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3238 セントラル総合開発

東証S
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中村潤一の相場スクランブル 「年の瀬は超割安株のピンポイント買い」


株経ONLINE 副編集長 中村潤一

●外国人投資家の日本株開眼は“トランプ以前”

 重戦車のごとき海外マネーの東京株式市場上陸が続いています。前回11月末にアップした当コーナー「海外マネー再上陸で騰がる株」でも触れましたが、11月第2週以降に外国人投資家は怒涛の日本株買い攻勢をかけ、結局月間では現物で1兆5440億円、先物で1兆120億円、現先合計で2兆5500億円の買い越しを記録しています。

 この背景には、トランプ次期米大統領が掲げる政策とその先にある“理想郷”への憧憬、そして現象面では米長期金利の急上昇が映し出す、債券から株式へのグレートローテーションが挙げられます。

 しかし、外国人投資家は「トランプ効果によって日本株投資に開眼した」というわけではないのです。11月8日の大統領選の結果とその後の衝撃的な日米同時株高については、一片たりとも読みの範疇になかったと思われますが、実は既に、外国人投資家は10月から日本株に対して明確に投資姿勢を強めていました。10月月間ベースでは現物で4717億円、先物で1兆1562億円、現先合計で1兆6300億円弱を買い越しているのです。ヘッジファンドのショートカバーの部分を考慮したとしても、潮目が変わったことを意味する大きな変化です。外国人が日本株の水準訂正余地に着目したのは、米大統領選というビッグイベント以前、しかも躊躇なく投資スタンスを180度転換させていることが窺えます。

●ドル建て日経平均も高値圏到達

 流入する海外資金についても、これまでのような短期資金主導ではなくミューチュアルファンドや年金系資金などの足の長い資金が増勢にあるとの観測が、市場では強まっています。外国人の目線として、ドルベースの日経平均がよく引き合いに出され、見た目ほどはパフォーマンスを上げていないことが指摘されてきました。しかし、直近ではほぼ年初来高値圏まで浮上、為替の円安スピードに全体株価もキャッチアップを果たしたことで、「様子見姿勢にあった中長期マネーも買いを入れざるを得なくなっている」(国内証券ストラテジスト)状況にあるようです。

 一方、急激な 日経平均株価の上昇局面では忘れられがちだった日銀のETF買いですが、沈黙していてもその存在感はマーケットに厳然と横たわっています。奔流を形成するトランプ相場とは次元を異にした買い主体とはいえ、年間6兆円の購入余力は盤石。上値を買い進むことはしなくても、静かに流れる大河のような安定感で相場を支えています。9月末時点で日銀が保有するETFは簿価金額ベースで約9兆8000億円。もちろん時価ベース換算では、日経平均の上昇をもって推して知るべしで、これより2兆円程度膨らんでいる勘定となるでしょう。

●「押し目待ちに押し目なし」は日銀も一緒

 では10月以降の日銀の動きはどうでしょうか。日々12億円ずつ判で押したように買い続けている新型ETFを除けば、10月は1回当たり700億円強のETF買いをわずかに4回、合計で2830億円弱。11月も同水準の金額で4回。月間5000億円の買い入れ枠に対し、遂行したのは2ヵ月連続で6割未満にとどまっているのです。

 12月については1回当たりの買い入れ額を740億円強まで増額しており、今のところ1日と5日、そして前日(13日)の計3回出動しています。前引け時点で全体指数がマイナス圏にあることがETF買いのトリガーとされていますが、13日については前引けの日経平均がわずか29円安、TOPIXは1.3ポイント安に過ぎませんでした。それでも日銀は剛直に“ETF砲”を轟かす徹底ぶりで、これは売り仕掛けを封印するに十分な効果をもたらせています。

 「押し目待ちに押し目なし」は何も個人投資家の嘆きではなく、日銀もまた同様の環境に置かれていることが分かります。きょう(14日)については執筆時点では確認できませんが、前引け時点で15円安、果たしてトリガーを引いたのかどうか興味を引くところです。

 いずれにせよ、今月もおそらく5000億円の枠を使い切るには至らないでしょう。しかし、官製相場と揶揄された東京市場も海外マネーの実需買い復活で元来の活力を取り戻しており、図らずも日銀のETF買い入れ枠が見せ札で済ませられるのであれば、それが相場にとっても健全な流れといえます。

