貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3386 コスモ・バイオ

東証S
998円
前日比
+8
+0.81%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.8 0.69 3.01 363
時価総額 60.4億円
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

“再生医療”に新展開、ニプロ世界初「脊髄損傷治療」承認が開くトビラ <株探トップ特集>


―脚光“間葉系幹細胞”、サンバイオ「SB623」など臨床開発進む―

 11月21日、 再生医療に関する新しいニュースが伝わってきた。ニプロ <8086> が札幌医科大学と共同開発した「脊髄損傷の治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞」(製品名「ステミラック注」)が、厚生労働省の専門部会で製造販売を了承された。早ければ脊髄損傷に関する新しい治療法として、年内にも正式に承認される見通しだという。

 ステミラック注は患者の骨髄液から「間葉系幹細胞」(MSC)を抽出して、それを培養してから再び点滴で体内に戻し、脊髄の神経の再生を促す治療法。これまで決定的な治療法がなかった脊髄損傷に関して、これを治療する再生医療等製品の承認は世界で初めてであり、このニュースを受けて「ステミラック注」に利用された「間葉系幹細胞」への関心が急速に高まっている。

●再生医療等製品として研究が先行

 間葉系幹細胞は、人の骨髄や脂肪、臍帯(さいたい)などに含まれ、骨や脂肪、神経などに分化する働きを持つ細胞。再生医療の一つだが、iPS細胞やES細胞などあらゆる細胞に変化する能力を持つ人工的に作り出された「万能細胞」とは異なり、比較的容易に採取することができるほか、細胞のがん化リスクが低いなどの利点があるとされている。

 経済産業省によると、再生医療市場は2050年に国内市場が2兆5000億円、世界市場が38兆円となることが予想されており、市場の成長性からiPS細胞やES細胞への関心も高い。ただ、これら万能細胞を用いた治療薬の開発は、研究途上の部分も多く商業化にはまだ時間がかかるとされている。一方で、間葉系幹細胞は多能性こそ乏しいものの、応用に向くことから研究が先行しているという。

●既に製品化された「テムセルHS注」

 間葉系幹細胞は、各社による研究開発も活発化しており、既に製品化されているものもある。15年9月には、JCRファーマ <4552> が造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)を適応症として「テムセルHS注」の製造販売承認を取得。移植された造血幹細胞に含まれる免疫担当細胞(リンパ球など)が、患者の身体を異物とみなして攻撃する免疫反応を抑える薬として広く利用されており、18年3月期には15億円強を売り上げるまでに成長している。

 また、正式な承認を待つニプロのステミラック注は、札幌医科大学などが行った臨床試験で13人の脊髄損傷患者のうち12人で感覚などの機能が回復したという。承認は「条件及び期限付承認」となる見通しで、7年を超えない範囲で有効性や安全性を評価することを条件に、製造販売が認められることになる。今後は中央社会保険医療協議会などの審議を経て、薬価や保険が適用されるかなどが決められ、早ければ来年春にも発売の運びとなる見通しだ。

●富士フイルムやロート薬などでも臨床開発進む

 サンバイオ <4592> [東証M]が慢性期脳梗塞と外傷性脳損傷の2疾患で臨床開発を進めている「SB623」は、成人骨髄由来の間葉系幹細胞を加工・培養して製造したもので、米国での慢性期脳梗塞プログラムでは第2b相臨床試験を実施。一方の外傷性脳損傷プログラムでは、日米グローバル第2相試験で主要評価項目を達成した解析結果を得たと11月1日に発表し、株式市場でも関心を集めた。

 富士フイルムホールディングス <4901> は昨年9月、再生医療ベンチャーのNCメディカルリサーチ(東京都港区)へ出資した。NCメディカルは、他家骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた、急性期脳梗塞を適応症とする再生医療製品の研究開発を進めており、既に採取した間葉系幹細胞のなかから、脳梗塞によって損傷した脳神経細胞の再生に有用な細胞を独自の培養方法で選別する技術を確立している。また、iPS細胞由来の医薬品を開発するオーストラリアのサイナータ・セラピューティクスにも出資しており、サイナータのノウハウを引き続く形でGVHD薬の国内治験開始のための準備を進めている。

 ロート製薬 <4527> は、13年に再生医療に取り組む「再生医療研究企画部」を新設するなどして再生医療事業に取り組み、特に脂肪由来の間葉系幹細胞に着目した研究を行っている。研究の成果を発毛剤やアンチエイジングの分野に生かし商品化を進めているほか、新潟大学と共同で、肝硬変を対象とした他家脂肪組織由来の幹細胞製剤の治験を行っている。

 明治ホールディングス <2269> の製薬子会社Meiji Seikaファルマは、広島大学発の創薬スタートアップであるツーセル(広島市南区)と共同で、間葉系幹細胞を使った変形性関節症治療薬の実用化を目指している。

 このほかにも、サンバイオと共同でSB623の開発を進めるほか、子会社が犬を対象に間葉系幹細胞を利用した再生医療薬の治験を開始した大日本住友製薬 <4506> や、糖尿病性腎症を対象に骨髄由来間葉系幹細胞を投与する細胞医薬の事業化を目指し、アインホールディングス <9627> などと共同で新会社を設立したジーンテクノサイエンス <4584> [東証M]にも注目。更に、間葉系幹細胞を効率的に培養する培地を販売しているタカラバイオ <4974> 、研究開発用にラット由来間葉系幹細胞や培地を販売するコスモ・バイオ <3386> [JQ]なども関連銘柄として挙げられる。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均