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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3134 Hamee

東証S
1,173円
前日比
-36
-2.98%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.7 1.96 1.92 8.22
時価総額 191億円
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Hamee Research Memo(8):データセントリックなビジネスモデルへの転換を図り、中長期的な飛躍を目指す


■成長戦略

1. 中期経営ビジョン
Hamee<3134>は今回、新たに中期経営ビジョンを策定した。「全事業のデータを活用し、データセントリックなビジネスモデルへの転換を目指して行く」というもので、その実現に向けた開発投資も積極的に進めていく計画となっている。コマース事業とプラットフォーム事業で収集した顧客データ等をHDP(Hamee Data Platform)に集積し、新たなソリューションサービスに活用していくことで、業績の更なる成長を目指して行く戦略だ。

(1) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では「ネクストエンジン」のECデータを活用したサービスとして、2018年12月より商品レコメンドAI搭載のレコメンドメール自動配信アプリを正式リリースした。「ネクストエンジン」から購入者向けに配信されるメールに、パーソナライズされたレコメンド商品の情報が自動で掲載される仕組みで、先行してβ版(2018年8月リリース)の試験運用を行った10社では売上増の効果が確認されている。同社の実績でもメールの平均開封率が46%で、月間600万円以上の売上増につながったとしている。

商品レコメンドに関するメールはAmazonや楽天など大手ECモールでも行っているが、これらECモールでは他社商品も含まれるため、自社商品の売上アップ効果も限定的だったが、同社のサービスは自社商品のレコメンド情報のみを掲載するため売上アップの効果も大きく、また、リピーターの確保・育成にもつながるサービスとして注目される。AIによってサイト訪問者の属性を分析することで、レコメンドエンジンの精度を向上し、導入効果もアップしていくものと見込まれる。

同社では当初、無料でサービスを提供し、実績を積み重ねて精度向上を図った上で有料サービスに移行する方針となっている。料金体系はまだ決まっていないが、レコメンドメールによって発生した売上に対する一定割合を成果報酬として徴収する方向で検討している。例えば、2019年4月期における「ネクストエンジン」利用店舗の取引総額は6,000億円を超える見通しだが、うち、5%がレコメンドメールでの売上増分であれば300億円、このうち成果報酬率を3%とすれば9億円が同社の収入及び利益となる計算だ。取引総額は今後も契約社数増加に伴って2ケタ成長が続く見通しであることから、同サービスの有料化以降は同事業の利益も一気に拡大することが予想される。また、同社ではHDPのデータを活用した新サービスの創出も継続して進めていく予定にしている。

(2) コマース事業
コマース事業では従来の売り切り型のビジネスモデルから、HDPのデータを活用したストック型ビジネスモデルへの取り組みも開始する予定となっている。2019年早々にリリースしたクマ型メッセージロボット「Hamic BEAR」が第1弾となる。同商品はWi-Fi機能を搭載したIoT製品で、親と子供をつなぐ安心・安全なコミュニケーション・ネットワークサービスやアプリを使って様々なコンテンツを提供していく予定となっている。製品の販売価格は5千円前後とし、アプリ使用に伴う利用料が加算されるものと見られる。販売方法は自社サイトやECモールのほか、卸販売での展開も行っていく。また、将来的には、「ネクストエンジン」等の他事業とデータベースを統合し、より付加価値の高いAIソリューションの開発・提供を行っていくことも視野に入れている。

2. グローバル展開
海外展開については、米国でのSQUISHIES商品のヒットに加えて、「PATCHWORKS」ブランド譲受による販売ネットワークの獲得によって、コマース事業での売上を積極的に拡大していく方針となっている。また、海外でもIoT製品を展開し、データセントリックなストック型ビジネスを目指して行く考えだ。

中期的(3~5年)な営業利益の成長イメージとしては、コマース事業で安定成長を図り、プラットフォーム事業の飛躍により収益性を高めながら高成長を実現していくことになる。また、海外事業においてもコマース事業の拡大やデータセントリックなストック型ビジネスモデルの構築を目指し、成長を実現していく考えだ。ここ1?2年は開発投資やインフラ投資など将来の成長を見据えた投資を積極的に行っているため、営業利益ベースでの伸びは抑えられる格好となるが、前述したように先行投資も加味した収益では順調に拡大しており、先行投資が一巡した後は利益成長も一気に加速していくものと弊社では予想している。

3. リスク要因
リスク要因として、コマース事業ではiPhoneのシェア低下による「iFace」の需要減少や参入企業増加による価格競争激化等が挙げられる。一方、プラットフォーム事業では、マーケットプレイスがAmazon一強体制になり、EC事業者が多店舗出店する必要がなくなる環境になった場合、「ネクストエンジン」の優位性もなくなるためマイナスの影響を受ける可能性がある。ただ、いずれも現時点でその可能性は低いと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

 提供:フィスコ

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