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3179 シュッピン

東証P
1,142円
前日比
-20
-1.72%
PTS
1,144円
19:13 04/19
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.6 3.21 2.89 4.68
時価総額 265億円
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決算発表予定日

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シュッピン Research Memo(3):矢継ぎ早に施策を打ち出し、トップライングロースを加速


■トップライングロースに向けた各種施策の取り組みと進捗

シュッピン<3179>の特長は“価値ある”商品領域に特化したEC企業であることと、中古品を取り扱うということだ。これら2つの特長を生かして収益成長を図るべく、同社は様々な施策を行ってきている。中古品の売上高を拡大させるためには中古品の仕入が重要になるが、この点については2015年3月期までに「ワンプライス買取」(2013年7月開始)、「先取交換」(2014年9月末開始)などを行い、中古品のEC買取りを一定規模にまで拡大することに成功している。現在はトップライングロース(売上の拡大)に主眼を置いて様々な施策を行っているところだ。

2015年12月にはその第1弾として『見積りSNS』を開始した。これは同社のスタッフやエキスパート・レベルのユーザー(セミプロユーザーや自前でブログ等を立ち上げているヘビーユーザーなど)に、「おすすめセット」の提案を発信してもらい、まとめ買い需要を喚起しようという取り組みだ。具体例としては、星空撮影にためのレンズと三脚、フィルターのセットの提案などがある。使い勝手のポイントとしては、購入希望者はワンクリックでカートに品物がそろう点などが挙げられる。

2017年3月期に入って、同社はトップライングロースに向けた取り組みを一気に加速させてきている。企画や準備は2016年3月期時点から進めてきているが、今期に入って一気に出そろった状況だ。以下に主要なものを紹介する。

(1) 2017年3月期第2四半期の施策

a) WebマーケティングPhase1(3月末)
これは、同社が2016年3月末に導入した「Webマーケティング」の第1弾だ。Phaseが進むにつれてターゲットと情報がより細分化され、ピンポイントの情報が届くようにすることを目指している。Phase1は過去の商品購入歴等から顧客をグループ化、グループごとにターゲットメールを配信していくというものだ。

従来は同社の全登録顧客に同一のメールマガジンを送付していたのを、例えば、キヤノン<7751>のデジタル一眼レフカメラ保有者グループには対応する中古レンズのキャンペーン案内を送るといったものだ。効果は明白で、送付したメールの開封率が、メールマガジン時代の約17%から、グループ別平均では40%前後に上昇するなど顕著な改善を示した。ある特定のモデルのケースでは開封率が83%にも達し、施策の有効性は十分に確認することができている。

b) ECサイトの商品詳細ページの充実(4月)
これは商品掲載画像を、各サイトとも業界最大の30カットに増加させる施策だ。中古品ECにおいては、状態が1品ごとに異なるため、画像による詳細情報の提供はコンバージョン率向上に大きな効果を発揮すると期待されるほか、他社との差別化にも貢献が期待される。

これまでの効果としては、カメラに比べてより“一品もの”の色彩が強い時計において、自社ECサイト売上比率が今年4月?9月には69.7%に達し、前年4月?9月の49.6%から大幅に上昇したことが特筆される。

c)“コミュレビ”(商品ユーザーレビュー)の一覧ページ・検索機能の追加(8月)
これまで同社は、個別の商品ごとに商品レビューを掲載してきたが、投稿されたレビュー数が約5,600件にまで蓄積されてきたため、レビューについて“コミュレビ”としてページを独立させ、レビュー自体を検索しやすくした。また、画像投稿機能や項目ごとの5段階評価機能も付加し、レビューをする側と利用する側双方の使い勝手向上を図った。

