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3167 TOKAI

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TOKAI Research Memo(4):基盤拡大による増収効果とコスト削減により、2期ぶりに最高益を更新する見通し


■今後の見通し

1. 2019年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の195,600百万円、営業利益が同27.2%増の13,960百万円、経常利益が同24.0%増の13,880百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.6%増の7,920百万円となる見通し。売上高は2期連続増収で5期ぶりに過去最高を更新、利益ベースでは2期ぶりに過去最高を更新することになる。

営業利益の増益額は約30億円となるが、その内訳は前期からの顧客件数増加に伴う増収効果で21億円、前期に投下した顧客獲得コスト等の先行コストの減少で8億円となっている。今期も顧客件数の増加に取り組んでいく方針で、2020年度に向けた成長の基盤づくりを進めていく方針だ。なお、今期末の顧客件数は前期末比65千件増の2,941千件を見込んでいる。

主要3事業の業績見通しについて見ると、ガス及び石油事業については、顧客件数の増加により売上高で前期比3%増収を見込む。営業利益については顧客件数の増加による利益増で9億円、解約防止コストの減少で5億円の増益となる一方で、単位消費量の減少で3億円、エリア拡大による拠点コスト増で1億円の減益を見込み、全体では10億円の増益とみられる。なお、新規顧客獲得件数は前期の47千件から60千件まで増やすことを目標としている。直近では関東エリアにおいて新規顧客の獲得が進んでいるほか、新規エリアについても価格優位性を生かして、シェア拡大を進めていく。前期末には新たに福岡県にも進出を開始しており、同エリアでの顧客獲得が期待される。なお、三重県や長野県への進出に関しては2020年3月期を予定している。

情報及び通信サービス事業については、売上高で前期比3%増収を見込む。前期同様、法人向けについては好調を持続するが、コンシューマー向けが顧客数の減少に伴い伸び悩むと見ている。ただ、営業利益についてはコンシューマー向けも4億円の増益を見込んでいる。増減益要因としては、光コラボの顧客件数増加による利益増で1億円、「LIBMO」の販促コストの減少で4億円、光コラボ等の販促コストの減少で7億円の増益となり、従来型ISP等の減収による利益減をカバーする格好となるもようだ。一方、法人向けに関しては増収効果で5億円の増益を見込んでいるもようだ。特に、AWSのパブリッククラウド接続サービス(回線数)が前期比33%増と好調に推移する見通しだ。前期に国内で「AWSネットワーキングコンピテンシー認定」を初取得した強みを生かしていく。

CATV事業については売上高で前期比7%増収、営業利益で顧客件数の増加など6億円の増益を見込んでいるもようだ。顧客件数が前期末比29千件増加することに加えて、放送・通信のセット契約率の上昇により、収益性も向上する見通しだ。また、建築・不動産事業やアクア事業についても今期は増収増益となる見通しだ。


2021年3月期にグループ顧客件数で432万件超、連結営業利益で225億円を目指すため、26件のM&A案件を検討中
2. 中期経営計画について
(1) 基本方針
2018年3月期よりスタートした新中期経営計画 (IP20)では、基本戦略としてトップラインの成長を最優先に「守りの経営」から「攻めの経営」に転じることを打ち出した。2021年3月までに顧客基盤の拡大につながるM&Aやアライアンスを積極的に推進し、総額1,000億円の戦略的投資を実行していく方針となっている。

M&Aの対象としては、中核事業であるガス、CATV、情報通信サービス等で顧客基盤を持つ企業のほか、既存の生活関連サービスの周辺領域についても対象としている。同社では「Total Life Concierge」構想実現のため、また長期的に安定した成長を実現していくためには、新たな価値・サービスを提供していく必要があると考えているためだ。具体的には、ヘルスケアや教育、モビリティ、シェアリングエコノミー等の分野での事業展開が候補になってくると見られる。

また、AIやビッグデータ、クラウド、IoT、ロボティックスといった先進技術を活用した新規事業の創出にも取り組んでいく。同社ではこれらキーワードの頭文字と、これら技術を使いこなすデバイスとなるスマートフォンの頭文字を組み合わせて「ABCIR+S(アブサーズ)」と呼び、専任組織として「次世代経営戦略本部」を立ち上げ、グループ横断で「ABCIR+S」活用モデルの検討(新規事業の創出、顧客接点の高度化、情報活用戦略等)を進めていく方針となっている。これら先端技術で自社が保有していないリソースについてはM&Aで獲得していくことも検討している。

(2) M&Aの進捗状況について
M&Aについては2018年3月期にCATV事業で2件の案件を実施したほか、新たに都市ガス事業においても1件の事業譲受が決定したことを発表している。群馬県の下仁田町が運営するガス事業を2019年4月に引き継ぐことになる。顧客件数は1,336件、2016年度の売上高で143百万円と規模は小さいものの、今後は同社グループの様々なサービスを提案していくことにより、顧客当たり収益を拡大していく方針で、今回の案件を成功事例とすることにより、都市ガス事業の更なるエリア拡大を推進していく考えだ。

M&A案件はその他にも現在、26案件、1,900億円の案件の検討を進めている。事業別で見ると、都市ガスで6社、LPガスで7社、情報・通信サービスで8社、CATVで3社、新規事業分野で2社となっている。候補となる企業は、ガス事業に関してはサービスエリアを全国展開しており、得意エリアが補完し合えるような企業、法人向け通信サービス事業では、AWSの認定パートナー企業でシステム開発だけでなく、運用・保守メンテナンスなども手掛ける企業、その他、地域に密着したサービスを提供している企業や同社が保有する300万件弱の顧客に対して、新たな生活関連サービスを提供できる企業などが挙げられる。また、対象案件の投資基準としてはROI(のれん償却前営業利益÷投資額)で約8%の水準を基準に検討していくことにしている。検討企業の中には数百億円規模のディール案件も含まれているだけに、今後の動向が注目される。

(3) 経営数値目標
中期経営計画の経営数値目標としては、2021年3月期に連結売上高で3,393億円、営業利益で225億円、親会社株主に帰属する当期純利益で115億円、ROEで13.0%を掲げている。2017年3月期との比較で見れば、売上高で1.9倍、営業利益で1.8倍、親会社株主に帰属する当期純利益で1.6倍の水準となる。M&Aも活用しながらグループ顧客件数を432万件以上と1.7倍以上に拡大し、まだ、クロスセル率も引き上げていくことで計画の達成を目指していく考えだ。計画初年度の2018年3月期については、順調な滑り出しを見せたことになる。

財務面では、M&Aやアライアンス等により1,000億円の投資を実行していくため、有利子負債の増加を見込んでいる。有利子負債/EBITDA(営業利益+のれん費用を含む償却費)倍率で見ると、2018年3月期の1.9倍から2021年3月期には2.6倍とやや拡大するものの、自己資本比率は30%台をキープし財務の健全性を維持していく。なお、M&A費用を除く通常の設備投資については、2018年3月期が126億円で2019年3月期以降は年間140億円の水準を計画している。設備投資のうち60億円程度はCATV事業における光化投資となる。4K,8Kの高精細放送サービスを可能とするインフラを整備することでCATV事業の競争力を維持向上する戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

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