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3107 ダイワボウ

東証P
2,728.0円
前日比
+52.5
+1.96%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
98.1 1.89 2.35 29.72
時価総額 2,629億円
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決算発表予定日

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思惑買いで急騰銘柄相次ぐ、市場を賑わす「新型肺炎」対策関連・大検証 <株探トップ特集>


―春節を襲った晴天の霹靂、全体相場波乱でも関連銘柄の物色の矛先は強まる方向に―

 昨年12月に、中国湖北省武漢市で発生した 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。こうしたなか、中国当局が27日から中国国外を含む全ての団体旅行を一時禁止すると伝わった。これを受けて、感染拡大への懸念がリスク回避の売りを一気に誘発し日経平均株価は急落、一時500円を超える下げをみせる場面もあった。春節で期待されたインバウンド需要の剥落もあり、経済活動への影響も出始めている。株式市場では、きょうは一段と“新型肺炎”に関心が高まっており、対策関連株には改めて物色の矛先が向かった。経済への波及は懸念されるところだが、まずは感染拡大のストップ、そして予防が重要となる。「新型肺炎」対策関連株の動向を追った。

●まずは「うがい」「手洗い」そして「マスク」

 国外への団体旅行の一時禁止は、是が非でも感染拡大を防ごうとする中国政府の危機感の表れといえ、その深刻さが改めて浮き彫りになった格好だ。いわば「コロナ・ショック」の様相を呈するなか、日経平均株価は全面安商状となったが、そのなかでも日本は人気の旅行先であることから、業績への影響を懸念した売りにインバウンド関連株は軒並み安となった。ある、大手ドラッグストアでは「(商品動向など)インバウンドや新型肺炎に絡む話については、一切お答えできない」と口を閉ざす。経済活動にも支障が出るなか、中国当局からは「感染力が強まっている」との発言も伝わっており動揺が広がっている。

 きょう安倍首相は、新型コロナウイルスによる肺炎について28日の閣議において「指定感染症」にする方針を表明。これにより感染患者の強制入院などが可能になる。厚労省では「新型コロナウイルス感染症の現状からは、中国国内では人から人への感染は認められるものの、我が国では人から人への持続的感染は認められていない」とし、「過剰に心配することなく、季節性インフルエンザと同様に咳エチケットや手洗いなどの感染症対策に努める」ことを呼びかけている。新型肺炎については、現在のところ特効薬はない。しかし、基本中の「き」である「うがい」「手洗い」が有効と言われており、加えて マスクなどの着用で飛沫感染を防ぐことは、自分はもとより周囲の人への気配りとしても重要だ。もちろん、人が多く集まる場所に近づかないこともポイントとなる。

●24時間生産体制のユニチャーム

 こうした状況下、ユニ・チャーム <8113> ではマスクの増産体制をとっている。会社側では「今月中は24時間体制の生産を行う予定だ」(IR室)という。マスクの供給不足が懸念されるなか、株式市場では興研 <7963> [JQ]をはじめ重松製作所 <7980> [JQ]、ダイワボウホールディングス <3107> 、シキボウ <3109> といった、常連ともいえるマスク関連株が急動意。需要急拡大を期待した買いに加え、「まずはマスク」という飛沫感染を防ぐことの重要性を知る国民意識と投資家心理が株価を押し上げた格好だ。

●興研は一般消費者用マスクも

 そのなか興研は防塵、防毒など産業用マスクのイメージが強いが、医療施設用マスクに加え一般消費者用の感染対策マスクも手掛けており、医療の最前線で使用されるプロ向けマスクの姉妹品を一般用として発売している。スタンダードタイプ「ハイラックNeo」、排気弁付きで更に呼吸が楽なタイプ「ハイラックNeoかからんぞ」、患者専用マスク「ハイラックNeoうつさんぞ」など幅広い高機能製品を取り揃えている。同社の株価は“新型肺炎拡大思惑”に乗り新年相場を一気に駆け上ることになった。きょうはストップ高の2675円まで買われ、昨年末に1300円台半ばで推移していた株価は、短期間で倍化する変貌ぶりを見せている。

