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3082 きちりホールディングス

東証S
938円
前日比
+7
+0.75%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
29.9 15.59 0.80 0.98
時価総額 105億円
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きちり Research Memo(2):首都圏、関西圏を中心に90店舗以上を展開


■事業概要

1. 事業内容
きちり<3082>は自社開発した業態による飲食事業を主に展開しているほか、自社店舗の運営で培ってきたノウハウを生かした飲食事業のコンサルティング等を行うPFS事業も行っている。売上構成比では飲食事業が9割弱を占める主力事業となる。

(1) 飲食事業
飲食事業の主な店舗には首都圏や関西圏で展開するダイニング業態の「KICHIRI」と、首都圏のショッピングモール・駅ビル内で展開するハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」などがある。PFS事業で提携した顧客企業のブランドを活用した店舗も含めて、2018年6月末時点の店舗数は全22業態、93店舗となっている。特に、ここ数年は首都圏での新規出店を積極化しており、エリア別で見ると首都圏が50店舗、関西圏が39店舗、その他エリアが4店舗(愛知2、長野1、広島1)となっている。

主力業態である「KICHIRI」は女性客を主要なターゲットに、高品質な料理とおしゃれ感を演出した店舗づくり、「おもてなし」の接客を重視した店舗運営が特徴で、2002年に第1号店を神戸に出店し、関西圏で高い支持を獲得したあと、2006年から首都圏に進出を果たしている。出店エリアの条件としては、電車の乗降客数で1日2万人を超える主要駅で建物の空中階としている。平均客単価で3,000円台と比較的低価格帯で若者客をターゲットとした「Casual Dining KICHIRI」と、平均客単価5,000円前後で企業の接待ニーズにも対応可能な「新日本様式 KICHIRI」のほか、バル形式の「smile KICHIRI」の3業態で展開しており、2018年6月末時点の店舗数は合計で40店舗となっている。

また、2010年に首都圏で初出店した「いしがまやハンバーグ」は、オーストラリア産の黒毛和牛の血統を引き継いだ黒牛100%使用した人気のハンバーグ専門店で、収益性についても「KICHIRI」と同水準以上の高収益業態となっている。平均客単価は1,600円とやや高めではあるものの集客力が高いことから「ららぽーと」等の大型ショッピングモールを中心に出店の引き合いが強く、店舗数は年々拡大し2018年6月末時点では18店舗となっている。その他、レストラン業態ではオムライス専門店の「3 Little Eggs」も人気で、大型ショッピングモール等で5店舗を出店している。

(2) PFS事業
PFS事業ではブランド・コンテンツ活用型とクラウドサービス展開型の2つの事業モデルで展開している。

a) ブランド・コンテンツ活用型
ブランド・コンテンツ活用型とは、健康分野やエンターテイメント、第1次産業分野などで強いブランド・コンテンツを持つ企業と業務提携し、外食ビジネスを展開することによって、当該ブランド価値を高めていく新たな販促手法の提案サービスとなる。提携先企業にとっては店舗運営を同社に任せることで、店舗運営リスクを抱えることなく、ブランド力の向上が期待できることになる。店舗運営に関しては、既存のKICHIRIプラットフォームを活用できるため、業務管理コストや食材の仕入コストなどを独力で店舗運営するよりも低く抑えられるほか、ブランド価値訴求型の店舗であるため価格も維持しやすく、一定の収益が見込みやすいビジネスモデルであることも特徴の1つとなっている。

契約内容は一律ではないが、1店舗目については店舗運営コストなどの費用を提携先が負担するケースが多い(同社の売上高としてはプラットフォームの使用料を計上)。2店舗目以降は、同社が直営店舗として展開していくことも可能となる。提携先企業にとっては店舗を増やして収益を拡大することが目的ではなく、あくまでもブランド価値向上が目的となっているためだ。なお、売上高に関しては、同社が直営で運営する場合は飲食事業に含まれることになる。

ブランド・コンテンツ活用型の例としては、福岡県の農事組合法人である福栄組合が生産する「はかた地どり」のブランド価値向上を狙った地どり専門店「福栄組合」(5店舗)や、イタリアの有名ファッションブランドのオロビアンコと共同プロデュースしたイタリアンレストラン「Orobianco」(2店舗)などがある。また、2015年1月には長野県と「食を通じた健康長寿の推進」に関する戦略的連携協定を締結し、JR長野駅ビル内に「長野県長寿食堂」を出店するなど、地方自治体との提携案件も手掛けている。

b) クラウドサービス展開型
クラウドサービス展開型とは、同社が既に自社で構築しているバックオフィス機能(会計処理、給与管理等)やバックヤード機能(調達・加工・物流システム)、バックアップ企業(銀行や取引企業等)などのプラットフォームを、「外食向けクラウド」として安価な料金で同業他社に提供するサービスとなる。サービス利用料金は店舗数や利用するサービスによって異なる。顧客対象は、食材などで比較的共通部分が多い付加価値提案型の外食企業となり、規模的には売上高で10億円以上、店舗数15店舗以上であれば同サービスの導入メリットが得られやすいという。顧客企業は同サービスを利用することによって、食材の共同調達による仕入れコスト低減や店舗の維持運営にかかる業務システムなどのコストが、自社で構築するよりも低コストで実現できることになる。同事業に関しては自社で利用するプラットフォームを活用するため追加のコスト負担がほとんど掛からず、収益性及び安定性の高いストック型のビジネスモデルとなる。

ここ最近は人件費や食材、物流コストの上昇により、中小規模の外食企業だけでなくホテルレストラン等でも経営効率化・合理化が経営課題となっており潜在需要は大きいと見られる。2018年6月末時点の契約店舗数は約600店舗。そのほか、スポット売上として顧客企業の出店支援に関するコンサルティングサービスなども行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

 提供:フィスコ

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