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いま再び“宅配ボックス関連株”、規制緩和と需要拡大で動向注視 <株探トップ特集>


―さえない株価と設置増、マーケットの期待が高まる時は?―

 宅配ボックス関連株が再び脚光を浴びそうだ。国土交通省は、昨年11月に続き宅配ボックスの設置について規制を緩和する方針で、今後も続くとみられる宅配業界の人材不足に対応する構えだ。一昨年末から宅配ドライバーの長時間労働が社会問題化しているが、その背景の一つとしてインターネット通販の急拡大による再配達問題が浮上。この解決策として「宅配ボックス(ロッカー)」設置に関心が高まり、関連銘柄に物色の矛先が向かったことは記憶に新しい。宅配ボックス設置の規制緩和が焦点になるなか、現状と今後の展開を探った。

●キッカケは再配達と長時間労働

 大手宅配企業の配達ドライバーが、路上に荷物を放り投げるという事態が2016年の暮れにインターネット動画で拡散されたことをキッカケに表面化した再配達と長時間労働問題。この問題に対応すべく規制緩和が進むなかで、再び宅配ロッカー関連銘柄に注目が集まる可能性がある。

 多忙を極める現代社会、ネット通販は社会のニーズをとらえ拡大の一途をたどっている。ただ、そこには思いもよらぬ弊害が潜んでいた。共働き世帯の増加などで日中留守となった住宅に配達された商品は、当然のことながら受け取り手が不在のため再配達となる。そのためドライバーは再び配達先に出向くことになり、それが長時間労働という過酷な労働環境を招く大きな要因となった。さらに、人手不足が常態化しておりドライバーなど配達員の確保がままならない状況も追い打ちをかける。そこで、再配送の問題を解決すべく一躍主役の座に躍り出たのが宅配ボックスだった。配達ドライバーは、設置された宅配ボックスに荷物を入れることで再配送の必要がなくなるからだ。ただマンションなどには設置規制があったため、設置したくてもできないという建物も多く存在していた。

●9月中に建築基準法改正、全ての建物に設置可能へ

 国もこれら状況を打開すべく、宅配ボックスの設置基準の規制緩和に動いた。昨年11月には設置について運用の明確化を行い、マンション、共同住宅について共用の廊下と一体となった部分については、容積率の規制の対象から除外することで、宅配ボックス設置をバックアップした。国土交通省では「マンション以外の取り扱いについても調査を実施しており、(さらなる)規制緩和に関しては検討している段階」(住宅局市街地建築課)と答えるが、全ての建築物への設置に対応すべく、9月中に建築基準法に関する政令などの改正に基づき宅配ボックスの設置規制を緩和するとみられる。これによりオフィスビルや病院、ショッピングセンター、駅ビルなどで宅配ボックスの設置が進むことが期待されている。

●ダイケンは感応度抜群

 宅配ボックスに絡む銘柄の株価については、年初来安値圏で推移するものも多く、一言でいえば「パッとしない」動きが続いている。ただ、需要が急拡大するなか調整一巡、キッカケ待ちとの見方も少なくはない。また、最近では利便性を高めた新製品に加え宅配業者との連携を深めるなど、宅配ボックスを巡る状況は設置拡大に向けて加速している。

 ダイケン <5900> [JQ]は、宅配ロッカー関連として“感応度”の高さで目を引く。8月26日付の読売新聞で宅配ボックスの設置規制緩和が伝わると、翌日に株価は急動意し一時127円高の877円まで買われる場面があった。出来高流動性にやや乏しいのが難点だが、宅配ロッカー関連のなかでも注目度が高いだけに、目を配っておく必要がありそうだ。現在は700円台後半で推移している。

●目を配りたいアルファ、神栄

 1964年にコインロッカーの製造・販売を始めたアルファ <3434> は、まさにロッカー業界の老舗。キーとロックを中心とした自動車部品・住宅製品・コインロッカー製品の開発・製造・販売を手掛けるが、ここ宅配ロッカー関連株としても頭角を現している。同社では7月1日から戸建・賃貸住宅用宅配ボックス「ed-CUBE(イーディーキューブ)」 (ICカード/暗証番号認証タイプ)の注文受付を開始した。株価は調整が続き、8月21日には1403円まで売られ年初来安値を更新している。

 そのほかでは繊維・食品・物資・電子など幅広い分野に展開する神栄 <3004> も宅配ボックス関連の一角として忘れてはならない存在だ。株価は底値圏にあるが、8月23日に1159円まで売られ年初来安値を更新した後はじわり浮上の気配も漂う。またFUJI <6134> も、7月から同社の受け取りロッカーシステムを利用し佐川急便と連携するなど、宅配ロッカーを巡る動きを活発化させている。

●三和HDは戸建住宅用「おるすばんボックス」

 再配達問題は、マンションなど集合住宅などに限らない。共働き世帯の増加により、戸建て住宅でも同様の問題が増えている。そのような状況下、三和ホールディングス <5929> が今年2月に戸建て住宅用宅配ボックス「おるすばんボックス」を発売した。ポイントは、大容量の収納が可能な大型サイズで利便性が高い点だ。同社では「徐々に伸びている。グループの(共同販売している)田島メタルワークでは自社でネット販売も行っており好評だ。今後の状況などを考えると、のびしろは大きいとみている」(広報・IR部)という。同社が7月31日に発表した19年3月期第1四半期の連結経常損益は、前年同期の1億5300万円の赤字から1700万円の赤字に赤字幅が縮小している。株価は、6月20日に1137円まで売られ年初来安値をつけたが、そこから上値を慕い現在は1300円台をうかがう状況にある。

●“異彩なロッカー”でグローリー

 ここで注目したいのが貨幣処理機大手のグローリー <6457> の存在だ。株式市場においては、言わずと知れたカジノ関連株の中核をなす銘柄だが、実は宅配ロッカーでも攻勢を掛けている。同社は、同じロッカーで手荷物預かりと宅配受け取りが可能になるソフトウエアを開発し、今年2月から販売を開始している。従来、駅に設置される手荷物用ロッカーは、宅配受け取り機能を追加する場合、それ専用のロッカーを追加設置する必要があったが、その問題を解決した。利用者にとっては利便性が、設置者にとっては稼働率が高まるメリットが生まれるという。まさに“異彩なロッカー”で宅配関連株の一角としても名乗りを上げた格好だ。

 同社では「需要拡大に期待している。今後は、駅に限らずスーパーやドラッグストアなどにも展開、提案を行っていきたいと考えている」(コーポレートコミュニケーション部)と話す。株価は、年初につけた4410円の年初来高値から8月7日には2850円まで売られ年初来安値を更新、現在も2900円近辺でもみ合うものの、今後本格化するであろうカジノ関連の切り口もあり、再評価機運が高まれば株価上昇も期待できる。

 配達ドライバーの再配達問題の解決に端を発した、「宅配ボックス」設置規制緩和の動きだが、そこには日本社会が抱えるさまざまな問題が見え隠れする。株式市場に「宅配ロッカー関連、再び見参!」……その時が迫っている。

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