●手指の洗浄・消毒でニイタカ

 うがい、手洗いの重要性が謳(うた)われるなか、業務用洗剤、洗浄剤が主力のニイタカ <4465> にもスポットライトが当たっている。同社は、手指の洗浄・消毒剤や、薬液ボトルをそのまま入れて手を差し出せばセンサーが感知して薬液を吐出・噴射する自動噴射タイプのアルコール噴霧消毒器など業務用を数多く手掛けている。また、ウイルス、細菌の二つをカバーし、より踏み込んだ検証方法で効果を確認した100%食品成分によるアルコール除菌スプレー「ノロスター」では、業務用に加え家庭用でも攻勢を掛ける。業績も好調だ。同社は昨年12月26日取引終了後に、20年5月期第2四半期累計(6-11月)の連結決算を発表。営業益は前年同期比43.0%増で通期計画進捗率58%となった。洗浄力に優れコストパフォーマンスのよい食器洗浄機用洗剤や、感染症予防に貢献できる除菌用アルコール製剤などの販売、衛生サービスの提供に注力したことが奏功している。

 うがいでは、やはり明治ホールディングス <2269> の「明治うがい薬」が知られるところだが、手洗いが推奨されるなか「明治ハンドウオッシュ」にも活躍期待が高まりそう。明治うがい薬の有効成分ポビドンヨードが、手指についたウイルスや細菌、真菌などを殺菌・消毒するという。また、関連銘柄の一角としてイワキ <8095> にも買いの手が伸びている。同社は医薬品商社だが、「うがい薬」も取り扱っていることで思惑買いを呼んでいるようだ。

●大幸薬品の「クレベリン」に活躍期待

 ウイルス除去・除菌製品でも、思惑を誘い急速人気化する銘柄が次々に登場している。大幸薬品 <4574> は空間や物に付着したウイルス・菌を除去する「クレベリン」を展開。流行シーズンに突入している「インフルエンザ関連」の一角としても注目されているが、同社は2014年に「二酸化塩素ガス溶存液が、コロナウイルスを99.9%不活化」することを発表していることから、新型肺炎対策としても期待が高まっている。同社では「クレベリンの主成分である二酸化塩素ガス溶存液が、コロナウイルスに対して不活化するデータを取っている。今回の“新型”に対して直接効果があるかは確認できてはいないが、過去のデータから推測して不活化させる可能性がある」(広報部)と話す。また、店頭での動きについては、「インフルエンザシーズンで既に動いていたなか、(新型肺炎で)更に引き合いが増えてきている」(同)という。きょうは、一時470円高の4480円まで買われ、昨年来高値を更新している。

 大木ヘルスケアホールディングス <3417> [JQ]は、グループの大木製薬がウイルス対策マスクやウイルス除去・除菌製品「ウイルオフ」シリーズを手掛けていることから急速人気化。「ウイルオフ」シリーズは二酸化塩素を利用した製品で、吊り下げタイプやファン、ストラップタイプなど持ち運びができ利便性が高い。中京医薬品 <4558> [JQ]にも物色の矛先が向かい、きょうで4日連続のストップ高。持ち運びに便利で、ウイルスや菌を除去する二酸化塩素を利用した除菌製品「エアーマスク」シリーズを展開しており、これが買いを誘っている。

●エーザイは「注文増加」

 エーザイ <4523> が販売する「イータック抗菌化スプレーα」にも関心が集まっている。同製品は、ウイルスや菌の気になるところにスプレーするだけで、それらを寄せ付けず、抗菌作用は1週間持続するという優れもの。同社では「先週末あたりから、注文が増加している」(PR部)という。このイータック抗菌化スプレーαの主成分Etakは、マナック <4364> [東証2]と広島大学大学院の二川浩樹教授による共同開発品。同社は臭素化合物最大手で人工透析薬剤事業も手掛けるが、これを材料に株価は一気にヒートアップ、きょうもストップ高の1643円まで買われている。

●防護服関連にも物色の矛先

 マスクや除菌に絡む銘柄が急騰するなか、防護服関連株にも物色の矛先が向かった。川本産業 <3604> [東証2]が6日連続ストップ高と上げ足が止まらない。同社は医療用衛生材の大手メーカーで、防護服やマスクを手掛けていることから、新型肺炎関連の有力株として値幅取りを狙った短期資金が集中している。同社株は前週5営業日すべてストップ高という異彩人気となったが、きょうも投機筋の攻勢が継続した格好だ。同じく防護服を扱うアゼアス <3161> [東証2]もストップ高となっている。

 思惑買いに新型肺炎関連として日々“出世銘柄”が登場するなか、「ここ驚異的な株価上昇を見せているだけに、その反動安には気をつけたい」(市場関係者)との声は多い。ただ、現在のところ感染拡大収束の気配はなく、新型コロナウイルスによる肺炎は、世界的に拡散する一方だ。まずは、うがい、手洗い、マスク着用で万全の備えをしたい。

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