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3179 シュッピン

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決算発表予定日

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シュッピン Research Memo(2):17/3期2Qは増収増益、免税売上高の落ち込みをEC売上高がカバー


■2017年3月期第2四半期決算の詳細

シュッピン<3179>の2017年3月期第2四半期決算は、売上高11,161百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益472百万円(同9.1%増)、経常利益466百万円(同9.6%増)、四半期利益319百万円(同13.0%増)と増収増益で着地した。

期初予想との比較では、売上高は6.1%の未達だったが、営業利益以下の各利益項目はいずれも期初予想を上回っての着地となった。売上高が未達となった要因は、熊本地震の影響で新製品の高級機種の入荷が滞ったことによる機会損失だ。この問題は下期のスタートまでには解消されている。

弊社では、今第2四半期決算について、好決算であったと評価している。理由は、インバウンド需要(免税売上高)の落ち込みをEC売上高でほぼ完全に埋め合わせ、増益を達成できた点にある。同社は、2016年3月期においてインバウンド需要の急拡大とその後の急激な縮小に揺さぶられた。2017年3月期はインバウンド需要に頼らない収益構造の確立を目指したが、それを着実にやり遂げたということだ。詳細は後述するが、期初に掲げた売上拡大のための各種施策を計画どおり実行し、一定の成果が好決算となって現れたと考えている。

同社の免税売上高は2016年3月期第2四半期が半期ベースでのピーク(四半期ベースでは2016年3月期第1四半期がピーク)だったが、今第2四半期の免税売上高は前年同期比70.6%減の636百万円となった。前述のように、同社はインバウンド売上高に頼らない収益構造の確立を掲げ、免税売上高については過去の実績に基づいて月間100百万円と想定して事業計画を立てている。今第2四半期はその想定どおりで推移した。同社の収益構造の中核を成すEC売上高及び免税売上高を除いた店舗売上高、はそれぞれ、前年同期比24.5%増、10.9%増となり、堅調な推移を示した。

事業部門別動向は以下のとおり。

(1)カメラ事業

大手メーカーのフラッグシップ機の新製品投入で売上拡大が期待されたが、熊本地震の影響で入荷が滞り、機会損失が生じた。しかしそれを吸収し、EC売上高は前年同期比23.7%増となった。ECの販売増は、レビューページの充実や『見積りSNS』、商品画像の充実といった従来からの販売促進策に加え、今期から開始したWebマーケティングが奏功した結果と考えられる。また、中古品の仕入れに当たる買取りも、先取交換や買取リピーター等の施策で、順調に推移した。店舗売上高は同25.9%減となっているが、免税売上高を除いたベースでは前年同期比で増収を確保できたもようだ。利益面でも中古品比率の上昇で売上総利益率(粗利益率)が上昇し、同7.9%増となった。

(2)時計事業

EC売上高が前年同期比34.1%増と順調に伸びた。店舗売上高は同15.5%減となったがこれはカメラ事業と同じく免税売上高の増減の影響だ。利益面で同15.4%減となったのは、円高が原因だ。為替レートの収益影響はプラス・マイナス両方向に働き得るが、今第2四半期は急速に円高が進んだことがマイナス方向で作用した。時計事業でもEC販売増に注力しており、今第2四半期はブランドごとの買取専用ページや入荷情報ページを開設した。また安心して購入できるよう、商品画像の増量に加えて超高解像度写真の採用などを行った。

(3)筆記具事業

EC売上高が前年同期比17.7%増と着実に伸長したほか、店舗売上高も微増収を確保した。オリジナルインクや人気シリーズのインクに加え、人気ブランドの万年筆や書斎の各種小物の品ぞろえを充実させて、専門店としての特色を打ち出したことが奏功した。また、6月に「KINGDOM NOTE Yahoo!ショッピング店」を出店したこともEC販売増に寄与した。

(4)自転車事業

EC売上高が前年同期比1.6%減、店舗売上高が同44.0%減と、ともに減収となった。正規取扱メーカーの拡充や保険の無料付帯サービスなどを打ち出すとともに、コンテンツの拡充やスマートフォン用画面の改修を行ったことでEC客数は大幅に増加した。しかし、販売品目のミックス悪化で客単価が下落したため減収となった。

全社ベースの営業利益は前述のように前年同期比9.1%増となり、計画に対しても上振れとなった。同社の営業利益の動向を占う上で見るべきポイントは2つだ。1つは新品と中古品の構成比だ。粗利益率は中古品のほうが高い。一方、新製品はメーカーへの発注から顧客に販売までの管理が比較的簡易であるのに対し、中古品は買取りから検品、メンテナンス、保証付け等、作業量が多くなる。すなわち、中古品は販管費の負担割合が高くなる傾向にある。

今第2四半期は、中古品比率が前年同期に比べて明確に上昇した。免税売上高がはく落した要因は大きいが、前年度下期に比較しても水準が切り上がっていることがわかる。これは、主力のカメラにおいて中古品の買取りが順調に進捗し、機会ロスなく需要に応えることができたことも大きいと弊社ではみている。

もう1つのポイントである販管費の管理も順調だ。売上高販管費比率は、順調に右肩下がりのトレンドを描いている。同社は2015年3月期に大規模なシステム投資を行った。前述のように、中古品についてのメンテナンスを含めた単品個体管理は人手がかかるが、取扱量が増加しても所要人員数の増加を抑えられるような体制を構築済みだ。今第2四半期の販管費は前年同期比1.8%増に抑制され、売上高比率は横ばいの12.9%となっている。増加分の中身は支払手数料で、これは他社サイト(いわゆるECの支店)での販売増に伴うものである。これをその他経費や業務委託費の削減で一部吸収し、1.8%(25百万円)の増加に抑えた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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