貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3167 TOKAI

東証P
944円
前日比
-9
-0.94%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.5 1.49 3.39 2.15
時価総額 1,319億円
比較される銘柄
三谷商, 
ビューテHD, 
エネクス
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

TOKAI Research Memo(6):21年3月期にグループ顧客件数で432万件超、営業利益で225億円を目指す(2)


 



■今後の見通し

4. 主力事業の取り組みについて
(1) LPガス事業
家庭・業務用のLPガス市場は、人口の減少や機器の省エネ性能向上等により、今後4年間で約7%の市場縮小が予想されており、競争激化により中小零細事業者が淘汰され、大手資本への集約化が進むとみられている。TOKAIホールディングス<3167>は現在、顧客件数で業界第3位だが、主要営業エリアである静岡県では22%とトップシェア、関東圏では7%で第2位となっている。各地域で多くの中小零細事業者があるため全国で上位10社のシェアを合計しても20%に満たない状況であり、市場全体が縮小したとしてもシェアを拡大することで成長を続けていくことは可能と見られる。

中期経営計画では既存エリア内でのシェア拡大に加えて、営業エリアを拡大していくことで持続的な成長を目指し、顧客件数を4年間で3割増となる76万件まで拡大する計画となっている。新規営業エリアとしては、2016年3月期より中部エリア(岐阜県、愛知県)、東北エリア(宮城県)で合計5拠点(岐阜、豊川、西三河、仙台、いわき)に進出したほか、2017年9月には岡山県(倉敷)、11月には岐阜県(多治見)にも進出した。岡山ではグループでCATV事業を展開する(株)倉敷ケーブルテレビ(顧客件数 放送9万件、通信3万件)があり、同顧客に向けてクロスセルを提案していくほか、サービスエリア内の約26万世帯に対する新規営業に取り組むことで、まずは1万件の顧客件数の獲得を目指している。また、2018年3月までに福岡県(福岡)に営業所を開設するほか、2019年3月期には三重県(三重)、長野県(諏訪)にも進出する計画となっている。福岡については建物管理サポート事業を、諏訪ではCATV事業をそれぞれグループで展開しており、クロスセル戦略を推進していく。

同社はこれら新規エリアの顧客件数を、2017年3月期末の8千件から4年後には9倍増となる7万件まで拡大する計画だ。エリア内での市場シェアは約2%の水準となる計算で、価格競争力での優位性を考慮すれば達成の可能性は十分あると言える。一方、既存エリアについてもクロスセル提案や価格戦略等により、市場シェアを約8%から約10%まで拡大していくことを目指している。

(2) 都市ガス事業
都市ガス市場では小売の自由化が2017年4月に解禁されたことで、今後は大手資本によるグループ化が進むものと予想される。現在、都市ガス事業は全国で203社あるが、このうち大手4社を除く中小事業者の再編統合が進むものと予想される。

こうしたなかで、同社は積極的にM&Aやアライアンスを推進していく戦略となっている。導管延長投資や、新たな産業用の需要等も取り込みながら、契約件数で2017年3月期末比2倍となる10万件を目指していく。新規進出エリアについては全国すべてを対象にしているが、グループ内で他のサービスを展開しているエリアが望ましいことに変わりない。また、同社は水回りを中心としたリフォーム事業(セグメントは建築及び不動産事業に含む)も展開しており、業界内でも屈指の販売力を持っている。都市ガスの顧客件数が増加すればリフォーム事業の収益拡大期待も高まることになる。中小零細の都市ガス事業者は、他のサービス・商材を扱っていないところがほとんどであり、同社が資本を投入することでこうしたサービス・商材を扱えるようになれば、相手先企業にとっても経営面でプラスになるため、M&Aも比較的スムーズに進むものと弊社では考えている。

(3) 情報通信事業
国内のブロードバンド市場は成熟化しているとはいえ、今後も年率1%程度の伸びが続くと予想されている。同社はISP事業の売上高で国内第4位に位置しており、市場シェアは静岡県内で約23%、関東営業拠点エリアで約4%となっている。今回の中期経営計画では、光コラボの新規獲得・転用を進めることで1顧客当たりの売上高、利益を拡大し、また、ISPのシェアについても維持拡大を進めていく考えだ。光コラボ率※に関しては2017年3月期実績の55.9%から4年後に85.1%まで引き上げていく。これにより、1顧客当たり月額収入は3,048円と2017年3月期比で21%上昇する見込みだ。

※光コラボ率=光コラボ期末契約件数÷(フレッツ光+光コラボの期末契約件数)


ブロードバンドサービスの顧客件数に関しては、4年後に1.7倍増の134万件を見込んでいる。ただ、前述したように大手携帯キャリアとの激しい顧客獲得競争が続いており、現時点では顧客件数の減少傾向に歯止めがかかっていない状況にある。「LIVMO」とのセット販売による効果も限定的となっており、今後の経営課題となる。

