アルファ Research Memo（3）：営業キャッシュ・フローは13/3期以降で着実に増加

■2017年3月期の業績動向

(1) 2017年3月期第2四半期の業績動向

アルファ<3434>の2017年3月期第2四半期の業績は、売上高22,972百万円（前年同期比7.1%減）、営業利益1,213百万円（同51.1%増）、経常利益241百万円（同60.7%減）、親会社株主に帰属する四半期純利益は損失1,116百万円（同1,234百万円悪化）となっている。売上高は海外拠点の現地通貨ベースでは増収であったものの、円高による為替影響が大きく円ベースでは減収を余儀なくされた。一方、営業利益では為替損221百万円、コストアップ321百万円など減益要因が679百万円に対して内製化や直接材料節減などで660百万円、固定費削減による効果296百万円、仕掛・在庫圧縮効果119百万円など1,100百万円の増益要因が勝り、営業利益で410百万円増を達成した。ただし、経常利益では為替差損1,057百万円発生（前年同期は為替差損259百万円）が影響し、372百万円減となった。

税引利益については、2016年9月15日に米国司法省との間で特定顧客向けの自動車部品の一部取引に関し、米国反トラスト法に違反したとして、罰金9百万USドルを支払うこと等を内容とする司法取引に合意、関連損失929百万円を特別損失計上したため、大幅な損失となった。

事業別では自動車部品事業国内が主要得意先の販売が伸びず売上高は2.9%減収の5,530百万円、営業利益は528百万円損失と前年同期並みの損失計上となった。しかし海外は北米で現地通貨ベース増収が寄与し営業利益が47.1%増の504百万円、アジアもASEANで販売台数が伸び悩んだものの4.2%増の744百万円、自動車部品事業全体では営業利益が35.8%増の720百万円となった。

セキュリティ機器事業は、国内でコインロッカーの入れ替え需要増や住宅向け電気錠の拡大で増収、営業利益は2.10倍の389百万円、海外は外部売上の減少で営業利益は26.9%減の52百万円となった。

(2) 2017年3月期業績見通し

2017年3月期通期業績見通しは売上高48,000百万（前期比4.0%減）、営業利益2,100百万円（同57.4%増）、経常利益1,350百万円（同14.06倍、1,254百万円増）、親会社株主に帰属する当期純損失800百万円（同403百万円悪化）となっている。同社の5月12日に公表した期初計画では売上高50,500百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益650百万円、9月16日の円高見通し修正に伴う修正予想では売上高46,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益1,250百万円、親会社株主に帰属する当期純損失850百万円と予想していた。また10月3日にはASSA ABLOY ABのカーアクセス・セキュリティ事業の譲受等の完了に伴い当該事業の寄与（売上高2,000百万円、営業利益、経常利益100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円）を加え再度修正予想を発表、11月11日の今回予想は10月3日予想を変更していない。

売上面では海外子会社の現地通貨では増収となるものの、円高で売上高が目減り、営業利益は上期と同額程度の改善効果が継続して得られるとして、営業利益は前期比766百万円改善すると予想している。なお、訴訟関連の特別損失は上期処理分で完了、10月3日の予想に織り込んでいた模様である。事業別では自動車部品事業が39,500百万円（前期比.6.6%減）、セキュリティ機器事業8,500百万円（同9.8%増）予想としている。

全体として、最終利益では大幅な損失計上を予想するものの、実体的な面では着実な改善が進んでいる印象である。その兆候が読み取れるのが営業キャッシュ・フローの着実な増加である。営業活動によるキャッシュ・フローが2013年3月期以降着実に増加、この上半期も1,787百万円を稼ぎ出している。投資活動によるキャッシュ・フローの減少もASSA ABLOY ABの譲受で一巡、今後はさらに営業キャッシュ・フローが増大し、フリー・キャッシュ・フローの拡大局面に入るとみられる。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　岡本　弘）

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