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2016年06月28日15時49分

デリカフーズ Research Memo(4):西東京FSセンター、奈良FSセンターの稼動で増収が見込まれる


■今後の見通し

(1) 2017年3月期業績見通し

デリカフーズ<3392>の2017年3月期の売上高は前期比6.1%増の33,500百万円、営業利益は同12.7%増の770百万円、経常利益は同13.0%増の800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同24.3%増の498百万円と増収増益となり、2期ぶりに過去最高業績を更新する見通しだ。

国内景気の先行きについては不透明感が強まっているものの、外食、中食業界の売上動向は堅調を持続しており、同社の売上高も既存顧客の取引シェア拡大並びに新規顧客の開拓により増収基調が続く見通しだ。エリア別では、新たに西東京FSセンター(東京都昭島市)が6月より本稼働を開始した関東エリアでの売上げ増が見込めるほか、奈良FSセンターの稼働率上昇により関西エリアも増収が見込まれる。名古屋エリアに関しては前期比横ばい水準にとどまると見ている。

利益面では、天候不順等による野菜調達価格の高騰などがなければ、2ケタ増益が十分可能とみられる。西東京FSセンターに関しては、減価償却費で約100百万円、立上げ費用で約45百万円かかるものの、早期の収益化が可能と見られている。現在、フル稼働が続いている東京FSセンターの案件の一部を新センターに順次移管するためだ。西東京FSセンターの業績だけで見れば、今上期は売上高で780百万円、経常損失で80百万円となるが、下期は売上高で1,620百万円、経常利益で80百万円となる見込み。下期の経常利益率は5%程度と同社グループ工場の平均水準まで上昇することになる。新センターの年間売上能力は約30億円となっており、下期にはほぼフル稼働に近い水準まで上昇する見通しで、2018年3月期以降は増益に寄与することになる。また、奈良FSセンターについてもコンシューマ向け商品の開発・販売を展開していく予定となっており、稼働率の上昇により今期は増益に寄与することが予想される。奈良FSセンターの年間売上能力は約20億円となる。

(2)西東京FSセンター稼働の効果について

2016年6月から本格稼働を開始した西東京FSセンターは中央道や圏央道に近接しており、今まで地理的に対応が難しかったエリアのカバーが可能となるため、既存顧客での取引シェア拡大や新規顧客の開拓などがさらに進むと予想される。同センターの開設により、関東エリアは東京足立区、大田区(大田市場内)、神奈川県大和市の拠点と併せて4拠点体制となり、ロケーション的には首都圏全域をカバーできる体制が整ったことになる。

また、西東京FSセンターは食品卸大手の国分グループ本社(株)の西東京総合センターに隣接しており、協業によるシナジー効果も見込まれている。従来、特定の顧客向けに関して東京・足立区六町の東京FSセンターから、国分の西東京総合センターまで出荷し、そこから最終顧客に納入していたが、隣接地にFSセンターができたことにより、リードタイムの短縮と同時に物流コストの削減が可能となる。東京FSセンターから国分グループ本社の西東京総合センターまでの物流費は月間5百万円程度かかっており、これが新センターの稼働により削減できることになる。

また、同センターでは新たな生産機能として、カット野菜の完全自動化ラインを導入したほか、業界初となる真空加熱野菜の量産ラインも導入した。真空加熱野菜とは野菜等の食材と調味液をフィルム袋に入れ真空密着し、調理器で材料に応じた時間と温度設定により調理した商品となる。外食企業向けに開発した商品で、店舗の厨房で湯煎や電子レンジなど再加熱するだけで、料理として提供できるのが特徴だ。外食企業では慢性的な人手不足に悩んでおり、真空加熱野菜を使うことで、調理時間が短縮化できるだけでなく、今までで時間の制約などで提供できなかったメニューも取り入れることが可能になるといったメリットがある。また、野菜を取り入れたメニューが増えることで、同社にとっては野菜の販売量が増加するといった効果も期待できる。

既に20社以上の大手外食企業に対して、各社ごとに合わせたメニュー提案等のプレゼンテーションを行っており、関心度も非常に高いという。従来も神奈川事業所において年間数千万円規模で生産していたが、今後の需要拡大を見越して本格量産を展開していく。既に奈良FSセンターにも生産ラインを導入したほか、2018年に稼働予定の名古屋FSセンターにも導入していく予定となっている。真空加熱野菜は日持ちもすることから、当面は西東京FSセンターから全国に出荷していくことになるが、需要の拡大に応じて関西、名古屋でも量産を開始していくことになる。西東京FSセンターの生産能力は月間で約1億円規模となっている。

