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3134 Hamee

東証S
1,343円
前日比
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PER PBR 利回り 信用倍率
20.3 2.24 1.68
時価総額 219億円
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Hamee Research Memo(6):収益性を高めながら高成長を実現していく方針


■中期成長戦略

1. 年率2ケタ成長が続くEC市場で更なる成長を目指す
Hamee<3134>が属する国内のBtoC-EC市場については今後も年率2ケタ成長が見込まれている。経済産業省の調べによれば、2016年は前年比10%増の15.1兆円となり、EC化率は5.43%まで上昇した。とはいえ、一部の先進国や中国では既にEC化率は10%を超えており、日本でも早晩10%を超えていくものと予想され今後も年率2ケタ成長が続くと弊社では予想している。

こうした成長市場において同社は、自社の強みを生かしながら今後も高成長を目指していく方針だ。コマース事業では、商品企画力を生かして川上から川下(メーカー機能・卸・小売)まで一気通貫で手掛けることで規模のメリットを生かすと同時に、「ネクストエンジン」を自社のECサイトに利用することで業務効率の向上を図り、収益力を強化しながら成長を推進していく。また、プラットフォーム事業では、自社ECサイトの運用で日々発生する業務上の改善点などを迅速に「ネクストエンジン」の改良につなげていくほか(=利用者目線での開発が可能)、他社との連携により様々なアプリ機能を「ネクストエンジン」に付加することで、ECプラットフォームとしての価値向上を図り成長を実現していく戦略となっている。

2. コマース事業の成長戦略
コマース事業の今後の成長戦略としては、商品起点のブランディングに注力し、「iFace」に続く主力ブランドを育成していくこと、IoTやAI技術などを取り入れたユニークな自社企画商品を開発し、モバイル関連商材としての新規需要を掘り起こしていくこと、そして海外も含めた多店舗展開を進めていくこと等が挙げられる。多店舗展開としては2017年4月期に「ZOZOTOWN」に出展したが、同様にファッションの一部としてのモバイル周辺アクセサリーの需要を掘り起こしていくため、店舗展開だけでなくアパレル企業やその他企業とのタイアップ商品の開発も進めていく考えだ。

国内のスマホ市場は成熟化したとはいえ、ケースやその他の周辺アクセサリーについては消耗品として安定した需要が見込まれることから、顧客ニーズに合致した商品を企画販売できれば国内市場も成長余地はあると考えられる。また、海外市場にも注力していく方針となっている。現在は、米国、韓国、中国、台湾で自社ECサイトを通じてモバイル周辺アクセサリーや雑貨類を販売しているほか、インドでは現地のEC事業者と契約して間接的に販売を行っている。今後は「iFace」を戦略商品と位置づけて、販売拡大を図っていく。なお、「iFace」については世界累計販売個数が930万個に達しており、中国ではコピー商品も出回るほどのブランド力を有している。米国では2017年1月に世界最大規模の民生機器の展示会であるCESに初出展し、「iFace」を中心に具体的な商談件数も増加している。カー用品のアクセサリー(磁石を使ってスマートフォンをダッシュボード上にマウントするケース等)として需要が見込めそうで、今後の動向が注目される。中国では「T-Mall」のほか、中国マーケットプレイスで第2位の規模となる京東集団(ジンドン)の「京東全球購(JD Worldwide)」にも出店しており、今後の売上拡大が期待される。

3. プラットフォーム事業の成長戦略
プラットフォーム事業では、契約社数5,000社の早期達成のため、無料トライアル利用者の契約率を上げていくほか、解約率低減にも注力していく。現在、月間の新規契約社数が約60社あるのに対して、解約数は20?25社のペースとなっている。解約理由で最も多いのはEC店舗の閉店による解約だが、「ネクストエンジン」を使いこなせないため、という解約理由も多く、この問題を解消することで解約率が低減できるものと同社では考えている。

具体的には、2017年4月期より進めているサポートスタッフの増員だけでなく、システムの使い勝手を向上するためのUIの改良や自動ナビゲーション機能の付加などが挙げられる。初期設定の自動化も含めてシステムの改良を今後も続けていくことで顧客数の拡大につなげていく考えだ。

また、契約社数5,000社を達成した段階では、ビッグデータやAI技術などを活用した新サービスも展開も視野に入れており、今後の展開が注目される。

さらには、プラットフォーム事業でも海外展開を目指していく方針となっている。2018年4月期中にインドの子会社で英語版「ネクストエンジン」の開発に着手し、2年程度で提供開始を目指している。海外でもECバックヤード業務のシステムはあるものの、グローバルに展開できるシステムはほとんどない。米国ではAmazonやe-Bayなどマーケットプレイスが大手2?3社に集約され、EC事業者はこれら大手マーケットプレイスに出店するだけで良かったためだ。ただ、越境EC市場が拡大してきたこと、特に中国市場では「T-mall」など複数の大手マーケットプレイスがあることなどから、今後、越境EC市場で売上げを伸ばしたいEC事業者向けの需要が見込まれる。

中期的(3?5年)な営業利益の成長イメージとしては、コマース事業で安定成長を図り、プラットフォーム事業の飛躍により収益性を高めながら高成長を実現していくことになる。また、海外事業においてもコマース、プラットフォーム両事業において収益化を実現し、グローバル企業へ進化することを目指している。

4. リスク要因
リスク要因としては、コマース事業においてはiPhoneのシェア低下による「iFace」の需要減少や参入企業増加による価格競争激化等が挙げられる。一方、プラットフォーム事業では、マーケットプレイスがAmazon一強体制になり、EC事業者が多店舗出店する必要がなくなる環境になった場合、「ネクストエンジン」の優位性がなくなるためマイナスの影響を受ける可能性がある。ただ、いずれも現時点ではその可能性は低いと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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