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リネットジャパン Research Memo(3):新たに進出したネットリサイクル事業は、 高収益なビジネスモデルに強み


■会社概要

(2) 事業モデルの優位性
a) ネットリユース事業の強み

1) ローコストオペレーション
リネットジャパングループ<3556>が得意とする書籍、メディア商材は、単価が安く、大量の物流を捌く必要があるため、商品センターのオペレーションが重要である。同社は、トヨタ生産方式を導入したローコスト運営を徹底するとともに、中古独特の精緻なオペレーションを構築しており、これが同業他社にとって簡単には追随できない障壁になるとともに、ネット大手が同社と提携戦略をとる理由となっている。また、他社との提携は、規模の経済により効率性をさらに高める好循環につながっている。

2) システム査定による高在庫回転
書籍・メディアでは、100 万点以上の商品データベースを構築し、「市場での人気度」と「在庫数」を反映した買取・販売価格のコントロールを実施している。これにより、適正な在庫コントロールが可能となり、年25 回以上※の高在庫回転や人気商品における同業他社以上の高価買取を実現している。

※2016 年9 月期の書籍メディア売上高÷期中平均の在庫金額


3) ワンストップ買取
ネット専業の競合企業はカテゴリー特化型が多いなか、部屋の片付けシーンに応えるサービスとして、本を中心とした幅広いジャンルをワンストップで取り扱っている。これにより、売り手に対する利便性の高さと買い手に対する豊富な品ぞろえを実現している。

b) ネットリサイクル事業の強み
1) 参入障壁の高さ
本サービスへの参入には、難関と言われている小型家電リサイクル法の認定事業者免許の取得が必要である。同社グループも2014 年1 月に認定事業者となった。認定事業者の中心は中間処理業を営むリサイクル会社(現在は同社を含め50社)となるが、異業種から参入するとともに、佐川急便(株)との提携により宅配便での回収スキームを展開するのは現時点で同社が唯一である。また、全国をエリア対象とした第1 号の認定※を受けたことから、宅配便による広域回収とインターネットによる回収の効率化を生かし、他社に先駆けて規模の経済を追求することが可能となった。他の認定業者(中間処理業者)とは協業の関係(回収した商品の売却先)となることから、現状において競合はなく、新規参入者にとっても、許認可の取得、宅配便会社及び全国自治体との連携、規模の経済などの面で参入障壁の高い事業モデルと言える。

※一般廃棄物及び産業廃棄物処理について全国約1,700の都道府県及び市区町村ごとの許認可が不要という特例を受けている。


2) 全国自治体との連携
全国の自治体との連携により、本サービスを行政サービスの一環として展開するとともに、広報誌やごみ分別表などを通じて宅配回収の告知・普及を進められるところも大きなアドバンテージと言える。2018年4月末の連携自治体数は157、対象人口3,745 万人と全人口の4分の1を越えたが、拡大余地はまだまだ大きい。

3) プラットフォームビジネス
インターネットを介し、各プレイヤーをつなぐことで、同社のバックヤードを介在することなく、回収から処理までを行うプラットフォームビジネスであるところにも特徴がある。すなわち、リサイクルに必要な規模の経済やネットワーク外部性が働く事業モデルであるため、先行者メリットを享受しやすく、前述したように、新規参入者にとっては高い参入障壁になるとともに、同社にとっては各種サービス収入を基盤として仕組みで稼ぐ収益性の高い事業モデルと言える。

4) 両事業によるシナジー効果(相互送客及び顧客のライフタイムバリューの向上等)
同社は、「ネットオフ」及び「リネット」の両サイトの会員IDを統合することにより、グループとして共通の会員基盤を構築し、グループ全体での送客シナジーを追求する方針である。具体的には、全国の自治体との提携によりリネット会員となった顧客へ、同じ片付けニーズである書籍等の買取金額UPクーポン等を発行して誘導することにより、「買取数の拡大」と「顧客獲得コストの削減」につなげる一方、ネットオフ会員(メルマガ購読者)に対してはパソコン回収を無料とすることで、リサイクル利用を促し、グループとして顧客のライフタイムバリューの向上を図ることが可能となる。

c) カンボジア・ファイナンス事業の強み
1) 現地政府などとのネットワーク
同社のカンボジアでの事業は、2012年頃にまで遡る。次世代事業の育成及びCSR活動の一環として、現地政府及び国際協力機構(JICA)などと連携し、自動車関連制度の整備(車検制度への協力や整備士の育成など)に取り組んできたが、その流れのなかで金融事業への参入を決定するに至った。したがって、現地政府などとのネットワークを含め、自動車等のリース事業を展開するための基盤を有しているところが大きなアドバンテージとなっている。また、新たに参入するマイクロファイナンス事業についても、これまでのカンボジアにおける実績が有利に働いている上、グラミン銀行系金融機関との連携(ノウハウや幅広い海外ネットワークの活用)によって、さらにネットワークが拡充する効果が期待できる。

