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3445 RSテクノ

東証P
3,045円
前日比
-75
-2.40%
PTS
3,050円
13:58 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.6 1.43 44.77
時価総額 803億円
比較される銘柄
三益半導, 
トーカロ, 
テクノフレ
決算発表予定日

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RSテクノ Research Memo(4):競合他社に比べ、高い収益性を誇る


■事業環境とRS Technologiesの強み

(2) RS Technologiesの強み

RS Technologies<3445>の強みとして様々なポイントを挙げることができるが、以下ではなかでも特に重要と弊社が考えている3点を紹介する。

a)コスト競争力
弊社が考える同社の強みの最大のポイントは、コスト競争力だ。前述のように、再生加工賃は下落基調をたどりその結果ラサ工業は事業撤退を決断した。その事業を承継した同社は2015年12月期で19.5%の営業利益率を実現した。これには台湾子会社の営業損失も含まれており、国内の同社本体の営業利益率は24.8%だった。

この高い収益性を実現できている理由は、ラサ工業の生産設備を安価で購入したことや、人員を必要最低限に絞り込んだことが大きい。ラサ工業は事業撤退に当たって一旦従業員を解雇した。同社はこれら従業員の一部を再雇用して事業をスタートさせたため、当初は55人でスタートし、能力を20万枚/月に拡張した現在でも350人体制で操業している。ラサ工業時代は9万枚/月の生産能力に対して450人の従業員がいたことを考えると、同社の効率性の高さが際立つ

同社とシリコンウェーハ関連企業の信越化学工業、SUMCO<3436>、三益半導体工業の営業利益を比較した。信越化学工業とSUMCOはシリコン単結晶の引き上げから行う、いわゆるシリコンウェーハの一貫製造メーカーだ。三益半導体工業と同社は表面研磨加工だけを手掛け、そのなかで三益半導体工業は新品と再生加工の両方を行い、同社は再生専業という違いがある。同社の営業利益率は本来的には三益半導体工業に近いものとなるはずだが、前述した理由から、三益半導体工業を大きく上回る営業利益率を確保できている。また、同社の2015年12月期は台湾子会社の損失を含んでいるため、営業利益率が本来の水準から押し下げられている点に留意すべきだ。

b)顧客構成
同社のもう1つの強みは顧客構成で、この点もラサ工業時代から大きく変化した点だ。ラサ工業時代はある特定の半導体メーカー向けの売上構成比が約70%に達しており、この半導体メーカーの生産状況によって再生加工事業の操業度も大きく影響を受けるという脆弱な収益基盤となっていた。

同社は事業開始当初から顧客の分散に努めた。現在では、地域別のウェーハ再生市場構成比と同社の売上高の地域別構成比がほぼ相似形となっている。それぞれの地域内においても複数の半導体メーカーを顧客として抱えているとみられ、顧客1社当たりの依存度を大きく引き下げることに成功している。

このことには大きな意味がある。技術進歩が速く巨額投資を必要とする半導体業界では、いかなる半導体メーカーも将来の存続は約束されたものではない。しかしながら、半導体産業全体で見れば、ハイテクバブルの崩壊やリーマン・ショックなどによる一時的な落ち込みはあっても、長期的には成長が継続している。よほど大きなパラダイムシフトが起きない限り、半導体市場は今後も右肩上がりのトレンドを歩むと考えられる。同社の顧客構成は、同社が半導体業界全体に対して広く薄く網をかけた状態にあることを意味しており、ある特定の国や企業の半導体生産の変動に左右されることなく、半導体業界全体の成長と軌を一にして長期的成長を実現できることを示唆している。

c)生産技術:薄膜剥離技術と金属除去技術
同社は技術的側面でも強みを有している。現時点で威力を発揮しているのは、ケミカル処理による薄膜の剥離技術だ。モニターウェーハの表面には回路形成の前処理として様々な物質の薄膜が形成されるほか、ウェーハ内部にもドーピング処理が成される。再生加工の本質はこの膜やドーピング物質を除去してピュアな高純度シリコンのウェーハに戻すことだ。ライバル企業がこれをポリッシング(研磨)で行うのに対して、同社はケミカル処理とポリッシングを組み合わせて行っている。このメリットは再生1回当たりの研磨量を減らすことができるため、モニターウェーハの再生回数を多くすること(長寿命化)ができる点だ。コストダウン効果に直接つながるため、顧客に対する訴求力は高いと弊社では考えている。

もう1つの強みは金属除去技術だ。半導体メーカーは、テスト・評価目的でモニターウェーハ上に実際に銅などの金属の回路形成を行うことがある。現在はこのような金属回路を形成したモニターウェーハは再生に回さず廃棄している。理由は金属回路を形成してしまうと金属成分がウェーハ内部に浸潤し、表面をポリッシングしても除去しきれないためだ。同社はこれを解決し、金属回路を形成したモニターウェーハも再利用を可能にする技術を開発した。現在は半導体メーカーの評価を受けている状況だ。この技術が認定されれば、ウェーハ再生市場自体が拡大することになり、その拡大した分は同社が独占的に取り込むことも可能になる。この廃棄分が再生に回ると、再生市場は投入されるウェーハ全体の約20%から25%へと5%拡大するとみられる。これは、現状100万枚/月の再生市場が125万枚に拡大することを意味し、増加分は同社の総生産能力に匹敵する規模ということになる。このインパクトは決して小さくない。

ただし、この金属除去技術の普及にはもうしばらく時間がかかりそうだ。最大のハードルは、半導体メーカー側が金属除去は不可能という先入観を捨てきれない点にあるようだ。同社側としても、足元の需給がタイトで設備稼働率がフルキャパ状態にある現状から、金属除去技術の普及の優先度は低下している状況だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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