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3538 ウイルプラス

東証S
1,037円
前日比
+19
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.0 1.02 4.20 36.39
時価総額 107億円
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決算発表予定日

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ウイルプラスH Research Memo(6):マルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略で持続的成長の実現を追求


■中長期の成長戦略と進捗状況

1. 成長戦略の全体像
ウイルプラスホールディングス<3538>は、持続的成長の実現に向けて、1)マルチブランド戦略、2)ドミナント戦略、3)M&A戦略の3つを中核に据えて臨んでいる。それぞれの詳細は後述するが、これら3つの戦略は、同社が営む輸入車の正規ディーラー事業の持つ特性・特質を考えた場合、非常に的を射た、有効かつ説得力のある施策だと弊社では考えている。

重要なことは、同社が、これら3つの成長戦略があくまで成長のための手法・手段であることを忘れることなく、これらの戦略を状況に応じて組み合わせながら、持続的成長の実現という目標を追求しているということだ。例えばM&Aを成長戦略に掲げる企業において、いつのまにかM&A(で売上高を拡大)すること自体が目的化してしまうことは珍しいことではない。そうなった場合、収益性が低下し、当初得られたM&Aの効果以上の犠牲を支払うことになると言ったこともよく見られる。後述するように、同社は目的と手段を履き違えることなく、上述の3つの戦略を活用して、企業業績という形で実績を挙げている。それが信頼を高め、(M&Aを含めた)新たな成長機会を呼び込むという、ポジティブスパイラルを生み出している状況にある。

同社はまた、KPIとしてROEを採用し、業績面(売上高、利益)の成長と同様に、高ROE経営の実現を目指している。前述のように、3つの戦略を活用して持続的成長の実現を追求するということは、言い方を変えれば効率的な経営を追求しているということだ。このことは、同社のROEにも明確に反映されている。同社自身、そのことを強く意識しているがゆえに、ROEをKPIとして採用し、経営の指針にしているものと思われる。


新型モデル投入時期の差異による販売サイクルへの影響の平準化を狙う。大型ブランドのさらなる獲得に期待
2. マルチブランド戦略
マルチブランド戦略は複数のブランドを取扱うことでブランド間の新モデル投入時期の差による収益変動を平準化し、安定成長の実現を目指すことが主眼となっている。

同社は2018年12月からポルシェの正規ディーラー事業を開始し、取扱いブランド数が10ブランドとなった。一見するとマルチブランド戦略を十分実現できているように見えるが必ずしもそうではないと弊社では考えている。

まず、10というブランド数も、インポーター単位での括り直すと、同社のブランドは「アルファロメオ・フィアット・アバルト、ジープ」、「ジャガー・ランドローバー」、「BMW・MINI」、「ボルボ」、「ポルシェ」の5グループに減少する。

モデルチェンジサイクルは車種ベースで発生するが、同一ブランド内において、売れ筋の車種とそれ以外では販売台数に大きな差がある点も重要だ。

また事業会社単位で見ても、2017年実績ベースで、チェッカーモータースは台数シェアが1位(FCA傘下5ブランド計)だったのに対して、ウイルプラスモトーレンと帝欧オートはともに6位(ウイルプラスモトーレンはMINIの販売台数。BMWのシェアはもっと低いとみられる)だった。また、ポルシェ事業を行うウイルプラスアインスは2店舗を構えるにとどまっている。このように、事業会社間の店舗数や収益規模に差があるため、ある事業会社の低迷を他の事業会社の成長でカバーすることができないケースも起こりうる。

以上を考慮すると、同社のマルチブランド戦略はいまだ道半ばにあると弊社では考えている。何をもってマルチブランド戦略が完成したと判断するかは一概には言えないが、同社がマルチブランド戦略によって目指す収益安定性の増大や安定成長の実現のためには、輸入車市場における台数シェアトップ3のブランド(メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、BMW)のうち、BMWに続くもう一つのブランドの取扱いが当面の目標になってくるのではないかと考えている。後述するドミナント戦略による高い経営力と、それに支えられたM&A力を活用してそうした大型ブランドの獲得を期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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