レビュー情報は購入の際の最後の一押しとなるケースも多く、こうした施策は、地味ながらも重要な施策と弊社では考えている。

d)「My Page Dashboard」機能の追加(7月)
ECサイト下部に「My Page Dashboard」機能を追加した。これは検索して気になった商品についての保存や購入商品の確認が容易にできるようにしたものだ。利用者にとって利便性向上につながる一方、同社側にとっては、各会員がどういう商品を保有、もしくは興味を有しているかを知る手掛かりとなり、後述するWebマーケティングPhase2へとつながる重要な仕掛けだ。

e)リアルタイム注文情報の表示(7月)
ECサイト下部に、注文情報がリアルタイムで表示される仕掛けだ。「○○県のお客様から△△△△△(商品名)のご注文」といった情報が表示される。顧客に対して、取引が活発に行われているという安心感を提供することを狙った施策だ。

f)各種商材のサブセグメント別TOPページの作成
今第2四半期は、各商品セグメントで、サブセグメントごとにトップページを作成している。例えばカメラであればアクセサリ専用ページ、時計であれば主要ブランド別買取ページやレディース専用トップページなどだ。狙いはサイトの使い勝手向上とそれによるコンバージョン率アップだ。カメラアクセサリは4月に専用TOPページを作成したが、4月?9月の売上高は前年同期比30%増と大きな伸びを示した。

(2) 2017年3月期下期の施策

a) WebマーケティングPhase2(10月)
同社は10月からWebマーケティングPhase2を開始した。Phase1 がグループ別アプローチであったのに対してPhase2はOne to Oneアプローチが特長となる。具体的には、欲しいリスト登録者約49,000人に、同登録商品数約47万点について、価格変更、コミュレビ追加、買取価格変更などの情報を送るというものだ。送付する情報については今後も充実を図る方針だ。また、買取りのアプローチも行い、同社がマッチングする形でCtoBtoCの商流もビジネスチャンスとして狙っている。

b)ユーザー参加型(CGM)マーケティング(2017年3月予定)
CGM(Consumer Generated Media)マーケティングとは消費者が内容を生成していくメディア(CGM)を活用したマーケティングのことだ。CGMにはブログ、口コミサイトQ&Aコミュニティ等様々なものがある。

同社はカメラ愛好家が自身の作品をアップする場として「EVERYBODY×PHOTOGRAPHER.COM」(仮称)をローンチする計画だ。これはカメラユーザーの満足度を高め、既存会員のロイヤルカスタマー化や新規会員の増加を図るのを目的としており、将来的にはメディア収益や有料サービス導入も目指している。

弊社ではユーザー参加型マーケティングはWebマーケティングと並んで非常に重要な取り組みだと考えている。カメラを使った楽しさを広めることがカメラ需要を継続的に刺激するうえでは重要であり、特に同社が得意とするレンズ交換式カメラは趣味性が強いだけに、なおさらだと考えているからだ。今回までの発表では、カメラ愛好家が自分の写真をアップする場の提供までにとどまっているが、将来的には収益化(同社とカメラ愛好家の双方にとっての収益化)も含めて様々な発展可能性があると弊社では推測している。まずはどの程度の枚数の写真が蓄積されるか、推移を見守りたいと考えている。

c)「いつまでも安心保証」の導入(2017年3月末予定)
同社はさらに、「いつまでも安心保証」サービスを導入する計画だ。これは、同社で購入した商品について、保証期間が終了した後、同社のコンディショニング・チェックを受けた後、一定の掛け金で保証期間を延長するというものだ。延長保証期間は1年で、毎年更新していく流れとなる。

弊社では、この施策のポイントは2つあると考えている。1つは保証料という直接的な収入の獲得だ。もう1つは延長保証サービスの働きかけを通じて同社との関係をキープし、当該商品が下取り・買い取り品として同社に戻ってくる道筋を確保するというものだ。弊社では収益事業としての側面よりも、顧客との関係維持と商材還流ルートの確保という後者の効果にむしろ注目している。サービス開始は2017年3月末が予定されているため、実質的な収益インパクトは2018年3月期以降からとなる。同社はカメラと時計からこのサービスを開始する計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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