貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3179 シュッピン

東証P
1,142円
前日比
-20
-1.72%
PTS
1,146円
14:58 04/19
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.6 3.21 2.89 4.68
時価総額 265億円
比較される銘柄
BEENOS, 
あさひ, 
ワットマン
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

シュッピン Research Memo(6):時計事業はレディース時計事業と海外事業で業容拡大を目指す


■中長期の成長戦略

3. 時計事業の成長戦略と進捗状況
時計事業はカメラ事業に次いで2番目に大きい事業だ。前述のようにカメラ事業においてはOne-to-OneマーケティングやCGMマーケティング強化のプロジェクトのスタート、AIMDも近々の稼働が予定されるなど、売上高拡大のためのプラットフォームづくりが完成に近づいている。シュッピン<3179>の中長期的成長ポテンシャルを考えるうえで、こうしたカメラ事業における仕組みづくりが時計事業及び他の事業においても可能なのかという点が注目ポイントとして浮かび上がってくる。

この点について同社は、時計についてもカメラ同様の仕組みを構築し、収益規模を拡大させていくことは可能だと明言している。しかし同時に、カメラと時計の商品特性の違いを踏まえ、それに応じた仕組みづくりをすることが必要だとしている。カメラと時計の違いというのは、カメラは工業製品でありその価値は画素数や連写スピード等の性能によって決定されるのに対し、時計は同じ工業製品とはいえ、高級品になればなるほど生産本数も少なく工芸品の色合いを帯び、価値の判断基準は時刻の正確性や機能性よりも希少性やストーリー性などに置かれているという点にある。時計は言わば宝飾品に近く、価格的にもカメラをはるかに上回っている。

こうした商品特性を踏まえて、同社が時計事業の規模拡大策として現在取り組むのは、レディース時計事業の立ち上げと、海外事業の2つだ。そしてこれらに共通するベースとしての要素として、同社のブランディングの確立にも取り組んでいる。

(1) レディース時計事業の概要と進捗状況
同社は時計事業からのスピンアウトとして女性向け時計を主軸としたレディース事業を本格的に開始する計画だ。女性顧客と女性スタッフの双方が拡大したことで、時計事業の屋号である『GMT』から独立させて「BRILLER(ブリエ)」という、別屋号で展開することを決定した。

取扱商材の主軸は時計だが、女性用高級腕時計はジュエリーとしての面を持つことも多いため、レディース時計事業ではジュエリー・宝飾品にも取扱カテゴリーを拡大する方針だ。

事業の開始は2020年3月期下期で、年末年始の商戦に合わせて12月にスタートした。収益計画については、初年度の2020年3月期については具体的な目標を掲げていないが、2年目の2021年3月期については約20億円という見通しを公表している(中期経営計画の項を参照)。

同社がレディース時計事業に進出したことについて、弊社では非常にポテンシャルが高い取り組みだと考えている。国内の時計市場は8,200億円とも言われる巨大市場だ。そのセグメントは男性・女性の別や、駆動方式の別、価格帯等、多岐にわたるが、同社は男性用高級機械式腕時計にフォーカスして事業を展開してきた。時計事業の屋号であるGMTや、サイトのデザイン、作り込みも男性客を意識したものとなっていた。そうしたGMTにあっても、レディース時計のニーズは一定数有り、2019年3月期実績ベースでは約6%がレディース時計だった(セグメント売上高98億円に対してレディース時計の売上高は6億円)。

言うまでもなく人口構成比を考えればレディース時計の成長余地は極めて大きく、同社がレディース時計への展開を決定した最大の理由もここにある。進出に当たってレディース時計専用のブランドとサイトを導入するのも重要なポイントだ。レディース時計はより宝飾品に近い存在と考えられ、価値判断基準がメンズとは大きく異なる。人気・売れ筋ブランドもメンズとは大きく異なるため、同一サイトでの展開では使い勝手が悪くなることが想定される。そして何より重要なのがブランディングで、独立したサイトの方が有利であることは論じるまでもないだろう。こうした実情を反映して同社は、レディース時計事業プロジェクトの実務は、ベンダーも含めて女性を中心にしたチームを編成して取り組んでいる。こうしたロジカルな思考と実際の動き方が徹底している点に弊社では成功可能性を強く感じている。

(2) 海外事業
同社の海外事業とは越境EC事業展開だ。当面の海外事業の位置付けは収益成長と言うよりも同社全体のブランディング(ブランド確立、知名度向上)に力点が置かれている。その一環として、2017年8月にカメラから越境ECをスタートした。北米の大手ECモールであるeBayに出店し、当初は4ヶ国を対象としていたが、順次拡大し、現在は20ヶ国を対象に販売している。2019年3月期実績の売上高は約480百万円だった。

一方、時計事業については、2019年5月に越境ECを開始した。出店先は高級腕時計の分野で世界最大級のマーケットプレイスである「クロノ24」だ。クロノ24は40万点以上の時計掲載数を誇り、110ヶ国に700万人のユーザーを抱えている。

同社は米国、香港からスタートして徐々に対象国を広げ、現在ではイギリス、オーストリア、タイ、マレーシア、UAEに向けて販売を行っている。

海外事業の目的は、現状ではカメラ同様、ブランディングの意味合いが強いと見られるが、順調な販売状況を反映して、今後は次第に収益事業として位置付けが高まっていくと弊社では見ている。GMTで扱う高級腕時計の市場は世界中にあるため、同社のGMTブランドが浸透すれば市場が一気に拡大することになる。また、海外市場を持つことは国内市場での価格戦略において優位性を確保することにつながると考えられ、時計事業の収益性向上も期待できると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《ST》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均