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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3245 ディア・ライフ

東証P
1,014円
前日比
-1
-0.10%
PTS
1,013.2円
10:17 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.7 2.01 4.54 12.59
時価総額 455億円
決算発表予定日

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DEAR・L Research Memo(3):東京圏・中小規模マンション・1棟売りに特化した超効率ビジネスモデル(1)


■事業概要

1. リアルエステート事業
(1) 東京圏の都市型マンションに特化して競争力を磨く
a) 堅調な需要が見込める東京圏
ディア・ライフ<3245>は創業以来、東京圏の単身者~DINKS向け都市型マンションを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏への人口流入の傾向は続いており、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地の都心マンションへの需要はますます強まっている。

b) 用地取得と建築発注にエリア特化の強み
このような環境下、需要の堅調な東京圏に事業エリアを特化することは、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位に働いている。情報の非効率性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。

c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み
エリア限定の強みに加え、内部に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える目利き能力が不可欠である。また技術のわかる人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。

d) 分譲事業には参入せず資産効率、生産性を重視
同社は分譲事業には参入しておらず、1棟売りすることで資金回収を早め、資産効率を高めている。売却先は寮・社宅などのニーズを持つ事業会社、分譲や賃貸運営目的の不動産会社、リート、個人富裕層などの投資家など幅広い。開発面では東京圏特化で効率性と競争力を高めている反面、販売面では自前の販売人員を抱えることなく広く可能性を探っている。ちなみに、同社の人員数は49名(連結、2016年9月期末)、リアルエステート事業とセールスプロモーション事業に限ると、17名(単体、2016年9月期末)であり、その生産性の高さが浮き彫りになる。

(2) 収益不動産の購入・売却を強化
a) 高い目利き力が生かせる収益不動産投資
同社は都市型マンションを開発から手掛けることを中心に業容を拡大してきたが、さらに事業基盤を拡大し収益の多様化を図るため、既に稼働している優良な中小型収益不動産への投資も積極化している。収益不動産は、保有期間中に家賃収入を得た上で不動産サイクルを見極め、より良いイグジットのタイミングを図ることで収益の最大化を目指す。また築古物件や空室率が一時的に高くなっている物件を安く仕入れ、保有期間中にリノベーションやテナント付けを行うことによって資産価値の向上を図った上で売却するなどのノウハウや不動産運営能力を持つ同社にとって、創意工夫の余地が大きい。

b) 事業拡大、多様化の好機
都市型マンション開発で良好な実績を上げ続け高成長を遂げた同社の信用力は高い。2015年に東証1部に昇格し、財務の健全性も高いことから、金融機関とのリレーションも良好で借入余力も大きい。一般的に、新規に物件を建築するマンション開発事業に比べて既築の収益不動産事業は付加価値の創造余力が低いが、収益化のタイミングは早く、賃料収入と売却を選択できる流動性を持つといった事業特性の違いがある。収益不動産に取り組むことで、高い収益性とリスク回避を両立させ、資産効率の更なる向上を目指す。

2. セールスプロモーション事業
(1) 様々な不動産業務に対する人材派遣需要
会社設立時から手掛ける不動産業界向けの人材派遣業は、足元の東京圏の不動産市況が活況なこともあり順調に推移している。同社では、不動産事業を行っている経験を活かした不動産現場の隅々で役立つ人材を養成派遣している。分譲・賃貸を問わず物件説明や案内を担当する営業サポート、総合受付や応接室管理などの受付業務、マーケティング、営業支援のモニター・調査・ポスティング業務、賃貸物件でのコンシェルジュサービスなど様々な業務分野への派遣を行っている。派遣スタッフのほとんどが女性であることも特徴である。

(2) きめ細かい指導で派遣先、派遣者両者からの信頼
派遣スタッフにはその実務に即した基本的な研修を実施した後に現場に派遣しており、派遣後も顧客である大手不動産会社からのフィードバックをもとに派遣スタッフへのきめ細かいフォローアップを施している。このような丁寧な仕事ぶりが、派遣先の不動産会社と派遣スタッフ両者からの信頼を得て当事業の好循環につながっている。優良な派遣スタッフを数多く抱える同社には、大手不動産会社からの継続的な需要があり、今後も堅調な業績が見込まれる。2017年9月期第2四半期に業績が大きく向上した背景にも、大手顧客が他社から同社へスイッチしたことがあるように、同社の人材の質の高さは高く評価されている。

3. アウトソーシングサービス事業
(1) 成長性が高いセルフストレージ市場
a) 第一人者である子会社パルマ
セルフストレージ市場は潜在成長力の高い市場である。連結子会社で2015年に東証マザーズに上場したパルマは、この高成長が期待されるセルフストレージ事業者向けのサービスを多面的に提供しており、業界におけるサービスプロバイダーとしての第一人者である。上場を果たしたことで認知度・信用力がさらに高まったパルマは、今後もこの成長余地の大きいセルフストレージ事業のマーケットリーダーであり続けることが大いに期待される。

b) 大きな潜在需要が見込まれるセルフストレージ
「セルフストレージ」とはレンタル収納スペースの総称であり、今後個人利用の大きな拡大が見込まれる。個人利用では主に家財・日常使用頻度の低い物品の保管などに利用される。遺品の保管や、都心の狭小住空間を補完する収納空間としての需要が増えてきており、また引越し・移転や離婚時の一時的な荷物保管としてのニーズも大きい。このように個人の潜在需要が大きく見込まれるため、物件供給やサービスの普及に合わせて市場の急拡大が予想されている。セルフストレージ市場は、ここ数年毎年約10%の伸びで拡大しており、2016年度の市場規模は652.6億円が予想(出所:矢野経済研究所「レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム市場に関する調査(2016年)」)され、これに前述の伸び率が続くと2020年度には800億円に達すると推計される。

c) 遅れている日本での普及
セルフストレージの利用が既に普及している米国では10世帯に1室の利用があるのに比べ、我が国では130世帯に1室程度の供給しかないのが現状である。米国に比べ狭小な住まいが多い住宅環境に鑑みれば日本の方が高い普及率となってもおかしくなく、潜在需要は大きいと言える。

d) 今後は不動産型施設が主流へ
セルフストレージ施設は、コンテナ型の簡易な施設から建物内にきちんと区分されたビル型施設まで様々な形態がある。コンテナ型施設への自治体による建築確認取得の行政指導が強化されたことや、収益物件としてスペックのしっかりした不動産に投資したい投資家ニーズにも鑑みると、今後はビル型施設の供給比率が高まるものと思われる。コンテナ型に替わり主流となり得る不動産型施設の供給推進において、同社は物件選定や管理・運営・コンバージョン等のノウハウなどで、セルフストレージ開発業者としての強みを発揮していけるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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