一方、法人向けの情報通信サービスについては、売上高で2017年3月期の206億円から2021年3月期は295億円と年率9%の成長を計画している。なかでも、市場が急拡大しているクラウド関連サービスを強化する。同社は自前で約6,000kmに及ぶ光ファイバーネットワーク網を構築しているほか、静岡と岡山・長野の3ヶ所にデータセンターを保有しており、成長を支えるためのインフラは既に整備されている。法人向けのクラウド接続サービス市場は、2016年度の53億円から4年後には3.7倍の195億円と高成長が予測されており、同社は最大手のAWSのほか、大手パブリッククラウドとの接続ソリューションをフルカバーしていることを強みに、売上げを拡大していく戦略だ。

2017年10月には「Google Cloud Platform」(以下、GCP)の導入・技術サポート分野で国内トップクラスの実績を持つクラウドエース(株)と戦略的業務提携を締結し、GCPの販売推進を協業して進めていくことを発表した。 (株)TOKAIコミュニケーションズにとっては、GCP接続回線サービスの売上増に貢献するものと期待される。また、11月には学校法人信学会(長野県)と業務委託契約を締結し、光インターネットサービスを信学会の自社ブランドとして同会の会員や教職員向けに提供を開始したと発表。生活インフラサービスである光インターネットサービスを自社ブランドで展開したい事業者向けのサービスで、既にエネルギー事業者(都市ガス・LP ガス)からの引き合いもきており、今後さらに積極的に拡販していく計画となっている。

さらには、12月にTOKAIコミュニケーションズが提供するクラウドサービスにおいて、国内トップシェアの実績を持つインフォテリア<3853>のデータ連携ミドルウェア「ASTERIA WARP Core」※を標準搭載した「データ連携オプション」の提供を開始するなどIT企業との連携も積極的に進めながら、自社サービスの強化に取り組んでおり、今後も高い成長が期待される。

※ASTERIAシリーズは、異なるコンピュータシステムのデータをノンプログラミングで連携できるASTERIA WARPを主力製品とするミドルウェア製品。メインフレームやクラウド上のサーバから表計算ソフトまで、様々なシステム間の接続とデータの変換を行うロジックを複雑なプログラミングなしで行うことが可能。国内の企業データ連携製品で11年連続トップシェアとなっている。


新たな取り組みとしては、AI技術を活用した開発支援サービスも開始している。具体的には、2017年11月にTOKAIコミュニケーションズで、Amazonが提供するクラウドベースの音声サービスである「Amazon Alexa」※に対応する音声サービスの開発・構築支援サービスを開始した。第1弾として、同社のアクア事業における宅配飲料水の発注システムを開発、運用を開始している。宅配水ユーザーは部屋に設置する「Amazon Echo」に話しかけるだけで宅配飲料水ボトルの追加発注ができるようになる。

※Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」を支える頭脳部分にあたる。


(4) CATV事業
CATV事業は2018年2月時点で、1都5県(静岡県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県)においてグループ会社9社で運営している。顧客件数はM&A効果もあって2017年3月期末の73万件から2017年12月末時点では100万件(放送サービス75万件、通信サービス25万件)へと大きく拡大している。2018年2月には新たにテレビ津山(岡山県)を子会社化し、顧客件数は1.4万件(放送サービスで約1万件、通信サービスで4千件)上積みされている。今後は既存エリアにおいて年間2万件ペースで顧客を増やしていく計画だ。過去も2万件ペースで純増していることから達成は可能と見られるが、足りない場合はさらにM&Aを行う可能性もある。実際、複数のM&A案件について精査を進めている段階にある。

同事業の営業利益は、顧客件数の拡大及び通信サービスの契約率上昇による顧客単価のアップによって、2017年3月期の28億円から2021年3月期に49億円まで拡大する計画となっている。同社の強みは、自前の光ファイバーを構築していることにある。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて高精細な4K/8K放送の試験・実用化放送が開始されるが、こうした高精細な放送を流すには光ファイバーや関連機器の投資が必須となる。同社では2020年度までに65億円をかけサービスエリア内の100%光化をほぼ達成する計画となっている。

また、CATVネットワークの付加価値を高める取り組みとして、地域無線ネットワーク「BWA(Broadband Wireless Access)」の構築にも取り組んでいる。地域BWAとは専用帯域として確保された周波数の電波を利用して、地域の公共サービスの向上やデジタル・ディバイド(条件不利地域)の解消等、地域・公共の福祉の増進に寄与することを目的とした無線ネットワークシステムを指す。具体的には、地域行政と連携した防災ネットワークやWiFiスポットインフラの提供等に利用される。2017年10月には東京ベイネットワークでも地域BWA用の無線局免許を取得しており、こうした付加サービスを提供していく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均