中期的な売上目標としては5年後に20億円程度を目指しており、長期的には全売上の10%程度の売上規模まで拡大していくことを目指している。真空加熱野菜はカット野菜からさらに工程を加えた商品となるため、そのまま売上高が純増するわけではないが、付加価値はさらに上がるため収益性の向上に寄与するものと考えられる。市場環境を考えれば潜在的なニーズは大きいと考えられ、業界に先駆けて展開していくことで市場シェアの一段の拡大を目指していく考えだ。真空加熱調理のため安全性も高いことから、食中毒などに細心の注意が払われる病院や介護施設などにも需要の裾野が広がっていくものと予想される。

その他、西東京FSセンターでは、野菜にタレや小麦粉、他の食材などを組み合わせた業務用キット商品についても商品開発を進めていく予定で、外食、中食、給食市場向けでの需要を見込んでいる。販売開始時期は2018年3月期からとなる見通しだ。

(3)研究開発部門の取り組みについて

同社は野菜の活性酸素消去能(抗酸化力)などの分析をよりスピーディにできる分析装置を開発した。従来は、データの解析時間が1検体当たり144分かかっていたものが、24分と大幅な短縮を実現した。1日当たりの検体処理数で見れば10検体から60検体と6倍に拡大することになる。この装置の開発によって、受託分析サービスの生産性も大幅に向上することになる。

受託分析サービスは子会社のデザイナーフーズで行っており、主に全国各地の農業生産団体や生産者から、農産物の品質評価や栽培方法の違いを評価するための分析依頼が多い。業界以外では、製薬メーカーから薬草原料の品質判定に関する分析依頼といった需要もある。特に、ここ最近は野菜の機能性などに関心が高まっていることもあり、受託分析サービスの需要も増加傾向にあり、2016年3月期の売上高は前期比2割増の約25百万円まで増加している。新しい分析装置の導入によって分析処理スピードも大幅にアップすることから、更なる売上増と収益性向上が見込まれる。

また、トマトの中身成分の違いによって自動選果する非破壊検査/選果装置を開発した。トマトに含まれるリコピンは活性酸素消去能(抗酸化力)の強い成分として知られており、リコピン含有量や糖度の違いを計測し、自動選別することによって、量販店向けトマトに新たな付加価値を付けて提供するとともに、同装置については生産者向けに販売すべく改良を進めていく予定である。

(4)中期経営計画について

同社は2013年3月期からスタートした5ヶ年の中期経営計画「THE SECOND FOUNDING STAGE 2017」を今年度で終え、2018年3月期より新たな3ヶ年の中期経営計画をスタートする予定となっている。

2017年3月期の経営目標値として、当初計画では連結売上高350億円、経常利益10.5億円を掲げていたが、直近の計画では売上高が335億円、経常利益が8億円にそれぞれ修正されている。修正要因は、当初計画で2016年3月期に予定していた西東京FSセンターと名古屋FSセンターの稼働開始時期が、それぞれ2016年5月、2018年4月に遅れたことによる。震災復興や東京オリンピック関連の建設工事が増大したことで、当初の想定よりも建設費が高騰し、施工業者の選定及び設計等の再検討を実施したことが原因だ。新工場が計画どおり稼働していれば、売上高で20億円程度の上乗せが可能だったと見られ、中期経営計画「THE SECOND FOUNDING STAGE 2017」はおおむね当初の目標を達成したと評価される。

次期中期経営計画については今後、策定していく予定で、2017年3月期の業績がほぼ固まる頃を目途に発表するものと思われる。基本戦略としては、新たに稼働を開始した各FSセンターを基点に新規顧客の開拓や既存顧客の取引深耕を進めていく従来路線を踏襲していくほか、真空加熱野菜やキット商品など高付加価値商品を育成していくことで、売上高の拡大、並びに売上総利益率の向上を図っていく方針だ。

間接業務の効率化も次期中期経営計画のテーマになると考えられる。具体的には、現在東名阪の各子会社で独自で行っている受発注業務の一元化を目指していく。仕入に関しては一部の商品について共同購買を既にスタートさせており、今後段階的に進めていく。また、物流費の効率化にも取り組んでいく。2015年6月に東京デリカフーズ(株)の物流子会社としてエフエスロジスティックス(株)が本格稼働し、今まで外注していた物流業務の一部内製化をスタートさせている。車両数は2016年4月時点の11台から、2017年3月期中に15台まで増車する予定で、東京デリカフーズの物流業務の2割弱を内製化する。最終的には内製化率を3割程度まで引き上げていく計画だ。また、2016年秋には名古屋にも支社を開設し、2018年3月期から同地区での物流業務も開始する予定となっている。物流業務の一部内製化を進めることで、物流コストの効率化と同時に外注先物流会社が経営縮小した際のリスクヘッジの機能を果たす効果が期待される。また、チルド食材専用の物流子会社として、規模が大きくなれば他社の物流業務の請負にも展開していく方針となっている。

その他、現在は協力企業への業務委託エリアとなっている北海道や中・四国、北信越エリアでのシェア拡大戦略や海外事業戦略なども次期中計での注目ポイントとなろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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