講じることの3層からなる対策を推進している。さらに、従来インターネット経由で更新されていたプログラム更新ファイル(OS、ウイルスパターンファイル)等をLGWAN環境内で安全に受け渡しできるようにする自治体情報セキュリティ向上プラットフォームを構築し、2017年12月より実証運用を開始している。


企業では「ワークライフバランス」「業務効率化」「従業員のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上」がトレンド
「働き方改革」において注目されているのは「テレワーク」である。これは勤労形態の一種で、情報通信機器等を活用し、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができる形態である。「働き方改革」の影響によるデジタルワークスペースへの関心の高まりなどにより、テレワークを実現するひとつの方法としても、仮想デスクトップ導入が拡大することが見込まれる。

ただし、これまではコスト面でデスクトップ仮想化環境を構築する際の導入負荷が大きく、従業員数が多い大企業の導入が中心であったと見られる。しかし、クラウド化やサブスクリプションモデル導入によって、中堅/中小規模事業者においてもデスクトップ仮想化環境の構築が広がることになるだろう。なお、IT専門の調査会社によると、国内クライアント仮想化関連市場予測では、同市場は2022年に9,400億円規模まで拡大し、2017年-2022年の年間平均成長率(CAGR)は7.0%と予測している。

また、総務省と厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府では、東京都及び関係団体と連携し、2017年より、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開会式に当たる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、その周辺数日間に「働き方改革」の国民運動を展開している。2017年(7月24日のみ)には約950団体、6.3万人、2018年(7月23日-27日の5日間)には1,682団体、延べ30万人以上が参加した。

2019年は、2020年東京オリンピック・パラリンピック前の本番テストとして、7月22日-9月6日の約1ヶ月間を「テレワーク・デイズ2019」実施期間と設定し、2,800を超える団体が参加していた。「テレワーク・デイズ2019」では、東京都心の大企業や競技会場周辺の企業を含めて、大規模実施(前半平日10日間の集中実施、社員の1割程度/日)を呼びかけるとともに、首都圏以外・中小規模の団体、官公庁などでも様々な業種、規模、地域の団体の参加を促している。様々なテレワーク(在宅、モバイル、サテライトオフィス)の実施、時差出勤、フレックスタイム、ワーケーション(ワーク+バケーションの造語)等を組み合わせた実施など、多様な働き方を奨励している。

企業では「ワークライフバランス」「業務効率化」「従業員のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上」がトレンドになっている。特に、無理や無駄の源泉になっている「時間と場所の制限」がない労働環境をいかに作るかが課題となる。こういった政府の推進や企業の抱える問題点への取り組みといった流れが広がりを見せていることからも、デスクトップ仮想化製品の需要の大きさがうかがえる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)

《ST》

 提供:フィスコ

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