また、2018年4月12日には、カンボジア人技能実習生の送出し事業を目的に現地パートナーと共同で現地法人「METREY HR Co.,Ltd.」を設立、カンボジア労働・職業訓練省から外国人技能実習生送出しに関わる許認可ライセンスの取得を発表した。日本およびカンボジア両国でのニーズが高い自動車整備士の育成・送り出しからスタートし、将来的には、現地 労働・職業訓練省が管轄する全国39校をつなぐビジネスモデルへ発展させるとともに、自動車整備士だけでなく幅広い職種に拡大していく。2018 年6月を目途に事業を開始する予定であり、3年後に年間1,000人規模の送出しを目指す計画である。

2) 成長性及び収益性の高い事業領域
カンボジア経済の発展に比例した成長が期待でき、かつ収益性の高い「自動車」と「金融」に加え、「人材」の3つの領域で戦略的に事業を展開しているところも、事業としてのポテンシャルの高さを裏付けている。


小型家電リサイクル事業への参入等により、リネットジャパングループとして第2の創業を迎える
3. 沿革
同社の設立は、2000年7月、現代表取締役社長の黒田武志(くろだたけし)氏が、インターネットによる書籍の宅配買取・販売を目的として、同社前身となる株式会社リサイクルブックセンターを設立(三重県四日市市)したところに遡る。1998年までトヨタ自動車<7203>に勤務していた黒田氏は、ブックオフコーポレーション<3313>の起業家支援制度の第1号として株式会社ブックオフウェーブを設立し、FC加盟店としてブックオフ店舗事業を展開していたが、インターネットの普及や高齢化社会の進展に伴い、リユース分野においてもリアル店舗ではなく、インターネットを利用した利便性の高いサービスの需要が増大することを予見し、同社設立に踏み切った。設立に当たっては、トヨタ自動車及びブックオフコーポレーションからの出資(資本業務提携)も受けている。

2000年8月には、中古本サイト「eBOOKOFF」をトヨタ自動車が運営するGAZOOモール内に開設して事業を開始(同年12月に株式会社イーブックオフに商号変更)。その後、中古CD(2001年2月)、中古ゲームソフト(2001年8月)、中古DVD(2002年6月)と取扱品目を増やすとともに、ブックオフコーポレーションとの標章利用のライセンス契約(2012年3月に契約終了)によるブランディング効果も後ろ盾となり、宅配買取及びインターネット・リユース企業のパイオニアとして市場を切り開いてきた。2005年10月にネットオフ株式会社に商号変更。

2009年9月に第2商品センター(愛知県大府市)を開設すると、同年11月にはブランド品、カメラ・楽器・スポーツ用品等の宅配買取サービスを開始し、総合リユース企業への進化を図った。2009年12月には、米国シリコンバレーの「PACT2009」(ベンチャーコンテスト)で最高位を受賞。宅配を利用し、低単価の中古本で収益化を実現したビジネスモデルが評価された。また、2012年2月には1年間で最も多く中古本をオンラインで販売した数で世界No.1としてギネス世界記録に認定された。

同社の最大の転機は、2013年3月に小型家電リサイクル回収を目的としてリネットジャパン(株)(現連結子会社)を設立し、リサイクル分野へ進出したことである。2013年4月に「小型家電リサイクル法」が施行されたことをきっかけに、レアメタルの再資源化をネットと宅配を使った新しい回収方法により実現するところに着眼した。「都市鉱山」として知られている潜在市場の大きさはもちろん、競合の厳しくなってきたリユース事業に比べて、許認可事業であるがゆえの参入障壁の高さも進出の動機となった。2014年1月に環境省・経済産業省から小型家電リサイクル法の認定事業者免許を取得するとともに、全国エリアで宅配回収が認められた唯一の企業となった。各自治体との協業により回収を行うスキームの提案が評価されたものと考えられる。その一方で、佐川急便と「使用済小型電子機器収集運搬委託契約」の独占契約を締結し、許認可の取得、宅配便会社及び全国自治体との提携の3つの大きなハードルをクリアした。2014年10月にはリネットジャパングループ株式会社に商号を変更。「ネットリサイクル事業」を新たな成長軸に加え、同社は第2の創業期を迎えている。

2014年7月に愛知県で小型家電の宅配買取サービスを開始したことを皮切りに、京都市(2014年10月)、東京都(2016年2月)など、提携自治体数を加速度的に拡大。2016年4月にはスマートフォンアプリ「全国ごみの日ナビ」を開始し、自治体との連携による啓蒙活動にも取り組み、「ネットリサイクル事業」は着実なペースで軌道に乗り始めてきた。2016年12月に東証マザーズ市場に上場。

さらには、2017年5月にカンボジアでフィンテックを活用した金融事業に参入するため、SBIホールディングスとの合弁によるリース会社の設立を決定すると、2018年2月にもグラミン系金融機関との連携によりマイクロファイナンス事業への参入を発表。3本目の事業の柱として「カンボジア・ファイナンス事業」にも取り組んでいる。

(執筆:フィスコアナリスト)

《HN》

 提供:フィスコ

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