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3250エー・ディー・ワークス

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ADワークス Research Memo(3):16/3期は2ケタの増収増益、収益不動産の販売が国内外で順調に拡大


■決算動向

(1) 2016年3月期の業績概要

5月12日付で発表されたエー・ディー・ワークス<3250>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比46.5%増の15,733百万円、営業利益が同14.3%増の867百万円、経常利益が同20.3%増の650百万円、当期純利益が同27.9%増の426百万円と2ケタ増収増益となり、期初会社計画と比較してみても売上高で27%、経常利益でも8%上回るなど順調に推移した。

収益不動産の積み上げを図りながら、国内、米国での販売が順調に拡大したことで、収益不動産販売事業の売上高が前期比50.5%増と大幅伸長し、ストック型フィービジネスも同25.5%増と好調に推移したことが要因だ。前期に高採算の開発案件が含まれていた反動で売上総利益率は低下したものの、増収効果により営業利益は2ケタ増益となった。なお、販管費の増加要因は、人員体制の強化(3月末の人員は前期末比11名増の110名)等による人件費増と仲介手数料の増加が主因となっている。事業セグメント別の動向については以下のとおり。

a)収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前期比50.5%増の14,132百万円、EIBITDA※は同10.2%増の1,182百万円、営業利益は同10.2%増の1,181百万円となった。当期は仕入活動に注力し、国内外で合わせ12,325百万円(前期比41.5%増)の仕入れを実施したことで、収益不動産の期中平均残高は13,762百万円(同17.7%増)、期末残高は14,551百万円(同12.5%増)に積み上がった。また、販売については国内外の不動産市場の活況を追い風に、前期比11棟増の40棟と順調に拡大した。このうち、国内は前期比9棟増の36棟、米国は同2棟増の4棟となった。利益率が低下したが、これは前期に高採算の開発案件があったことや、第4四半期に販売に注力したことなどが要因となっている。

※EBITDA(償却前営業利益):会計基準の違う米国事業を本格化したことに伴い、会計基準の違い(償却費や税金の処理方法等)を取り除いたベースでの収益を見るうえで、当期よりEBITDAの開示を開始している。EBITDAは償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用も含むため、実質的な収益力を示す指標として、企業価値の算定等に用いられることが多い。

なお、米国の収益不動産事業だけで見ると、売上高は前期比147.5%増の985百万円となり、営業利益も若干ながら黒字化した。期末の収益不動産残高は前期末比130%増の3,000百万円、保有物件数も9棟にまで拡大しており、物件販売と賃料収益やプロパティ・マネジメンサービスによるストック型フィービジネスを組み合わせた収益モデルを確立し、2017年3月期以降、本格的に事業拡大を進めていく基盤が整ったと言える。

b)ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前期比25.5%増の1,821百万円、EBITDAは同9.3%増の596百万円、営業利益は同4.5%増の560百万円と堅調に推移した。前述したように収益不動産の期中平均残高が前期比17.7%増と積み上がったことで、賃料収入が同17.4%増の842百万円と増加したほか、プロパティ・マネジメントやコンサルティングサービス、同社の顧客会員向けの仲介サービスなども好調に推移した。プロパティ・マネジメントでは期末の不動産管理戸数が前期末比10.8%増の3,649戸に増加した。

売上高の伸びに対して利益の伸びが小幅にとどまったが、賃料収入のEBITDAマージンが前期の69.2%から66.4%に低下したことや、賃料収入以外のEBITDAマージンも売上構成の変化や人員体制の強化などにより低下したことが要因となっている。賃料収入のEBITDAマージンの低下は、国内での物件入替が進んだことや、賃料利回りが国内と比べて1%ほど低い米国事業の構成が上昇したことが要因とみられる。

(2)財務状況

2016年3月末の財務状況を見ると、総資産残高は前期末比1,244百万円増加の17,925百万円となった。主な増減要因は、販売用収益不動産の増加で1,620百万円、現預金の減少で474百万円となっている。

一方、負債は前期末比881百万円増加の12,083百万円となった。収益不動産の仕入れを積極化したことで、有利子負債が同1,042百万円増加した。また、純資産は前期末比363百万円増加の5,842百万円となった。当期純利益の計上により利益剰余金が348百万円増加したことが主因となっている。

主要経営指標を見ると、有利子負債の増加により有利子負債比率は182.8%と前期比6.9ポイント上昇した。収益不動産の取得資金の一部を有利子負債で賄っていることが要因だが、自己資本比率は32.8%の水準で推移しており、超低金利下が続く現状においては、特段の事業リスクにはならないと考えられる。一方、収益性に関してみれば、EBITDAマージンが前期の7.4%から5.9%に低下したものの、ROAが3.5%から3.8%に、ROEが6.1%から7.6%にそれぞれ改善した。売上高の拡大によって資産効率が改善したことが要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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