 今後、東京市場が調整局面なしに来年1月20日のトランプ大統領就任まで走り続けるとは思えませんが、大局的にみてトレンドが既に変わっているという認識は、投資行動の原点に据えておく必要があるでしょう。

●個人投資家の参戦心得と戦略

 投資家にとって資質が問われるのは果実を手にする瞬間です。株式投資では買う銘柄はいくらでもあり、ゆえに買うタイミングも無数に近い形で存在しますが、利益もしくは損失を確定する瞬間が一番難しいともいえるのです。その刹那に、銘柄選別に始まり全体相場の流れを含めた株価推移の見極めの結果が集約されることになります。買い出動のタイミングに拘泥するのではなく悩むべきは着地のポイントなのです。

 もっとも、言うは易く行うは難し。東京市場は上げ潮にあるとは分かっていても、個人投資家はなかなか今の相場に乗り切れないのが実情でしょう。投資家心理として「安値覚え」というのは投資行動を抑制する大きな足かせとなります。これが日経平均株価に逆連動するNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 <1357> [東証E]などの人気に分かりやすく反映されています。ただし、過熱相場を前にヘッジとして同銘柄を買うのは有効ですが、これのみに資金を集中するような投資スタンスはリスクも大きくなります。今の東京市場の本質は売り方が作る相場であり、買いたい人が買えないで騰がっていく相場なのです。

 したがって、日経平均ダブルインバースとのセット買いで、買いを入れる銘柄についてはなるべくベータ値の低い中小型株(新興市場銘柄も含む)を選択するのが投資手法として実践的と思われます。

●ZMPショックとロシア関連にも微妙な影

 個別テーマとしては12月相場の目玉であったはずのZMPが、8日取引終了後、まさかの上場延期発表で関連株は強烈な逆風にさらされる格好となりました。公開価格決定日の前日という文字通りのドタキャンでマーケットにも衝撃を与えましたが、これは自動運転のテーマ性自体を霧消させるものではありません。 自動運転は安倍政権が目指す“第4次産業革命”の主軸テーマでもあり、当面は様子を見ながら復活の時を待つよりほかないところです。

 一方、あす(15日)のプーチン大統領来日を前に ロシア関連も照準を合わせたいテーマですが、現時点で北方領土問題解決への道筋は期待しにくくなっており、経済協力だけに特化した交渉は盛り上がりを欠くことは必定。同テーマも事前の期待感とのギャップが生じていることは否めません。トランプ氏が作り出した米ロ間のパワーバランスの変化が、日ロ間交渉にとってはネガティブであることは以前にも触れましたが、トランプ次期政権の最大の焦点だった国務長官に、プーチン大統領と親交の深いエクソンモービルCEOのティラーソン氏が起用されたことで、その懸念が増幅されたような印象も受けます。

●テーマではなくピンポイントでバリュー株発掘

 ここは、割安さを担保する中小型銘柄をピンポイント物色していく好機にあると考えます。例えば、リニア関連やインフラメンテナンスの切り口でここ人気化する銘柄が相次いだ建設セクターで植木組 <1867> の割安さが光ります。PER8倍前後、PBRは0.4倍台、配当利回りも3%前後あり、株価も250円から上は滞留出来高が希薄化しており需給面からも軽そうです。

 また、検査試薬大手のカイノス <4556> [JQ]も値動きが軽く上値を感じさせます。この時期インフルエンザ関連としては常連ですが、直近は ノロウイルスが大流行の兆しにあり、ノロウイルス検出試薬を手掛けていることで注目度が高まりそうです。やはりPERが8倍前後でPBRも0.7倍台、業績は16年3月期の2ケタ営業増益に続き17年3月期も増益基調がキープされる見通しにあります。

 このほか、割安・好業績で出来高流動性にも富むマンション分譲のセントラル総合開発 <3238> [東証2]、繊維を主力とする専門商社でナノテク関連としてもマークされるGSIクレオス <8101> なども解散価値の半値水準で見直し余地がありそうです。

(12月14日記、隔週水曜日掲載)

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