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3416 ピクスタ

東証G
866円
前日比
-11
-1.25%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.2 1.75
時価総額 19.9億円
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パレモ・HD
決算発表予定日

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ピクスタ Research Memo(5): fotowa事業・Snapmart事業等、新事業の早期収益化図る


■中長期の成長戦略と進捗状況

1. 中長期の成長戦略の概要
(1) 中期成長戦略
ピクスタ<3416>の成長戦略は、中核事業であるPIXTAの深耕(タテ展開)と、周辺・関連領域へのヨコ展開で構成されている。タテ展開の具体的テーマは、国内PIXTA事業の安定成長と、海外PIXTA事業の立ち上げ・収益化だ。PIXTA事業については、国内外で事業モデルが完全に同じである上、コンテンツの充実と販売の双方でボーダーレス化の流れにあるため、一体的に考えながらの事業展開が理に適っていると言えるだろう。

一方、ヨコ展開の内容は、fotowa事業とSnapmart事業などの新規事業の業容拡大及び収益化だ。PIXTA事業と類似の事業モデル・収益構造となっていることを生かし、PIXTA事業での知見をヨコ展開に活かすことで成長スピードの加速を狙っている。

この成長戦略を実現するための方法論が“PIXTA成長の方程式”だ。これは国内のPIXTA事業で実証した結果同社がたどり着いた、いわゆる“成功パターン”のことだ。具体的には、PIXTAの事業モデルは、1)コンテンツ、2)UI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)、3)トラフィックの3つの要素で構成されており、3要素の掛け算で売上高が決まる。それゆえ、それぞれの要素を最大化・最適化することが売上高の最大化へとつながるが、同社はそのノウハウを国内PIXTA事業で蓄積できているということだ。

もちろん現有のノウハウが究極的に完全無欠のものということではなく、国内PIXTA事業自体が成長余地を大きく残しており、その実現の過程では新たなノウハウの積み重ねが期待され、それらがまたタテ展開・ヨコ展開へと応用されていくという流れとなる。

同社はこのタテ・ヨコ展開による成長戦略を加速させるべく、2017年12月期と2018年12月期の2年間を成長のための先行投資のための期間と位置付け、積極的に費用を投下した。投資が特に重かった2017年12月期は一時的に利益が大きく落ち込んだが、2018年12月期は前述のように利益は大分回復した。2019年12月期以降は本格的な回収期へと向かうことになる。

(2) 長期成長戦略
一方同社は、より長期的な成長戦略も有している。それが『クリエイティブプラットフォーム構想』だ。これは、“写真素材を対象としたマーケットプレイスにおいて無数の才能とニーズをn対nで結び付ける”というPIXTA事業の事業モデルの本質を、他のクリエイティブ商材にも拡大させようというものだ。

クリエイティブコンテンツとしては、イラスト、動画(これらはPIXTAの商材として既に取り込まれている)はもちろん、音楽、アート、マンガ、テキストなど様々なモノが想定されている。

アートの中の例えば絵画を例に取ると、現在でも画廊が存在し、画家と買い手の間を取り持っている。しかし同社が想定するクリエイティブプラットフォームでは、既存画廊の役割を大きく超えた機能を果たすことになるのは間違いないとして、どういう方向に拡大していくのか、未知の部分も多い。例えば通常の画廊ではカバーしきれない無名の画家にまで範囲を広げるという方向性が考えられる。また、絵画の売買だけでなく、現在Snapmart事業で展開するオンデマンドサービス的なものを絵画の領域で展開するという方向性も考えられる。同社の中ではこのようなものは当然サービスメニューの一部として想定していることだろう。クリエイティブプラットフォーム構想(それはすなわちPIXTA事業の本質でもあるが)の最大の特長は工夫やアイデア次第で多種多様な“マッチング”を生み出すことができ、それを収益事業化できるということだと弊社では考えている。まだ当面先の話ではあるものの、クリエイティブプラットフォーム構想のポテンシャルは非常に大きいと弊社では考えている。


定額制シフトを軸に年率10%以上の安定成長を目指す一方、派生型新サービスの開始に向けて着々と準備が進む
2. 国内PIXTA事業
(1) 定額制シフトの進捗状況
国内PIXTA事業では年率10%以上の安定成長を目指している。その実現に向けた様々な取り組みの中で、現在同社が特に注力するのが、定額制販売の強化だ。前述の『PIXTA成長の方程式』においては、UI・UXの要素に該当する。

定額制は同社にとって収益安定性の増大と、売上原価率の低下という2つのメリットがある。一方ユーザーにとっても単品販売に比べて割安に利用できるメリットがある。同社は定額制を2014年12月期から導入したが、シフトを進めるべく2017年5月からは少量定額制(10点ダウンロード/30日のプラン)を導入したほか、2018年5月からは繰り越し機能も追加して利便性向上を図っている。

定額制の伸びは極めて順調だ。2018年12月期通期について同社は758百万円(前期比46.3%増)と計画していたが、最終的には777百万円(前期比50.0%増)で着地した。前述の使い勝手改善に寄与する各種施策が奏功したと考えられる。同社は定額制プランも含めたPIXTA事業の料金体系については、今後も改善の余地が大きく、いまだ試行錯誤の最中にあるとしている。方向性としては単価アップも、価格引き下げによる数量拡大も、両方の方向性が考えられるとしている。またダウンロード数の区分などにも改良の余地がある模様だ。定額制が料金体系の1つとして有力なポジションを確立しつつあるのは疑いないが、細かなファインチューニングによって潜在的需要を具現化する余地はまだまだ残っており、それも成長のけん引役の1つになると期待される。

(2) PIXTA事業の拡大構想
国内のPIXTA事業はコンテンツ数、クリエイター数が順調に増加し、販売形態についても、定額制シフトということで同社にとって質の高い販売方式を追求する段階にある。すなわち完全に軌道に乗ったということだ。

同社はPIXTA事業の成長スピードをさらに加速させるべく、派生サービスの追加も含めた、PIXTA事業の拡大構想を描いている。10~20年後を見据える長期構想の中では非常に重要な意味を持つと弊社では考えている。

その派生型新サービスの詳細はまだ明らかにされていないが、同社はPIXTA事業の拡大構想について以下のようなイメージを示している。現行のPIXTA事業の基盤(クリエイター、ユーザー、コンテンツ)を活かして新たなサービスを展開するというのが方向性の大枠となっている。具体例として制作仲介クラウドソーシングやクリエイター制作支援ツールなどが想定されている。前者はクリエイターに対して直接、写真等の素材の制作を発注することを仲介するサービスだ。後者はユーザーが素材を購入した後のフォローとして購入素材を使って(広告やパンフレットなどを)制作することをサポートすることや、クリエイターの素材制作や自己マーケティングのためのサイト作りを支援すること等が想定されている。デジタル素材の新ジャンルの開拓も重要なピースと言える。こうした新サービスについて、早ければ2019年12月期から検討が開始される可能性があると弊社では推測している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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