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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
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3300 アンビDX

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民泊GO!! 規制緩和で関連株は“再沸騰” <うわさの株チャンネル>


―「閑散にETF買い」の市場で静かなるサマーラリー―

 5日の東京株式市場は買い手控えムードが漂うなか、上値の重さが顕著となったが、それでも日銀のETF買い入れ枠倍増で下値不安が薄れており、結局日経平均株価は前日比ほぼ横ばいで着地した。リオ五輪開催で夏枯れ相場入りの様相も、一部市場筋の間では「閑散に売り無し」ならぬ「閑散にETF買い」で静かなるサマーラリーを予想する声も出ている。

●規制緩和「2泊3日容認」のインパクト

 そうしたなか、政府の規制緩和を背景に新たなテーマ物色の流れが形成されている。マンションや戸建てなど民間住宅の空き部屋を旅行者に貸し出す「民泊」をテーマに、関連銘柄が軒並み急動意となりマーケットの耳目を集めた。

 5日付の日本経済新聞が、政府は国際戦略特区で民泊を短期滞在客向けにも解禁する方針にあると報じたことが、全般買い手掛かり不足で資金の投下場所に難儀する短期筋の食指を動かした。これまでは6泊7日以上滞在する日数要件が参入のハードルを高くしていたが、政府としてはこれを2泊3日以上に短縮することで、民泊事業を手掛ける業者や個人が持つ空き家の稼働率を高める狙いだ。一見、規制緩和としてはサプライズ的要素に乏しいようにも見えるが、“観光立国日本”を標榜する安倍政権のもと、訪日外国人需要にも対応する有力テーマとして、民泊がマーケットに再認識されるには十分なインパクトがあった。

●一連の有力銘柄、再び浮上へ

 朝方はここぞとばかりに資金が流れ込み、関連株は総蜂起の状態。目ぼしいところでは、東京23区を中心にサブリースを中心とした不動産管理・仲介を行い国家戦略特区の大田区から民泊事業の認定を受けているAMBITION <3300> [東証M]、ネットを活用して民泊代行サービスを手掛けるインベスターズクラウド <1435> [東証M]、賃貸斡旋・管理ビジネスを手掛け民泊専門サイトも開設しているアパマンショップホールディングス <8889> [JQ]などはいずれもカイ気配スタートと気を吐いた。このほか、不動産情報サイト大手で民泊予約サービスも展開するネクスト <2120> や、デザインマンション開発を手掛け、共同で民泊プロジェクトを立ち上げているプロパスト <3236> [JQ]、旅行情報サイトを展開し民泊などインバウンド需要の取り込みに注力するオープンドア <3926> [東証M]、民泊向けに見守り・管理サービスに参入するALSOK <2331> など、同テーマの“常連銘柄”が物色資金を引き寄せている。

 その後はインベスターズクラウドなど伸び悩む銘柄も出たが、総じて利益確定の売りを吸収して上値指向を保ち、先高期待の強さを映し出している。もっとも、投資家が気になるのはその物色人気の持続性であろう。果たして、民泊関連株は政府の規制緩和の流れを受けて今後も上値追い態勢を維持できるのか。

●インバウンド連動にとどまらず

 これについて市場関係者の意見はさまざまだ。経済ジャーナリスト雨宮京子氏は「民泊の推進は中長期的に非常に深いテーマ。インバウンド需要への対応というだけではなく、一億総活躍社会、働き方改革、さらに外国人雇用問題の受け皿としても同分野の開拓は意義が大きい」と指摘する。「技能実習や人材派遣など他の業界にもビジネス需要の裾野が広がることで、経済波及効果が期待される。株式市場でも爆発力には乏しいが息の長いテーマとなる」とみている。ただ、「このテーマも値動きの軽い中小型株が好まれる傾向があり、短期売買の対象としては急騰後の反動安に注意が必要」という。

 東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は「訪日客は伸び率が鈍化しているとはいっても水準ベースでは高水準であることに変わりはない。インバウンド需要が各方面で“急減速”あるいは“剥落した”というような表現が聞かれるが、高額商品が売れないというのは事実としても、モノ消費からコト消費への移行が背景にあるだけに、一元的な見方では実態を見誤る。また、消費した金額でみると円高進行で目減りしている部分があり、現地通貨ベースではそれほど落ち込んではいない。コト消費を背景に民泊に対するニーズは今後さらに上げ潮となるだろう」との見解を示す。

●ネガティブ材料にも留意

 「民泊」という切り口は線引きが曖昧で、見方次第で対象銘柄は非常に多い。自動運転関連バイオ関連のような先鋭化したテクノロジー分野独特の派手さはないが、国策に乗る分野として今後も株式市場でテーマ性が失われることはなさそうだ。もっとも、投資するにあたって注意すべきネガティブ材料も内包している。

 松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「(民泊は)テーマとしてマーケットの関心が薄れることはないが、国策に売りなしと安易に考えると思わぬ落とし穴にはまる可能性もある。現在、民泊を制限あるいは禁止するマンションが急速に増えている。これはセキュリティーの問題やマナーや金銭面に関するトラブルを考慮すれば当然予想された流れで、民泊の市場が大きくなればそれだけ問題も表面化し、負の部分も大きくなる。マンション関連銘柄などは特に留意しておく必要がある」と警鐘を鳴らしている。

 日銀はETF買い入れ枠の大幅増額を決定後、惜しみなくそのカードを切っている状況で、東京市場は以前と比べ売り圧力が大きく緩和されている。それでも先行きに疑心暗鬼な投資家心理を反映してか資金の回転は早い。「株価指標よりも資金の流れを重視するモメンタム投資はリスクも肥大化している」(国内中堅証券営業部)という指摘もある。民泊関連株でも当該銘柄の業績をしっかりと把握したうえでの投資が肝要といえそうだ。

(中村潤一)


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