貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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3099 三越伊勢丹

東証P
2,325.0円
前日比
+33.0
+1.44%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.8 1.50 1.38 1.07
時価総額 9,236億円
比較される銘柄
高島屋, 
Jフロント, 
H2Oリテイ
決算発表予定日

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逆襲の“百貨店株”意外高の芽、密かに増える好材料とは <株探トップ特集>


―資産効果、プレミアムフライデーなど吹き始めた追い風―

 “トランプ相場”に沸く株式市場。トランプ次期米大統領の掲げる政策が米長期金利の急上昇を招き、世界的なインフレムードにつながっている。 インバウンド需要の剥落で売り叩かれた百貨店株も夏場に底を打ち、トランプ相場の追い風も味方に反騰態勢を見せ始めている。インフレ思惑が急速に高まるなか、高額商品を扱う代名詞といえる 百貨店株に再び出番はあるのか、現状とその行方を探った。

●再び注目局面へ

 百貨店株は、アベノミクスによる景気回復と、中国人訪日客に代表されるインバウンド需要を追い風に、2014年中盤から株価も急上昇した。しかし、ここまで一気呵成に伸びてきた中国経済にも暗雲が漂い始めると、いわゆる“爆買い”にも陰りが出るようになった。それまで一本調子に上げてきた百貨店株だったが、昨年の夏場を境に状況は一変、坂道を転げるかのように下落の一途をたどることになった。

 今年5月の日本百貨店協会「4月の全国百貨店売上高概況」で、インバウンド消費の減速が表面化する。「訪日外国人動向は購買客数7.8%増(約26万人)と39ヵ月連続で前年を確保したものの、中国の輸入関税引き上げなどを背景に、売上高は9.3%減(179億円)と2013年1月以来39ヵ月ぶりのマイナスに終わった」と発表。既に、インバウンド消費の変調は指摘されていたが、それが百貨店の売り上げを通して鮮明となった。

 ところが、くしくも下降転換となった昨年夏から約1年が経った今年7月を底に、百貨株は反転攻勢に出る。株式市場においては、活況高の過去は忘れ去られていた感もあってか、ここにきて再び注目する向きも出てきているようだ。

●“意外性の株高”要素を内包

 市場関係者は“意外性の株高”要素を内包する百貨店株について次のような見解を示している。「国内消費が回復しているかどうかという点でいえば、小売業界全体が苦戦している現状をみてもあまり前向きな評価はしにくい。しかし、前年同月比で“前年割れ”の呪縛から逃れる来年は風景が変わってくる。それを先取りする買いが既に始まっている。比較的高額商品を扱う百貨店は、ここ最近の日経平均の上昇で米国同様に、株高による資産効果が期待できるセクターでもある。また、今年はクリスマス商戦が23日、24日、25日と3連休で日並びもよく、消費意欲も刺激される公算が大きい。一見、今の相場の流れでは蚊帳の外にも見えるが、売り物が枯れており、年末年始相場でスルスルと上値を追う展開は十分に考えられるシナリオだ」(国内準大手証券アナリスト)という。

●高島屋は4ヵ月ぶりに前年実績を上回る

 しかし、底を打った株価とは裏腹に、12月1日に発表された各百貨店の「11月の売上高速報」では、いまだインバウンド需要の反動が尾を引き、前年同月の比較でみれば「まだら模様」といった感は否めない。

 三越伊勢丹ホールディングス <3099> は、11月度の国内百貨店事業売上速報で、三越伊勢丹合計の売上高(法人外商を除く)が前年同月比2.7%減となり9ヵ月連続で前年実績を下回ったが、減収率が小さくなっていることから最悪期は脱したとの見方もある。

 また、松屋 <8237> は銀座店と浅草店を合計した銀座本店は前年同月比5.2%減と減収だった。このうち銀座店が5.7%減、浅草店は0.4%増とわずかながら9ヵ月ぶりに前年実績を上回った。銀座店は、引き続き前年のインバウンド需要の反動が反映され、前年実績を割り込んでいる。J.フロント リテイリング <3086> については、百貨店事業の合計売上高は前年同月比4.5%減と11ヵ月連続で前年実績を下回った。心斎橋店本館建て替え工事による売り場面積減の影響があったとしている。

 そのなか、高島屋 <8233> は4ヵ月ぶりに前年実績を上回っている。高島屋単体と国内百貨店子会社を含む17店合計の売上高が前年同月比1.3%増となった。紳士服や紳士雑貨、婦人服が前年実績を下回ったほか、宝飾品・子供服ホビーなどが前年比マイナスとなったものの、気温の低下に伴いコートやマフラーなどの防寒アイテムが好調に推移。また、インバウンド需要などにより、化粧品を中心に好調に推移した婦人雑貨のほか、特選衣料雑貨・食料品が前年比プラスとなった。これについて同社では、「11月は単月でみると、確かに4ヵ月ぶりのプラスになったが、依然として足もとでは厳しい状況は続いている。年明けの経済の行方を注視していきたい」(広報IR部)と慎重姿勢を崩していない。

●円安など追い風吹く

 ここにきて、百貨店を取り巻く環境にも、いくつかの好材料が出てきている。経済産業省と経団連が、来年2月からのスタートを目指す「プレミアムフライデー」もそのひとつ。月末の金曜日には仕事を速やかに片付け早々に退社(午後3時ごろ)することで、個人消費の喚起につなげようとする構想だが、これが実現すれば売り上げ増に寄与することになる。

 理外の理がまかり通るのが相場の常だが、株価の上昇には一片の真理があるのも事実だ。今の地合いは全般底上げの流れにあるが、基本的には買い戻しを原動力とした“売り方がつくる相場”である。その意味で買い残が希薄で信用倍率が軒並み1倍を下回っている百貨店株は需給面で優位性を持つ。また、外部環境面からも円安の進行は海外顧客の誘引材料となるだけに、剥落したインバウンド需要の復元に一役買う。株価も一段の上値の可能性を漂わせている。

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